45話 FREEDOM VS JUSTICE 5月23日Ⅴ
現在、灯とクロはネコ型のソドールが現れたとされている現場に向かっている。
ルージュという予想外の妨害に遭って、ソドールはもういないのではないかと不安していた。
しかし、その不安は払拭された。
今ここは、楽帯町の商店街通りの途中の『寺木通り』を通り少しずつ、人気のない場所に到着した。
周りは雑居ビルで囲まれている広場。
灯とクロは建物の角で顔だけを出して広場を見ていた。
そこにはある意味、因縁のネコ型のソドールと緑川が戦っている。
ネコ型は標準装備の、右手に猫の手を模したと思われる熊手を所持しており、左手には指先まで伸びている鋭い爪を展開して一心不乱に自分の武器を振っていた。
緑川は後ろに下がりつつ持っている銃で向かい打っている。
「どうする?」
「決まっているでしょう!」
灯はクイーンズブラスターASKを取り出して【レッド】を付けた。
「ふんっ!」
クロもクイーンズブラスターBLACK取り出して【ブラック】を付けた。
「「変身!!」」
「クロは周りの建物の真上から奇襲」
「私は正面突破するわ!」
「了解!!」
クロは雑居ビルの屋上へ向かっていった。
「さぁ、行きますか!!」
(もう少しか......)
『アヒェントランサー』に表示されている情報は全て自分が着ているアーマーのマスクに表示される。そのマスクに数字が徐々に増加しているのがわかった。現在49%。残り1%で使用可能になる力がある。それがあればこの装備に備え付けられている能力が発揮できる。銃で牽制してエネルギーが貯まるのを待っているがそろそろ限界だった。もう1つバックパックに収納されている2番武器を使うのもありだが、敵はこっちが武器を切り替えるのを待ってくれない。現に、目の前で右手、左手に別々に武器を持っている人間サイズのネコの敵が一心不乱にこちらに牙を向けていた。
さぁ、どうするか......
後ろ向きで歩いていたため、地面の状態に気が付かない。そのため、自分がその辺に置かれている石ころにも気づかなかった。後ろ歩きは、前に歩く時とは反対に、かかとで地面を蹴って進みます。その時につま先は上を向く。かかとを後ろに踏み出す時に足の膝を軽く曲げ、足の裏全体で着地する。後ろ向きで歩く過程で何か障害物があればその行動が乱れ、予期せぬ行動が生まれる。足の裏と石ころがくっつき、バランスを崩してしまった。
尻もちをついてしまい、移動ができなかった。
緑川は焦っていた。緑川は額から冷や汗が噴き出ていた。
「終わりね!! 楽しかったわ、バイバイ!!」
ネコ型は右手に持っていた熊手を大きく振り下ろした。
私は勝利を確信した。
殺しは専門外だったが自分の目的のためなら何でもやる。
自分が持っている武器を目の前で尻もちをついている警察官に向かって振り下ろした。
突如、自分の背中に激痛が走り、くの字になって吹っ飛び顔面から地面に着地していた。
熊手を離し自分の顔を触った。
幸いにもかすり傷程度だったが突然のことで声を荒げてしまった。
「誰よ!! 私の顔に傷をつけるなんて......」
身体を起こしさっきまで立っていた場所を見ると見覚えがあるやつが足を上げていた。
上げた足を地面に戻してこっちを見て微笑んでいた。
「私よ、猫さん!!」
そこには腰まで伸びている真っ赤な髪、モデル体型のような細い体は烏の羽のような艶のある黒色のワンピース・ドレスに包まれている。ドレスの上に羽織っている深みのある華やかなワインレッドカラーのコートを着た少々、私と因縁がある女怪盗がいた。
「あの時の怪盗ちゃんじゃない!? また、やられにきたのかしら!!」
「この前のようにはいかないよ! ネコさん!」
「ふう〜 楽しみね! で、怪盗ちゃんが警察と繋がっているなんて驚きだわ!!」
「繋がっていないわ......こんな連中となんて」
「まぁ、良いわ......どのみち、正体を知られたからには2人とも生かしておかないけどね」
「今度こそ、あなたの成分頂くわ!!」
緑川のマスクのディスプレイにエネルギー充填率50%になっている表示が現れていた。
ギィイィィインッ!
ギィンッ!!
灯の【裁紅の短剣】とネコ型の熊手が重なり、金属音が鳴り響いていた。
灯はネコ型の移動させず、その場に留まられ私が周りを【ホッパー】を起動させながら縦横無尽に攻撃をしかけていた。
ネコ型が熊手と左の爪で私の攻撃を受け流しているが移動できない点がネコ型を焦り始めさせた。
戦闘は、誰かと喧嘩だってしたことがなく自身の手癖の悪さとこのソドールの力だけで今までいろんな人から金品を奪ってきた。
敵とも距離を離しながら、戦っている。武器もただ振り回しているだけで偶々、相手が直撃しているだけ。
今も自分の持ってる武器を敵のナイフにぶつけることしかできていない。
金属音の煩さやそれによって生じる小花火が視界を遮っていた。
「ーーーーッ!」
急に怪盗ちゃんがいなくなり辺りを見渡してもどこにもいなかった。
(どこ行ったの......まさか!?)
自分がいる場所から顔を上げると真上にこちらに落ちてくる物体が1つ。
眩しくて目を全部開けることはできないが、目を凝らしていると女怪盗が空中にいた。
太陽に背を向けた状態でナイフと一点集中のポーズをとってこちらに落ちてきた。
猫の手を模したこの熊手では刺すことがそこそこ難しいが左手にあるこの鋭利な爪なら
貫けると考え、落ちてくるのを待っていた。
あれ?おかしい?いつまで経っても落ちてこない......
なぜ?
「あれは私であって私じゃないからですよ!」
後ろから声をかけられ反射的に身体ごと振り向くとさっきまでいなかった怪盗ちゃんがそこにいた。
そしてこれも反射的にかぎ爪を左から右へ斜めに下ろすように薙ぎ払い攻撃して目の前の女怪盗の胴体に3本の鋭利な線ができてしまい、三枚おろしのようになった。
「ハァ、ハァ、ハァ......ハ、ハハァァ!!!!!」
初めは荒い息がしていたが次第にそれが笑い声に変わった。
「やったわ!! さようなら、怪盗ちゃん!! 後はあの緑色の変な警察官位かな」
「さよならは早いんじゃない?」
「えぇ!?」
腹部を正確に抉り込み、勢い良くアッパーをして、放物線を描くように上へ吹っ飛ばした。
そして、力を失った身体はそのまま頭から地面へ落ちた。
「しっかし、いくら虚像の怪盗だからってこれは、ひどい状態だね......僕のじゃなくてよかった」
倒れている怪盗に手を合わせた黄華。




