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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
1章 4月~5月 新米女怪盗は1歩を進む
19/193

19話 長い連休明けは色々、辛い

 ゴールデンウイーク明け......

 休み明けは誰しも「明日から学校か〜」、「明日から会社かぁ〜」などと億劫になるもの。

 普通は通学・仕事が始まると自然と規則正しく身体も心も行動するためにスイッチが入るものだが、今年はなんと10連休。

 中々長い休みの為、やる気が起きない人が多数。

 道を歩いている人の中にはノロノロ歩いており人間を求めて徘徊しているゾンビのようだった。


 そんな街中の様子をガラス張りのカフェでコーヒーを飲みながら学校が始まるまで時間を潰している天織灯がいた。


 青奈:今日から学校再開!! ゴールデンウイークというものを初めて味わったけど暇だったわね。ソドールも出なかったし......


 黄華:暇って程じゃないでしょ?


 初日はずっと実験室で検証

 2日目は零冶の知り合いの喫茶店で仕事

 3日目は橋間とショッピング

 4日目は青奈が遊び

 5日目は僕が遊び

 6日目はクロと訓練

 7日目は璃子の買い物に付き合い

 8日目は橋間と映画

 9日目、10日目はクロと訓練

 ここ半年の灯にすれば過密スケジュールだね!!


 灯:それって、まるで私が暇人みたいじゃない......


 青奈:実際、この前まで灯ちゃん。友達いないし、休みは部屋に引きこもっていたんだし......


 黄華:陰キャの最先端みたいな生活してるね!!


 灯:(目を晒す......)


 青奈:まぁ、灯ちゃんのウェイトレス姿が見れて良かったけどね


 黄華:コミュ力鍛えるためだったとはいえ、あれはね〜


 青奈:可愛かった!!




 灯:わ、忘れて......。お願い!! 二度とやらないからね......


 こんな会話をしているが周りの人は聞こえない。今までは口を動かし少し声を出しながら会話していながら生活をしていた。戦闘中なら問題ないが私生活でこれをやってるとかなりの不審者に見える。それがかなりの美少女なら奇怪な目で見える。最近は戦闘中でも口を動かす労力に力を割くより脳内で情報伝達する方が効率的を気づいたためその訓練をしていた。少しずつではあるが念話の様なことができるようになった。


 外からドアを叩くような音が聞こえ右側に目線を向けるとそこには橋間すずがいた。

 トレイなどを片づけすずの方に向かった。


「おはよう!! 灯」


「おはよう!! すずちゃん」


「そういえば、来週、林間学校だね!」


「林間学校?」


「そうか......灯は初めてだっけ? なんでも、現代は便利なもので溢れかえっていたり、社会の荒波に耐えることができなくなり学校を休みやすくなることから行われた行事」


 木ッ菩魅烏高校の林間学校は1・2年生が毎年行われている学校行事。

 学校が保有している施設で2泊3日過ごす。主な内容は樹木に接し、心身への癒しを求めるもの。現代社会は便利なもので溢れかえっておる。別にそこは悪いことではない。便利なものが開発されれば空いた時間で出来ることが増える。例えば、自由な時間を作って趣味や興味あるものに手を伸ばすことができる。しかし、それは全人類ではない。多少の人は怠ける傾向にある。それにより、人の能力や感覚が失われていく。もしくは、それに依存してしまう。

 なので、この林間学校の行事を行い限られたものだけで過ごしていき人間的な感覚を改善していこうというもの。


「まぁ、こんな思惑があるけど、クラスメイトで何か一緒に楽しもうってこと。色々、制限はあるけど......」


「制限?」


「そう!! 携帯端末などの情報が詰まっているものは学校で保管される。ちなみにこれを違反すると1週間の地獄の補修授業が行われ、最終日はテストがあって合格点90点以上。90点以下はもう一巡、1週間地獄補修が継続されるの。そんなことがあるからみんなこの行事だけはみんな潔く良く従うよ」


 そんな地獄が待ってるならそれはみんな従うよな


 青奈:ふう〜ん。林間学校ね〜


 黄華:自然環境で過ごすのも悪くわないね。ただ問題は......


 灯:山か......


 青奈:まぁ、学校が管理している山だから。あんな研究施設があるわけないし、理事長もいるから大丈夫でしょう!! それにさっき、こいつも言ってたけど自然に触れ合いながら過ごすのも悪くないね......


 黄華:心が安らぐ的な!!


