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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
2章 6月 涙の暴雨、天舞う朱は侵界を祓う
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27話 青奈の境界線

学生棟の屋上。そこに私しの胸ぐらいまでしかないフェンスの上に腕を置き、もたれかかる。

「はぁー……風が涼しい」

 やはり、誰もいない空間は心地よい。

 口を半開きにし、全身がぐったりと力を抜けていき、遠くに見える景色を眺めていた。

(アイツは関係ないのに……どうしてもああ言う言い方をしてしまう。どうしても感情が先に出てしまうわね)

 後ろでドアが開く音がした。私しはゆっくりと振り返る。

 ドア付近におどおど畏まった女子が立っていた。

 黄みの強いベージュの髪の型はウェービーヘアーで濃い赤紫色のヘアピンをつけていた。確か……安齋月音あんざいゆみさんだっけ?

 少し髪が顔に隠れていて暗い感じがするが直せば良い美人になると思うわね。

「あ、天織あまおりさん……」


「安齋さん、どうかしましたか?」


「えっと……昨日はすみませんでした。お母さんとお姉ちゃんのこととか……」


「気にしていませんよ……。中々、大変そうですね。何かあればいつでも頼って頂いても大丈夫ですよ」


「あ、ありがとうございます。あの〜 1つ聞いてもよろ……」


 安齋さんの後ろから大きい声が聞こえてくる。

 私し達はお互い顔を見合わせて中に入り様子を見てみた。


 黒髪でボサボサの男子生徒とあれはどこかで見たことがある容姿が言い争いしていた。

「あぁ!? お姉ちゃん?」


「このままじゃあ、君の旅館も僕の旅館も被害に遭うっ!! 僕らの町を囲むように3つの工場があるんだぞ。廃棄物が流れ、この町の綺麗な水が汚染される可能性が高い。だから、抗議運動をやってるんだ。安齋さん、君も参加するしかないだろう?? おばさんも危惧している」


「何度も言ってるけど、私には関係ない。旅館がどうなろうと私には興味がないわ。だから、そんな抗議運動に参加する必要もない。もう良いでしょう? やりたい人だけやりなさい」


 話のメインはお互いの旅館の存続話か……他人の私しが首突っ込む必要もないわね。


「大体、君は時間が有り余っているんだろう。その足じゃあ、剣道はもうできないんだ。毎日毎日虚な目で過ごしていて、見ていてイライラするんだ。どうせなら少しは役に立てよっ!!」


 その言葉が引き金になったのか分からないが、私しの横に居た安齋さんが勢いよく階段を降りて男子生徒の所に行き、そして……


「——ッ!」

 安齋さんが男子生徒に向かって平手打ちしている。相手の頬を安齋さんの手のひらが重なり、中々な音が響いた。

「お姉ちゃんを悪く言わないでくだっさい!」

 半泣きしながら安齋さんは発した。


剛田ごうだ君。兎に角、私は参加しないから……勿論、妹も。行きましょう、月音ゆみ


「うんっ! 天織さん、じゃあね」

 安齋さんと私しはお互い手を振った。

 居心地が悪かったので剛田なる者を背景として、さっさとその場から離れることにした。


「今に見てろ……」

 床を見つめつつ何やら独り言を言ってる剛田。

 少し歩いた青奈はそんな彼をチラリと見て怪訝な顔をした。

(まさか、ね……)


 携帯端末を操作し、ある人物にメールを送る……




 少し曇りがかかった放課後の空。

 天気予報では1時間後位に大雨と予想されているので一目散に生徒は帰っていく。

 生徒によっては1時間もかかる人もいるためである。

 私しの場合は、最悪、三守みかみか悪魔にでも送って貰えば良いかと考えたが、悪魔は私しと同じで徒歩通勤だということを忘れていた。


 なら、最悪の選択肢は1つしかない。

 などと考えていると学園棟を出る2組——安齋姉妹を目撃した。

 流石、姉妹なのか先程、私しと一緒にいた時と違い月音ゆみ萌香もかの印象がガラリと変わり、仲良さそうに歩いていた。

 良いわね、姉妹ってものは……


  あかり:私達も姉妹みたいなものじゃない?


 黄華こうか:今の所、脳内限定で会話が出来ているだけだけど いつかは外で一緒に歩きたいものだよ


 青奈せな:良いわね…… いつかは……


  灯:ねぇ、青奈ちゃん クロの事、まだ憎い?


 青奈:……それは


 灯:確かにクロの部下である7体の悪魔が現世に来てから私達の運命は変わった。それは間違いない。記憶の断片しかない私が何言ってるのかと思うけど、青奈ちゃんはたくさん命が失ったのを見てきた。きっと、私が思っている以上に過酷なものだって、この半年以上一緒に暮らして感じていたよ。青奈ちゃんやこうちゃんが私に過去のことを話さないのは、私に思い出させないようにしているんじゃないかなって勝手に思ってる。でも、マイナスな事ばかりじゃなかったよ。

 記憶がなくても2人は私を大切にしてくれた。私は救われたか。だから、今度は私が青奈ちゃんを救うよ!! 始めようよ、今から……ね!!


