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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
2章 6月 涙の暴雨、天舞う朱は侵界を祓う
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6話 血が滴る狂気のキツネは飾り付けの人間を探す

 保健室。

 至って普通のどこにでもあるごく普通の保健室。

 そこに置かれている椅子に私達は座った。

 保健室の入口側には私、綾とすずちゃん。机を挟んで反対側の椅子に座っているのは

 灯ちゃんと養護教諭の黒咲濡羽くろさきぬれは先生もとい悪魔のクロさん。

 灯ちゃんと契約している悪魔です。


 灯ちゃんはクロさんの力を借りて巷に出没している謎の怪物”ソドール”を倒し、彼らの成分を回収している怪盗をやっている。学生と怪盗の2重生活をしている。


 悪魔ときいて少し怖いイメージを持たれると思うがクロさんにはそんなイメージがなく、気品溢れていて、なおかつ上品。まさに完璧な女上司のような佇まいながら、笑っている顔も可愛くてこんな生物がいるのかと最近思うことがある。何より、女性特有の大きな武器も持っていて私は自分の武器を見ては悲しみに暮れている。


 そんなクロさんは今、灯ちゃんの顔を見てニコニコしている。


「灯、先週のことは当然、覚えているわよね」


「はい......」


「何だっけ、今回の賭けの内容は??」


「私が勝ったら、クロに貫禄の自撮りと写真を飾る。私が中間テストで50位以内に入らなければ際どいネコの衣装を着ることです」


 斜めに顔を下に向けている灯ちゃんはクロさんの質問を淡々と答えている。


「で、結果はぁ、どうだったっけ?」


「クロの勝ちです......」


「うん? 聞こえないな〜」


「クロの勝ちですぅぅぅ!!」


「はい、よくできました。えらいえらい!! ご褒美に頭を撫で撫でしてあげるわ」


「いらないよ、そんなもの......」


「まぁ、からかうのはこれくらいにして。今度の予定をどうしましょうか、すず?」


「そうですね......」


 クロとすずちゃんが私の処刑の細かいスケジュールを組んでいる。

 どこから出したのか分からないA3サイズの用紙を机にあり、何やら書き込んでいる2人。


 私と綾ちゃんは容姿を細めで見ると......。

 ネコ、ピンク、メイド、ネコミミ、スカート短め、布面積、最小、それはどう?