「そういえば、1・2年生が行うなら合同なの?」


「いや。時期を変えて行うの。2年生はゴールデンウィーク終わってすぐに行われ、1年生は5月中旬から下旬のどこか」


「具体的に何をやるの?」


「森林の中をウォークラリーしたり、みんなと一緒にカレー作りなどかな」


「なるほどね〜」


 そんなたわいも無い会話しながら学校に向かった。






 放課後ーー


「もうすぐ林間学校です。渡したしおりに書いてある注意事項を良く読んでください」

 〈木ッ菩魅烏高校の林間学校〉

 5月11日〜5月13日

 ・11日は午後に到着しカレーを作る。

 ・12日は1日中ウォークラリーを実施。

 ・13日はお昼まで自由行動


 〈注意事項〉

 ①所持している携帯端末などは11日に学校で保管する。

 ②学生にはそれぞれ個別のロッカーが与えられそこに収納する。

 ③ロッカーは自分が他人知られてはいけないように暗証番号を入力する。


 ※もし、所持が発覚した場合、とっても楽しくて優しい1週間の授業を行います。


 色々、書いてあるが朝、すずちゃんが言ってた授業のことが赤色になっており他の文字より大きめになっておりわざわざ、フォントまで変えてわかるようにしてあった。



「では、今日のHRを終わります。皆さん、道中気をつけて帰ってください。最近は何かと物騒なので。あと、天織さん国語準備室に来てください」


 そう言い残すと三守先生が教室から出ていった。


「失礼します」

 私はゆっくりドアを開けた。

 部屋に入ると三守先生とクロがいた。


「灯ちゃん!! 今日も学校、お疲れ様。来てもらったのは明後日に行われる林間学校のことよ。今回の行事に警察が警護するの」


「えぇ!? 何でですか?」


「橋間さん達の一件があり警察も木ッ菩魅烏高校を調査することらしいよ」

 4月に起こったすずちゃん達のことは警察でも気になっているらしい。幸い軽傷ですんだ程度だったが、使われていない工場で3人の学生に謎の火事。警察が調査しない訳が無い。


「警察から理事長に連絡があり警護って形で動向するらしい。施設のスタッフに紛れ込んでくるらしいわ。流石に携帯端末は他の生徒のこともあるから無理だけど、怪盗の変身アイテムぐらいなら持ち込んでもいいよ。

璃子さんが作ってくれたそのサングラスも持ってていいけど、他の生徒に見られないようにね」


「それはありがたいですけど、何も起こらないと思いますけど??」


「念の為よ 念の為......。それに、毎年何かしら事件が起きているから。毎年大変なのよ......」


 怪盗アイテムを持てば正体がバレる可能性が高まり危険ではあるがもし生徒中にソドールになって悪さをする人がいるなら阻止して成分を回収しないといけない。

 かなり、リスクがある。注意してかからないと。


 三守先生との話も終わりクロと一緒に帰っていた。

 この数日、クロの様子がおかしい。まぁ、無理もない。半年以上探していた元部下の悪魔の1体を見つけたのだから。

 ゴールデンウィーク中に何日かクロを能力の検証しつつ戦闘訓練を行った。いつもなら、真剣に訓練していても飄々にしていたが、今回はいつも以上に殺気立って訓練をしていた。

 それだけではなく、夜中から明け方まで街中を探していたり学校での仕事は流石にちゃんとしていたがそれでも少し時間があればすぐに近隣を探していた。


「そのーークロ大丈夫?」

 その言葉で歩いていた足が止まり後ろにいた私の方に身体ごと向けた。


「ごめんなさい。大丈夫とは言えないけど少しは落ち着いているかな......」


「ここ数日、血眼になって探したけど手がかりすら見つからなかったーーどんなに探してもね......」

 空を見上げながら悔しそうにこぼしていた。


 そんな時、ポケットに入ってる携帯端末が振動した。

 確認するとNEKOさんからだった。

 NEKOとは通称で、本名は堂島音子(どうじまねこ)

 協力者の1人。私のクラスメイトの堂島明乃の妹。機械いじりが好きな高校1年生。コンピューターのシステムにも詳しく警察の無線も傍受したりできる。

 警察の内容を傍受と言ってもあくまでソドール関連のことでそれ以外には興味を示さない。連絡があったってことは警察に何か動きがあったのかもしれない。


 宛先:NEKO

 内容:浅間町の雑居ビル周辺で黄緑色のマントを羽織ってる怪しい奴が出没したって。

 ビルとビルの間を移動していて人間では到底できない行為をしているって。

 警察でソドールの特別班みたいなのが出動するみたい。


 浅間町かーーここから2駅の所。


「クロ、行きましょう!!」

 2人は急いで現場に向かった。

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