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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
3章 7月 冱蝕の氷龍止めるわ、剣と拳
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74話 洋館事変 Ⅳ 「何故、人間があの方の寵愛を受けている」

お久しぶりです。

よろしくお願いします。

「じゃあ、改めて自己紹介しましょう。私はネルディー。青の悪魔って言えば分かるかしら。天織灯さん……フフゥ」


 笑みを溢しながら女性……クロが捕まえないといけない青の悪魔が灯の目の前にいた。




 青の悪魔、もといネルディーは私の髪を鷲掴みする。

「少しスッキリしたわ……」


 ネルディーの握る力が強くなるのを感じる。

「貴女が以前、私の子どもを倒した。覚えている? 濃本竜胆(のうもとりんどう)君。あんな純情で無垢な子をよくも暴力を振るってくれたわね。母として貴女に教育してあげたわ。それはもう体の至る所に……」


 視線だけ向ける。向けた先は自分の首から下の身体。傷がない箇所を探すのが難しいほど裂傷で覆われている。切り傷だけではなく、打撲痕も残っていた。


 私は自分が許せずにいた。また......私は青奈ちゃんとこうちゃんに守られている。初めは二人の後ろをついていくのが背一杯だった。最近、やっと二人の肩に並べるくらいになったと思っていたが結局、私は二人の重荷になっていた。


 そして、ただただ悔しかった。自分は役立たずだということに。


 それだけじゃない、目の前のコイツが二人を……


 歯噛みし、ネルディーに怒りの目を向けた。

「お、ま、え……」


 私の言葉にネルディーは不機嫌な顔をする。

「これだから成熟した子どもは好きなれないわ」



 瞬間的に恍惚の表情を出すネルディー。

「それに比べて小さな子どもは素直で大好き!」



「こ、の、へ……ん、た、い……」


 私は地面に顔から叩きつけられた。床には水たまりがあり、そこに顔面から浸かる。

 ネルディーは髪を持ち上げ、灯の目線を自分に合わせる。



 呆れた顔で吐き捨てた。

「本当に生意気ね……」


 けたたましい音が響く。頬に平手打ちされたことで反射的に灯の身体が振り乱れた。



「子どもも大事だけど、私は貴女にどうしても聞きたいことがあるのよ。前までの貴女は今と違って私と会話する気なかったし……」




 髪から手が抜け、私の首を掴むネルディー。

 壁に激突する私の背中。息が出来ない……


 苦しみもがく私をネルディーは怒りの目を向ける。



「どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……お前みたいな人間風情が……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……私が最も敬愛するあの方の寵愛を受けているのよ」



 ネルディーは何度も私の頬を叩く。

 不快なビンタで口の中が切れ、吐血する。既に床には褐色の血が辺り一面にこべりついていた。

 黒にも似た血の床に明るい血が追加される。





 息を荒げるネルディー。

 大きく手を上がる。振り回すように横から張り手が打たれる……














「あのさ〜」


 ネルディーの首元に鋭利な刃が当たる。ネルディーの後ろにいたのは赤の悪魔であるルージュだった。鋭利な刃の正体はルージュの武器である死神の鎌(デスサイズ)


「このまま引けば、君の首なんて一瞬で切断だよ……」


 私が見てきたルージュは別人ではないのかと思わせるくらい、今のルージュは違った。

 私やクロと戦闘をしていたルージュは陽気な口調で、劇場を盛り上げるピエロのように振る舞っていた。だけど、今私の前にいるルージュは無表情な怒り。そのものだった。



「私は最後に自分の目的を果たせれば、いいんだよ。多少過程がズレてもその都度、修正している。これも人生だからね。修正するのも楽しいよ。でもね……」


 ネルディーの顔面が蒼白していく。悪寒の汗を一雫流していた。


「こうも自分の目的が遠のく事態が続くとなると……例え、昔からの馴染みでも……そろそろ私も怒るかな」


 一言も喋らない、いや喋れない。何か一言でも言えば自分は消されると体全体から危険信号が遅れていた。


「……」



()の邪魔するやつは消す。後は分かるよね、ネルディー」

青は完全に敵対コース。今度仲良くなることはありません。

封印一択です。



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