 黄華:灯がこう言ってるんだ。お前もなんか言ったら


 青奈:少し考えさせて……


  灯:うん!! 待ってるから!!


 私しの前には学園棟の出入り口として使われている扉がある。全開きになっており、下には銀色のステンレスの沓摺くつずりだけが残っていた。



 進んで、良いのかな……。

 もう、この10年は取り戻れない。どんなに頑張っても過去には戻れない。



 でも、もし叶うなら灯ちゃんや黄華、そして、黒絹のような髪。人間離れした美貌を持ち、女の私しでも、息をのむ美しさ。対照的に雪のような白い肌をもっており、深い深紅のような眼を持っている。

 あの悪魔——クロとも一緒に歩めるのかな。


 凹んでいた口が活気に満ちていき、自然と笑顔が出ていた。

 ふふん……それも悪くないわね。まだ、全てを信じることが出来なくても少しなら……。


 私しは自分の利き足である右足を1歩前に出し、沓摺くつずりを越えた。

 偶然なのか運命なのか分からなかったが、私しが1歩前に出た瞬間、空に光が差し込み、曇りが徐々に消え、晴れてきた。



 青奈:2人とも帰ろっか!!


 2人:OK!!



 私しはどうやら相当メンタルがきていたようね。こんなにも良い()()がいたんだね。

 私しが前に進むんだから。いつかは、あの子も……



 青奈:そうだ、2人とも。カラス型見つかるかもよ


 2人:えぇ!? 







「ごめんね、月音ゆみに迷惑かけて」


「気にしなくても良いよ。あんなこと言わなくても良いのに、剛田さん……」


「剛田君も自分の旅館が心配なのよ。感情が昂るのも少し分かる。でも、私は今は何も感じないの。心がブルーっていうか、何に対してもやる気が出ないの。だから、彼に対してもあんなこと言ってしまったわ」


「大丈夫?」


「えぇ! 大丈夫よ。明日、彼に謝罪するわ。でも、参加はできそうにないけどね」


 2人仲良く歩いていると前から銀色のスーツを着た怪しげな者がいた。なぜ、人と現さなかったのか。それは、目の前にいるやつの頭が人間ではなく、カラスだったからだ。


「お、お姉ちゃん……」


「私が合図したら月音ゆみは逃げて、助けを呼んできて。それまで私が時間を稼ぐから」


「でも、足が……」


「大丈夫よ!! 少し走っても問題ないくらいに回復しているから。治療の成果ね!」


「お前らは、なぜ【祭り】に参加しない」


【祭り】? 何の事を言っているのかまるで意味が分からなかった。しかし、私の最優先事項は月音ゆみを逃すこと。私にはもう月音ゆみしか信じられる人がいない。大切な子。


「【祭り】に参加しないお前らは俺が粛清する……」

 手に何か持ってる? ボール何かしら? こっちに向かって投げてきた。えぇ!?

 段々、剥がれていく? 


「さようなら、爆ぜろっ!!」



『キャット』!!


「えぇ!?」

 私と月音ゆみの前に青髪を後頭部で一つにまとめて垂らしたポニーテール姿。烏の羽のような艶のある黒色のワンピース・ドレスに包まれている。ドレスの上に羽織っている深みのある華やかなブルーのコートを着た人が上から降ってきた。


 何かが爆発し、辺り一面砂埃が舞い広がる。


 あれ? 無傷? 月音ゆみは気を失っている。……良かった。もう、何なの今日は……おかしい事だらけだわ。


 私達を囲むように少し薄い青色の膜が円状に広がり、ちょっとした空間が出来ていた。


「間に合ったわね。ごめんなさいね、少し準備に手間かかちゃって」


「これ、持ってくれるかしら」

 そう言われ、銃らしきモノを渡された。

「それを今、私しが持っていると貴方達を守れなくなるから」



 黄華:ブラスターなくてどうするんだ?


 青奈:決まっているわ!!



 右の腰から膝まで伸びているホルスターが装着され、そこには二刃の剣がついている。

 【濃藍の矛】(トライブ)【鉄藍の刀】(アイルタ)を抜く。【濃藍の矛】(トライブ)を右手、【鉄藍の刀】(アイルタ)を左手にそれぞれ持ち、双剣のように構えた。

「こういうことも出来るのよ!!」


「また、貴方ですか……。俺の邪魔しないでください、これ以上関わると貴方もそこにいる女達を同じく粛清対象にしますよ」


「あらっ! 嬉しいわね。ターゲット自ら来るなんて手間が省けて助かるわ」




「貴方の力、頂戴します!!」

お読み頂き、ありがとうございます



灯達が使えるソドール能力

No.14 ライオン 白黄色

No.16 ??? ???色

No.25 カメラ 黄茶色

No.29 キャット 青マゼンタ色

No.33 ホッパー 青ピンク色

No.35 スパイダー 赤紫色

No.44 タカ  白桃色

No.47 シャーク 青水色

No.48 ボーン 茶橙色

No.52 ダイヤモンド 水白色

No.53 ミラー ピンク赤色

No.55 クレーン 煉瓦橙色

No.56 ラッキー 茶黄緑色



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