24話 正直と素直
カラス型のソドールと怪盗の僅かの隙間を縦一直線に斬撃が放たれた。
怪盗がカラス型の懐に放つ予定の腕を瞬時に引っ込ませながら、カラス型に蹴りを入れる。
強烈な蹴りを入れられたカラス型は後ろ後ろに転がっていった。
蹴った怪盗はカラス型を見ず、斬撃が放たれた方向を向いている。
「久しぶりだなぁ、ガキ!!」
「今、お前の相手をする程、僕は暇じゃないんだけど……邪魔。それとも、あいつはお前が選んだソドール?」
僕は左手の親指をカラス型の方向を示しながら黄色の変なやつの回答を待っていた。
「いや、俺のじゃないぜ……運良く人形を手に入れた一般人だ。俺のじゃないから力を奪う、ただそれだけだ!! お前には渡さないぜ」
僕は目の前のカサンドラに手のひらを出した。
「お前の持っている人形を寄越せ……僕のだ……」
「渡すと思うのかぁ、逆にお前の全部頂くぜ!!」
「以前も同じこと言って、【ライオン】君奪われてたよね」
「うるせぇぇええええっぇ!!」
「お前沸点低いね、全く……」
悪魔って怒りっぽいのかな?? あの悪魔クロの過去に冷静さを失って酷い目にあってたし……。こちらとしては好都合だけどね!! 冷静さを失っているやつは動きが単調になる。普段は攻撃にフェイントや罠を張る作戦を考えていても頭が熱さでショートし単純作業になり、今まで考えていた作戦などが無くなり殴るだけの行動に書き換えられる。僕は男と男の殴り合いなんて憧れる。僕もそんなただの打撃攻撃だけをやりたい。
「また、腹に1発くらわす。お前の成分も頂くぜ!! カラス型っ!!」
その言葉を合図に、3人体が行動を起こしたのは同時だった。カラス型は爆弾ボールしか攻撃手段を持っていないのか少し離れた場所で羽爆弾を投げている。紙を壁に貼るためにテープでとめる。時間が経つにつれて粘着力が弱まりやがて下に真っ逆さまに落ちる。そんな現象の様に羽がボールから剥がれ僕と黄色悪魔のカサンドラの周りを取り囲んだ。
カサンドラはこの羽爆弾を詳しい事を知らないのか持っている工具用で使われているチェーンソーで切り払う様に腕を動かしていた。ゆっくりゆっくり落ちていく羽が上手く当たらないことにカサンドラの眉間に皺が寄っていた。小さすぎるため当たり判定がなく苛立ちを向けていた。
僕の方はカサンドラよりかは少しだけ、ほんの少しだけ羽爆弾の詳細を知っているアドバンテージがある為、クイーンズブラスターASKで撃ち落とした。10発中4発。一応、カラスの羽に当たったのでまずまずの結果だが相変わらずの命中率で涙が出てくる。
【捕食者の影爪】に付属しているのは爪型で取り外しが可能な【リッキープレイド】は温存している。
今日一日、学園生活は僕がやっていた為、太陽のエネルギー光で【リッキープレイド】は逐一、蓄えが出来ているが、僕らはとことん運がないため、念の為温存している。
意外にも【リッキープレイド】は細い刃にも関わらず、耐久力はかなりある。
顔を【捕食者の影爪】で守りながら、カラス型に近づく。クイーンズブラスターASKで乱雑に打ち続けた。
扇子を180度開くと綺麗な扇形、円弧の曲線を描いている。
その美しい図形をクイーンズブラスターASKで放たれた銃弾で表現し羽爆弾を回避しようとした。
精密機械の寸分違わぬ等間隔に点を打つ行動とは程遠い、ペンを持ちながら授業中寝ているとノートに不思議な黒点が出来ている感じな拙いモノになっている。
はぁ〜 射撃訓練をサボっていたツケが来るとは……。仕方ないじゃん。やる気ないし当たらないとイライラするのは明白なのにわざわざ訓練をやる必要が見られないと言い訳を供述しているが要はただ面倒臭い、それだけだ。
左右に横にステップし、羽爆弾ボールの在庫がないのか攻撃手段を失っているカラス型に一気に距離を詰める。
「貰うぜっ!!」
左足を前に踏む出し体を前のめりな姿勢で助走した。【捕食者の影爪】を力一杯握り拳状態にし固めて、肘を曲げ、肩の後ろまで下げ、カラス型の鳩尾に向かって大きく振り上げる。
青奈:後ろっ!!!
