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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
2章 6月 涙の暴雨、天舞う朱は侵界を祓う
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19話 爆弾魔はカミボーイ 

 23時30分……

 もうすぐまた日付が変わる。どんなに長く過ごしたくても皆使う時間は同じ。

 楽しければ早く時間が過ぎ、退屈な時は時間は遅くなる。


 練忍町ねおしちょう

 駅を挟んで北側が住宅街と商店街。南側が工場地帯になっている。

 比較的普通の閑静な住宅街。主に工場地帯に働いている人達が住んでいる。


 工場は24時間稼働している製鉄所の工場群。

 丘から工場の夜景を見ると、手前にある住宅街と商店街が並ぶ街並みが見られ、工場の光と相まって1枚の絵画の様な魅力がある。この夜景を見るためにわざわざ、遠出して写真を撮る人も多数いる。


 今現在、人気スポットの撮影場には1体しかいない……

 そいつは全身銀色のスーツに身を包み、黒色の革靴。左手には黒色のボールを真上に投げてはキャッチし、それを繰り返していた。

 何回かこの行為をやった後、右手にボールを持ち替え、おもいっきり正面に向かって投げた。

 今日は無風の状態な為、自分の投げた物が目的地に向かって飛んでいく。

 投げられたボールは空中で次第にテープが剥がれたかの様に1枚1枚と鴉の羽の形になり、雪が降る様にゆっくりゆっくりと落ちていく。



 ……3……2……1……0!!


 ソイツは腕時計の秒針を見て、予定時刻になり口角を上げた。


 突如、炎上し、爆風が噴き上げ煙が立ち込めていた。

 煙の広がりの速さは火よりも断然早く、火災では火から逃げることはもちろん、先に煙から逃げなくてはなりません。

 火災で拡散した煙は,初期は白く徐々に黄色に変わり,最後には黒煙に変化する。



 あと2つ……

「さぁ!!! 始めようか!!! 祭りのはじまりだ」

 邪悪な笑みを浮かべていた。








 僕、天織黄華あまおりこうかは汗をかき、息を荒げながら両手を両膝に置きながら中腰姿勢をしていた。

 自分の前にある白い網目状のネットを背景にし、その奥にいる女子生徒が白線の内側に出ないように位置を確認しながらバレーボールを弾ませていた。

 今日の体育の授業はバレー。基本的なルールは、対面コートに6人ずつ配置されて、床にボールがつかないように打ち合って得点する。1試合につき、5セット または3セットで行われ、1セットにつき25点先取し、先に3セット(3セットの場合は2セット) 先取したチームが勝利。もし、24対24 でポイントが並んだ場合は デュースと言う状態になり、その後2点差がつくまで試合を続行する。

 1時間しかない為、1セットのみの試合になっている。


 そして、今黄華チームは24点。相手は23点と接戦となっておる。


 黄華の左側のポールの近くに3段位の階段があり、その頂上に体育教師が立っていた。

 ネットを挟んだ生徒がちゃんと正位置に付いたのを確認後、左腕を垂直にしていた。そのまま口に置いていたホイッスルの合図と同時に垂直に伸ばしていた腕を反対側の右に曲げていた。

 ホイッスルが鳴る音を体育館に響き渡り、その音でコートに入っている生徒に一層の緊張が走る……

 ゲームの開始合図である轟音と共にサーブ担当の生徒がコートの外から黄華がいるコートに向かってボールを打った。

 サーブ担当の子はバレー有段者ではないため、ボールを上に上げ打ったり、ジャンプサーブはできない。一番簡単な少しボールを浮かせ、利き腕を後ろにし振り子の動作の様に上手く浮かせたボールを腕に当て、相手のコートに山なりに打った。山なりになったボールは少し回転を帯びながら先頭にいる黄華の後ろを通過した。

 黄華の後ろの子が体育教師に習った様に両手を頭の額部分に三角形の形にし、腕を引いていた。

 バレーはプレー中にボールを持つことは出来ない。

 持ってしまうと反則になり、相手の点数になる。

 引いた腕を少し伸ばし、それに合わせ落ちてきたボールを数秒接触し、少し伸ばした腕を完全に伸ばした。再度、山なりになったボールは黄華の右側にいるセッター担当の子に行き、ボール下に素早く潜り込む。僕とのアイコンタクトで僕の頭上にボールを運んでくれた。


「天織さん、お願い!!」


 頭上にボールが来たことで僕は少し下がり、助走の態勢を取りアタックの準備をした。ボールが最高到達点に行くのにあと数秒……

 タイミングを合わせる為に走る黄華。

 徐々に小走りになり、次第に足に力を溜め、バネの様に足を伸ばしながらスパイクする姿勢を取った。利き手である右腕は後ろに引き、左手は前へ。

 上げられたボールに右手と触れ、相手チームのコートに向かってボールを下に打つ。

 打たれたボールは前列の中央にいたセンター担当の子とその後列にいた子の丁度、真ん中のコートの地面にクリーンヒットし、地面にめりこみそうな勢いだったが貫通せず、ひらがなのへを逆にした形の様にボールがバウンドし相手コートの外側にある壁に黄華が打ったボールが当たり、徐々に威力が消滅し小刻みにバウンドしながらボールは転がる。

 ボールのファーストアタックの場所を確認した体育教師がホイッスルを鳴らした。点数盤をやっていた子が黄華が属するチームの点数を4から5になるように捲り、25点になった。

 それを確認し終了の合図をし、23対25で黄華のチームが勝利した。


「やったあぁぁっぁぁぁぁっぁぁ!!!」


こうちゃんお願いしますっ!(土下座する灯)

綺麗なフォーム......(驚く黄華)

キャアアァァァァアッ!! う、美しい!(泣く青奈)


閲覧ありがとうございます!

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