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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
1章 4月~5月 新米女怪盗は1歩を進む
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5話 新作のアイテムは初めはいつだって綺麗で美しい

木ッ菩魅烏(きぼみいうら)学園高校 7つ目の処刑人? なにこれ?? 近藤さん。また、変な題名つけたんですか?」


「まぁ、その題名はあいつの趣味というか生き様みたいなものだから、気にするな!! 詳しくは資料に書いてあるらしいから俺も詳しく知らない。」


 早速、読もうとしたが、そこでクロが「ねぇ、時間大丈夫?」


「えぇ?」


 灯は、妙に凝っているアンティークの大時計を見ると、8時丁度。


「ヤバい、遅れる!!?!!?!」


 いつもは、9時30分スタートだが、新学期の始業式ということで初日は9時スタート。

 この時間は朝の通勤ラッシュのため、電車が込みやすい。私は、いつも早く出て、学園の中にあるカフェで時間と潰している。学園に通い始めて1ヶ月で満員電車の洗礼を味わい自分には無理と感じ、クロに起こされている。

 私は、テーブルあった食パンを1枚取り、封筒を鞄に閉まってから急いで部屋をでた。


「あぁ、待って灯」

 璃子さんに呼び止められ、振り向くと横長のケースを渡せれた。

「眼鏡ケース?」


「この前の試作品が完成したの、今日1日、それを付けて過ごして! 後で、感想聞かせてね!」


「行ってきます!!」


 灯が出て行ってから、数分後。

「では、お2人とも私も行ってまいります」

 いつの間にか、メイド服から医療用のような服装になっていた。

 レディース白衣を完璧に着こなし、生地にはシルクのような美しい光沢があり、上品さ・大人っぽさ・洗礼された印象を与えていた。また、機能性を重視している作りになっており、ポケットの多さや充実した機能を備えていた。

「表にも裏にもポケットが多いからいろんなものを入れても怪しまれないし、教師でも良かったけど、養護教諭なら生徒の悩みも解決できるだろうし、あいつらのことやソドールの情報が来るかもしれない。まぁ、一番は灯を守ることだけど」


 クロは学園に向かう。


 一方、その頃、灯は再び満員電車の熱い洗礼を受けていた。


 木ッ菩魅烏駅は地下に設置されており、基本ここに通っている学生位しか降りない。

 降りるとすぐに改札口が存在し、そこを通過すると野球場位の広さはある広場にでる。いつもなら、学生棟がある北側に向かうが、今回は大聖堂がある東側の道に進まなくちゃいけない。

 木ッ菩魅烏大学付属高校 生徒数1500人を超えており1学年500名ほど在籍しており、15クラスある。




 長いエスカレーターに乗り、出口を待っている間、璃子さんに持たされた眼鏡ケースを開けると、そこにはシルバーフレームでライトブラウンカラーのサングラスがあった。


 リムと蝶番の間に存在している智に小型カメラが搭載されていた。テンプルの先っちょ、蝶番よりの部分にパソコンなどを起動させるためのボタン、「電源」が左右についていた。

 そういえば、ケースの中に紙切れが入っていた。


 〈最初は左右の”電源”を同時に押しなさい〉


 指示通り、左右の”電源”を同時に押すと、レンズ部分が薄い青色のディスプレイの変わり、そこに、璃子さんが映っていた。

「これが見えるとゆうことは、ひとまず成功だということね。一応、言っておくけど、この声はあなた以外聴こえないようになってる。サングラスのモダン寄りのテンプル部分に骨伝導が可能な振動ユニットを搭載されている。モダンを改造してイヤホンが出るような仕組みにしようとか色々考えたんだけど、そのサングラスに取り付けた機能はどれもあなたの怪盗活動に必要なものがあるし、イヤホンをずっと付けていると、外部の音が聞こえにくく敵に後れを取る可能性も考慮してとこのシステムにしたわ。初めに右を1回軽く叩いてみて。これは安心して作動させていいわよ」

 言われた通り、右を1回軽く叩いてみた。

 右ディスプレイに心拍・呼吸・血圧・体温の4つの項目が表示されていた。

「それは、今のあなたのバイタル情報よ。あなたの場合、強いストレスや自律神経の乱れには気を付けないといけないからね」


 そう、私はあの実験棟でそれに目覚めてしまった。別に悪いとは思わないし、むしろ、違う自分を知れて嬉しかった。本来の症状とは多分違う。



「本当は、右の”電源”を2回軽く叩いて欲しいけど今、灯がどこにいるか分からないから、人気のない所で、後で使ってね。右を2回軽く叩くとすると認識阻害が発生し、あなたの姿が周りから見えにくい状態になる。これを使えば、ソドールが現れても物陰で変身したり人目を避ける心配もなく、変身後、サングラスの効果が切れるようになっているから何もない所から急にあなたが現れ、奇襲を食らわせることができるようになるわ。だから、これからは、バイタルを見て大丈夫そうなら認識阻害を起動させてから変身してね。次は左側なんだけど......」

 左側の機能を聞く前にエレベーターの出口、大聖堂の前に到着していた。

 まぁ、後で聴けばいいか。

 サングラスを外し、制服の内ポケット、左胸あたりに位置するポケットにサングラスを収納した。




入口の前にクラス表が張り出されていたので確認し、自分が2年4組とわかるとすぐに大聖堂の中に入った。

 組ごとに分けられていたので指定されている自分の席に座った。私は、一番後ろになっている。理由は、いくつかあるが巌さん曰く、病弱設定にしておけば急に出て行っても(怪盗行為)怪しまれないし、辛くなったらクロがいる保健室に行けるためらしい


(あぁ! 天織さんだ!)

