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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
1章 4月~5月 新米女怪盗は1歩を進む
43/193

43話 FREEDOM VS JUSTICE 5月23日Ⅲ

「嘘でしょう......」


 何故......おかしい。だってあいつは......


 ルージュが出したモヤが人のサイズに変わりその容姿が次第に判明してくる。


 体色は黄緑色に黄ばみ橙色の斑点がある蜥蜴トカゲで、左腕全体には赤緑色をした蔦で覆われており、左手に青紫色の野球ボール位の大きさがある球根を持っている。



 見間違えるはずがない。だって私はかつてこいつから、成分を奪ったのだから。




「.........!?」

 なんで? 意味がわからない? どうして?

 目の前にいる蜥蜴トカゲ型のソドールは3月に私が倒して成分を抜いたはず。


「あれはあいつの持ってる鎌の影響よ」

「あいつの持ってる鎌はーーーー死神のデスサイズ


 死神のデスサイズ

 これには”生命を刈り取るもの”のイメージに由来するという説や、東欧の風習に由来するという。 それは、土葬した死者が蘇って来ないように、首の前に鎌を添えて棺に入れたもので、こうすると蘇って立ち上がろうとしたときに首が切れてしまい、現世に立ち戻ることができないとされた。


「デスサイズって死神が持ってるっていう武器のことだよね? それに死神って......」


 死神と聞いて人は何を思い浮かべる。多くは、黒いローブの下に骸骨を隠し、三日月型の巨大な鎌を持つ姿を想起するとされてる。


 多くの文化では、神話の中に死神を組み入れている。人間の”死”は”誕生”と共に人生にとって重要な位置を占めるものであり、性質上”悪の存在”的な認知をされている。

 そして、死神には”生死を操る能力”がある。



「本来のあいつなら”生死を操る能力”を使って仕事していたの。でも、その能力はあくまで上の申請、つまり私が了承すれば使用できていた」

 クロの部下は全員、正規の方法で人間界に来ていない。正規の方法で来ていたら使っていたであろう能力も今は使えないらしい。


「しかし、今のあいつにはその能力と似た能力を使えている」


「ソドールの力が保有してあるモノ限り私の能力を使えるようにしました。色々、実験したのですが流石に人形をそのまま使うことができませんでした。でも、以前そちらの女の子が面白いモノを使っていましてね!! 技術を流用させて頂きました!!」


 やっぱり、あの時の私との戦いが今の状況を生んでしまった。

 その事実を思い知らされ下唇を噛んでいた。


 急に頭をポンと叩かれる。

「大丈夫よ!! 一度、戦った相手に遅れを取る必要もないわ。それに前に灯がいったじゃない、『奪われたら』......」


 その言葉で私は下唇を噛むのを辞めて、口角が上がった。

「奪いかいして見せるわ!!」


 2対2の戦闘となった。


 私の【裁紅の短剣】(ピュニ・レガ)、クロの【黒志】(ブァーク)、ルージュの死神のデスサイズの刃の切っ先が当たり続け金属音が鳴り響いていた。

 クロはかく乱させてルージュの死角から攻撃を加える構えを取った。

 私は【ホッパー】を起動して空中を移動しながら加速して上空からルージュを斬りかかった。


 私は横に吹っ飛び近くの店だった建物に直撃した。


「イったぁあぁぁ!!」

 横腹を抑えながら起き上がった。

 負傷している私の前に歩いてきたのが蜥蜴トカゲ型のソドール。


 蜥蜴型の左手に持っていた球根から蔦が飛び出しており、だらしなく伸びていた。

 あの時、戦った蜥蜴型は球根を地面目がけて投げておりコンクリートの道路を気にせず地面の栄養を吸って蔦を成長させ攻撃してきた。

 でも、私の前にいるソドールはそんなことをしなかった。



 クロとルージュは目で追えないほどの斬戟を繰り広げていた。

「相変わらず、良く鎌で攻撃をやるわね、素直に感心するわ」


「意外と大変なんですよ、これ」


 基本的に鎌というのは”あてがって引く”ことによって切るとされている。

 ”肉に突き刺す”ことはできても、”切断する”ことはできない。

 もちろん、適切な角度で、なおかつ高速で振り抜くのであれば話は別。

 高速で振り抜く場合、先ず先端を突き刺して、そのまま振り抜く。すると、先端が食いこむと同時に両側が割けていき、最終的に切断できる、と。

 ただ、最大の問題は重心が柄の先に集中しているということ。しかも、根元から刃先まで重量が分散している。等身大ぐらいのでかい鎌となると、振り抜くには簡単な言い方をするとものすごい腕力がない扱うことができない。下手すると持ち上げたときに自分を切ってしまう可能性がある。グリップが甘いと小手が返ってしまったりもするとされている。

 等身大の鎌の重量を支えられる柄で、なおかつあれを振りまわせる腕力があるとすれば、柄をぶつけられただけで即死になる。


 クロは思う。璃子りこ大先生には感謝しかないと。クロ達が着ている怪盗服のおかげである程度のダメージを抑えることができる。

 仮にあんな鎌の攻撃を直撃してもなんとか死ぬことはない。しかし、限度はある。


 お互いは後ろに退いた。

「あの蜥蜴、簡単な動作しかできないみたいね」


「えぇ、前だったら生物の魂に直接干渉して複雑な動きも出来なんですがね〜」

 苦笑しているルージュ。


「もう少し時間があれば全員の力が全開放した状態でこっちに来れましたのに、あの時、邪魔が入らなければ......」


「......あの時、貴方達の計画を聞いた悪魔達のおかげね。彼らは、貴方達の攻撃後、すぐに死んだわ......」


「そんな昔のことはいいじゃないですか。今を楽しみましょう!! お互い弱体化した状態でどこまで戦えるのか」



「行きますよ!!」

 右肩の鎌の柄を乗せていたルージュが加速してこちらに向かってきた。



 避けるか【黒志】(ブァーク)で攻撃を受け流すかなどの次の一手を考えていると背中から何かが当たるのがわかった。

「レッド!?」


「ごめん、あいつの攻撃を避けて移動していたらこっちまで来ちゃった」


 今、私とクロは敵に囲まれている形でお互い背中と背中がくっついている状態になっている。

「私が合図したらジャンプしてよ」


「信用しているからね」


「信頼の間違えじゃないの、クロ!」

 私達はお互い口角を上げながら、目の前の敵がどのように攻撃してくるか注意深く警戒していた。


信用は相手に対して一方的な評価。

信頼はお互いの気持ちのやり取りの上で成り立つ感情。

信用があって初めて信頼を得ることができる。



43話現在、灯達が使えるソドール能力。

No.14 ライオン 白黄色

No.25 カメラ 黄茶色

No.33 ホッパー 青ピンク色

No.35 スパイダー 赤紫色

No.47 シャーク 青水色

No.48 ボーン 茶橙色

No.52 ダイヤモンド 水白色

No.53 ミラー ピンク赤色

No.55 クレーン 煉瓦橙色

No.56 ラッキー 茶黄緑色


ルージュが使えるソドール能力

No.37 マント 黄緑青色

No.44 ??  ??色

No.59 アイヴィー 緑黄緑色


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