「——ッ!」
左足裏に重心を置き、地面を擦り身体を前向きから後ろ向きに反射的に方向転換し【捕食者の影爪】を振り上げる姿勢から自分の胴体部分を守る様にガードする。
不快な機械音。僕を頭から切断せんとばかり、ベルトコンベアーの如く長さが等しくない無数の刃が高速で回転していた。
【捕食者の影爪】の黒光で多少の黄色の細い線が彩られている外側部分とカサンドラのチェーンソーがぶつかる。
こちらは脊髄反射ばりばりの動きをしていたため、自分が片足だけの体勢であり、勢いよく振り下ろされたチェーンソーの重い一撃であったことにより耐えることが出来ず、地面に激突した。
地面に激突した衝撃でバランスボールの様に跳ね返り、少し宙に浮いてしまった。
カサンドラは僕の状態を見てすかさず猛攻してきた。
野球のバッターを連想されるかのように己の武器を大きく振りかぶり上から下へと斜めに勢いよくスイングをする。
左手を下、地面に置き左手だけの力で身体全体を浮かせた。カサンドラに背中を見せる形になりながら逆立ちし、【リッキープレイド】を噴射された。
当たらなくても多少の目眩しになると考え黄色く細い刃がカサンドラに吸い寄せられたように向かっていった。
その隙に地面から左手を離し、空中で体勢を変え、【ホッパー】を起動した。
このまま足を地面に置くと2体から攻撃を仕掛けられる可能性がある為、空中に逃げた。
薄く半透明のガラス板に相撲の蹲踞。つま先立ちで深く腰をおろし,十分に膝を開き,上体を正しくして重心を安定させた姿勢をとった。
【ホッパー】で出現した板はもって数秒の儚い命なので、次々出現させ、階段状に下界に降りれてる様にした。
上空に浮いている板は耐久力がゼロになりボロボロになって落ちていく。
地面に一番近い板から両足で着地した。
【捕食者の影爪】を嵌めている右拳を若干左拳より前に出し、左拳を自分の胸部分に近い所に置く。脇を締め、目線を前に向ける姿勢……所謂ファイティングポーズを取る黄華。
カサンドラはこちらを見て同じく構えを取り牽制してくるかと思われたが、武器を下ろした。
「帰る……」
「はぁ!?」
目の前にいる悪魔に対して素っ頓狂な声を出してしまう。
「お前は後回しだ。ソドールを手に入れたかったがいつの間にかいねぇからおしまいだ」
背後には先程まで居たはずのカラス型の気配がどこにもなく、僕とカサンドラが戦闘中に姿を消したのだろう。
カサンドラは武器を下ろし僕に背中を見せながら歩いていった。
「僕の持っている力は手に入れないのか?」
「お前からはいつでも手に入る。俺の最優先はアイツだ……。アイツの持っている爆弾の能力が欲しいんでね。ただ、それだけだ。じゃあな!!」
後ろ向きで手を振りながら闇に紛れていった。
黄華だけを残した公園はとても静かでさっきまでけたたましい音があったのかと思うほど静寂に包めれていた。
黄華数分の間、その場で棒立ちをし他に誰も来ない事を確認した所で緊張が一瞬で抜け大の字で地面に倒れた。
「あぁあぁあぁっぁぁ!! 疲れたあぁっぁぁああ!!」
黄華:明日は筋肉痛かな…… 後よろしく、灯
灯:はいはい…… 明日は大人しく過ごします
青奈:代わらなくても良いわよ、灯ちゃん こいつがあんな無茶な戦い方した結果なんだから、自分がその罪を背負わなきゃね
黄華:しかし、以前のアイツならどんどん向かってくると思ったが今回はそうでもなかったな……
不気味過ぎる
青奈:まぁ、悪魔にだって心境の変化はあるんでしょうね 灯ちゃん大好き悪魔も以前、そうだったし……
灯:帰ろっか!
黄華:待って、もう少しだけここにいさせて……
読んで頂き、ありがとうございました。
悪魔:黄 カサンドラ
所持人形:2個
灯達が使えるソドール能力
No.14 ライオン 白黄色
No.16 ??? ???色
No.25 カメラ 黄茶色
No.29 キャット 青マゼンタ色
No.33 ホッパー 青ピンク色
No.35 スパイダー 赤紫色
No.44 タカ 白桃色
No.47 シャーク 青水色
No.48 ボーン 茶橙色
No.52 ダイヤモンド 水白色
No.53 ミラー ピンク赤色
No.55 クレーン 煉瓦橙色
No.56 ラッキー 茶黄緑色