(一緒のクラスになった奴ら、羨ましい)

(今日も綺麗だな!)

(すっごい美人)

(おしとやかって感じだよね)

(彼女に欲しい)

(やめとけ、振られた人数100人超えたらしいぞ)


 ヒソヒソ声があちこち聞こえてくる。同じクラスになる子や周りにいたクラスが別の子まで一斉に私を見ていた。

 本当に......ムリ......

 朝は満員電車で痴漢には遭わなかったが人の波にのまれながら無事、生還したが身体の体力を大きく吸われてしまう。そして、今度は精神面のHPがジリジリと削られていく。毒に侵されていないのに不思議な感覚。呼吸で得られる空気がこんなに重く乗り掛かってくるので、上手く酸素が身体を供給出来ず、機能停止になりそう......


 ......今日も朝から視線が痛い。


 人はね、容姿が良い人を無意識に見てしまうから灯も慣れなってクロに言われたが、この学校に通い始めてから約半年が経過しても未だに慣れないので困惑中。


 しかし、()()姿()()()()()()って誰のことを言ってるんだろう??


 絶対、みんな他の人と間違えているよ。私はそんな上等な人ではありません。ヒソヒソな声の話も私に熱い視線も全て私のまやかし。

 まさか、朝の悪夢が続いているなんて......今日は授業ないし、速攻で帰って寝よ!


 悪夢なんてさようなら!!



 それに、あくまで学園に通っているのは璃子さん達の命令だし、あんな高校生の青春を送る必要がない。恋も友情も何もいらない。今はとにかく時間が欲しい。


 そんなことを思いつつ、始業式が始まった。


 理事長の巌さんの話が長いこと以外は特に何もなくつつがなく始業式は終わった。





これから一年お世話になる教室に入る。自分の新たな安住の地に座ると......


 編入時にも体験したがーーやっぱりかと同じクラスになった子達が押し寄せてきた。


「天織さん連絡先教えて」

「どんな男性が好きですか。ちなみに、自分なんてどうですか」

「こいつみたいなより俺はどうですか」

「お姉様って、呼んでもいいですか」



 最後の人、一応同学年なんだけど......

 私は、ニッコリとスマイル笑顔で丁重にお断りした。


 ガラッ!!


 ドアが開き、カツカツとヒールの音を響かせながら教卓に向かうのはスーツ姿が良く似合う若い女性だった。

「皆さん、席に着いてください。新学期初のHRを始めます」

 肩くらいまである黒い髪、知的で鋭い眼、あまり化粧っ気がない、ナチュラルメイク。

 すらりとした体躯に少し残念な胸を覆う、紺色の上着に、ミニスカート姿。


「まずは、皆さん、2年生への進級おめでとうございます。今日からあなた達、2年4組の担任になった三守真実(みかみまみ)よ。受け持ちは国語、まだ3年目だけど1年間よろしくね。早速だけど、クラスの自己紹介しれもらおうかしら」

 1番の人からどんどん自己紹介が行われていた。中には、部活の目標だったり、夢や将来のことを言ってる人もいた。


「次ーー天織さん!」

「......天織灯あまおりあかりです。  えー......………………よ、よろしくお願いします」



 

 何も考えていなかったので、頭が真っ白になり、紅葉のように頬を赤らめて、ささっと席についた。

 こんな、口がどもるような感じになってめっちゃ、恥ずかしい。



 この場にクロがいなかったことがどれだけ幸運だったことか......


 仕方がないじゃんっ!?


 そりゃ、あまり人と接する機会がなかったし、あっても、身内ぐらいしか気軽に話せないし

 私にとって見ず知らずに人に対して喋ることがどれだけ勇気がいることか......

 コミュニケーション能力が底辺の位置にいて、作法がド素人の私に例え、一言を言うだけでも高等レベル。

 などなど、色々頭で高速で思考を巡らせていると。




(やべぇーー!! ガチ恋なんだけど)

(今日は最良の日だ!!)

(明日、死ぬかもしれない)

(尊い!!!)



 ガッツポーズしたり、机に突っ伏したり、涙を流す人までいた。

 私が声を発する度にこれだ。


 編入時も休み時間に廊下で発情の動物ですかって密集していたのを思い出した。

 あの時は授業のチャイムがなっても動かず、数名の男性教師の皆さんが注意しても足に釘でも打って動かないようにしていかとこっちが心配になっていた。


 多少、慣れたけど、やっぱり恥ずかしい。

 そんな、クラスの様子をそっと、視線から外し、席が窓際の一番後ろだったので空を見つめた。








(せめて、普通レベルにしゃべれる人間になろう)

 密かに心の中で意気込む私。





よく喋る璃子さん・・・・


灯 ?? ???                □□□




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― 新着の感想 ―
[良い点] 無自覚美人の灯が可愛いです。 でもこんなに注目されると大変ですよね。 コミュ障系の美人ヒロインも良いと思います。
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