 ありでしょう! デカい猫の手、肉球等等

 しまいにはクロが絵を描き始めた。


「ちょっと、何よそれ!?」


「「具体案だけど?」」

 さも、当たり前のような顔でこちらを見てくるクロとすずちゃん。


 そんなアホな出来事が過ぎ、放課後を迎えた。



 私達が向かっているのはすずちゃんが見つけた雑貨店。

 外装が古びた感じの中々、ホラーテイストなお店だった。

 しかし、中に入ると、外の状態とはかけ離れていた清潔感満載の店内だった。

 ちょっとした小物や怪しげな書籍、果てはコスプレ衣装までサブカルの聖地と言っても過言ではないお店。


 外装はこのお店の店主の趣味で、大勢で入ってくるのが嫌いな店主があの外装にしたとのこと。

 大抵の人はホラーテイストの外装を見れば、入ろうと思わないがそれでも興味を持った人のみ店内で楽しめる空間となっている。


 私達は店内に入り、私の公開処刑の衣装を決めていた。

 なんで、自分の処刑服を自分で選ばないといけないのか疑問しかないが、せめて可愛い物を選ぼうと吟味していた。

 お金はクロから結構な額を頂いたので、3人で使うことにした。

 私はホワイトバニーを選択した。

 綾ちゃんはフード付きのミニスカの羊衣装。

 そして......。


「すずちゃんやけに遅いね」

 私と綾ちゃんは先に買い物を済ませ、外で待機していた。


 10分してようやく店内からすずちゃんが出てきた。

「お待たせ!!」


 何やら、袋いっぱい、それも2つ持って現れたすずちゃんだった。

 綾ちゃんが不思議そうにすずちゃんに質問した。

「ねぇ、そんなに買ったの?」


「そうだよ! 私は1着なんだけど、クロさんに頼まれた分が結構多くて時間かかっちゃった」


「クロ、何頼んだの?」


「灯には絶対に教えちゃダメだって、念を押されたの、ごめんね。私のだったら教えるよ、ピンク色に彩られているネコのコスプレ」



「えぇ!? なんで? てか、ネコにしたんだ......」


「クロさんの注文の品を灯に言ったら、この場で確実に返品コース一直線だからって」


「クロの奴、今までのお返しとばかり、私と弄んで......」


「そう言えば、クロさん言ってたよ。この半年、灯に色々、強制的に命令に従っていましたって、しくしく泣きながら」


「それ絶対に演技だよね。クロもわりかしノリノリで罰ゲーム受けていたけどな......」


 そして、3人とも両手に袋を持って私の家を目指していた。

 家に帰って、クロプロデュースの元、私の撮影会が行われる。



「すずちゃんがあんなお店知っているなんて」

 綾ちゃんが持っている袋の中身を見ながら話しした。


「この前、散歩して偶然、見つけたの!!」

「怪しげなお店だったけど、結構良い物がいっぱいあって良かった」



 処刑まで刻一刻と近づいている。


「灯、そんなに遅く歩いても結果は変わらないよ」


「ねぇ、今からお菓子買いに行かない? 私が全額払うから、ねぇ!」


「残念、そのお菓子は今、クロさんが学校終わりに買いに行ってるって。さっき、返信が来た」


 そう言って、クロとの会話画面を私と綾ちゃんに見せるすずちゃんだった。


「何か、手はあるはず、どうすれば......」


「もう諦めよう、灯ちゃん......。1回やれば2人とも多分、満足すると思うし、ここはガッツを見せるところだよ!!」


「それに、灯、昼休みに言ってたじゃん」


 荷物を置いて、私が昼休みにやったポーズをとるすずちゃん。

「『やってやるわよ』って」


「あれは、やせ我慢っていうかなんていうか」


「「でしょうね」」


「ちょっと、何でそこで息ピッタリで頷くの?」


 私達が歩いていると風で飛ばされたのか色とりどりの花びらが目の前にきた。


 3人とも周りに花壇や花屋などがなかったので不思議そうに花びらを見る。


「あれじゃない?」

 綾ちゃんが袋を腕にぶら下げながら指を差し、私とすすちゃんが指された方角を見ると少し離れた場所に教会があった。


 中々大きい教会チャペルで、クラシカルな雰囲気漂う大聖堂は、外装は中世ヨーロッパのお城をイメージしてあるのはゴシック様式が美しい風格を添え、大聖堂の至る所にスライドガラスがはめ込まれている。中世の歴史をそのまま現在にうつしだされたような作りになっていた。正面入り口に建つ4本の白い柱が印象的。その上には大きな時計が備え付けられており、それも特徴的だった。

 中央の扉には長い赤いカーペットが敷かれており、おそらく出席者が新郎新婦の祝福の為に役目を終えた花びらを所々にあった。


「結婚か、今ちょうど6月だし、これから増えるかもね」


 ”ジューンブライド”

 多くの女性が憧れる結婚式として有名で、6月に結婚式を挙げると一生涯にわたって幸せな結婚生活を送ることができると言われている。

 諸説があるが、女神の加護、待ちに待った結婚、暖かく幸せな季節などがあり、とっても幸せを感じるということで、多くのカップルはもちろん、参列する方々までも幸せをもらえる為に6月は挙式を上げる機会が多い。


「2人は結婚とか考えてる?」

 綾ちゃんからの質問に私達はそれぞれ答えた。


「私はまだいいかな〜」

「やりたいことがいっぱいあるし、まず、彼氏をつくるところかな」


「灯ちゃんは?」


「私も良いかな......。でも、ウェディングドレスは1度でも良いから着たいかなって。そういう綾ちゃんはどうなの?」


「すぐはやらないけど、いつかはやる。その前にすずちゃんと同じように彼氏をつくらないと」


「なんか、寂しいよねこのパーティー......」


「まぁ、良いじゃん。今は私達だけで楽しもう!!」


「そうだね。さぁ、灯の家へ行こうか!!」


 再び歩き始める3人。

 その時、真ん中の扉が大きく開いた。

 そこそこ大きい扉なので全開になるのに少し時間かかっていた。


「おぉ、もしかして新婦の姿見えるかも!!」


「やっぱ、定番の純白なウェディングドレスかな」


「最近はカラードレスも流行っているらしいしそれかもね」


 2人は中央から出てくるかもしれない新婦を見ようとしていた。

 中から出てきたのはベールを被っている純白のウェディングドレスを着た女性だった。


「ねぇ、あの人なんか変じゃない?」

 その言葉で後ろに後ずさった。

 確かに純白のウェディングドレスを着た女性が出てきた。そういうドレスなのか、ドレスの至る所に赤いものが付いていた。

 そして、新婦らしき者が今持っているにはふさわしくない細い剣。レイピアの形状に見ている剣を右手に持っている。


 そして、剣先に何か垂れているのがわかった。

 ポタポタと1滴、1滴落ちている。

 ケーキ入刀で使っていたとしても落ちるのはクリームなどの半固形物。液体じゃない。


 女性が剣を前に払い、ついていた液体を下ろしていた。

 私達に気付いたのか頭に被っているベールを取る女性。

 取った姿を見た私達は驚愕した。


 顔はキツネだった。褐色の被毛を持ち、喉そして尾の先が白く、大きな耳に大きな尻尾。さらに顔に返り血のような跡がついていて、こちらを見た後、ニッコリ口角を上げていた。


(まさか......ソドール......マズい......)


 1歩1歩階段を降り、降りながらキツネ型のソドールは私達にこう言った。


「ワタシの結婚の飾り付け見つけたわ」

 中段ぐらいの位置でジャンプして持っている剣で突きの構えをしてこちらに向かってくる。


「「きゃぁぁあぁぁああぁぁぁぁぁ」」

 2人の叫び声は轟いていた。


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