表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
3章 7月 冱蝕の氷龍止めるわ、剣と拳
174/193

57話 波刃の炎と仲直り

リンゴォォォォォォオオオオオ!!!

フィグゥゥゥゥゥゥウウウウウ!!!!!


グハァ......ッ!!

『ダイヤモンド』!


 虚な人々が灯に触れる前に灯は地面に一発の銃弾を放つ。

 地面から生えた水白色の柱。その間に建物と建物の脇道へ走る私。ダイヤモンドの柱が栓となって虚ろな人々が先に進むことができずにいた。








 ◇


 柱に群がっている黒猫たちは先に進もうと無我夢中だった。目の前に餌が置かれているけど手が届かない。それにより発生する飢餓状態。その様子をバイクに乗ったまま見ていた親猫は熱気に満ちた剣を抜いた。『炎』の名を冠するように、揺らめく炎を模した剣は独特な形状をした刃を持っていた。抜かれた剣は今まで封じ込まれていた腹いせに刃はイライラな炎を吐き出していた。

 『炎』は所持者にまで牙を向ける。それにより所有者の身体は炎を一体化した。


 燃え上がる刃を払う。纏わり付いた炎は(水白色の柱)を消し炭にすべく行動を起こす。

 その圧倒的火力で柱は溶け始め、開通した。道が開けたことで静止していた人々が走り出す。



 (女怪盗)を追い求めて————











 ◆


 脇道を抜け、大通りに来た。追手が来る様子がないので、サングラスのサポートで屋上へ隠れる灯。

 地図でも灯以外にも人が表示されていたが操られていない一般の人だった。

 一休みしようとした時、自分が汗まみれだと漸く気がついた。


 黄華:灯、交代だ


 灯:お願い……



『イエロー』!





 精神世界——


 私は青奈ちゃんと向かい合った。お互いが気まずい状況の中である。


「せ、青奈ちゃん……」


「な、何? あ、灯ちゃん……」


 私が自分の名前を呼んだことに驚き、狼狽していた青奈ちゃん。


「ごめんなさい……」


「——ッ!?」


「青奈ちゃんがどんな心境かも知らないであんなことを言って……許して貰えるとは思ってない。でも、その……」


 灯は両手をモジモジと手を揉んでいた。


「な、仲直りがしたい……いや、したいです」


 青奈ちゃんが抱きつく。


「こっちこそ、ごめんなさい。ああするしか方法がなかった……」


「こうちゃんから聞いた。それなのに、きついことを言ってしまった。私なんかよりも人を良く見ている青奈ちゃんなのに『気持ちが分からない』とか言っちゃたし」


「私しも灯ちゃんを『子どもで弱い』なんて侮辱してしまったわ。友人を助けたい一心の人に完全に冷静に対処しなさいって言うなんて……人間失格みたいね——私しは」


「こうちゃんが私たちどちらも悪くないって……だから、元凶を倒そう! 倒して、全てを守る。そして、一刻も早くこの悪夢から脱出しないと」


「そうね。私しも頑張るわ!」




(時間は……9時、もう少しで10時か)


 黄華は今、屋上で太陽の光を浴びている。別に日光浴を楽しんでいるのではない。戦術の手数を増やすため。厳密には黄華の専用武器である【捕食者の影爪】(シャク・ロドエ)を太陽に照らしている。陽の光でガントレットの中で爪型である【リッキープレイド】が蓄積されていく。この戦いがいつまでかかるか正直、分からない。灯と青奈の武器は僕のようなチャージ機能がないので夜間、戦闘でも問題ない。でも、僕の場合はガントレットだけでも良いけど戦略の幅を利かすために青奈の指示の元、行動している。


 幸いにも脅威が近辺に発生していないのでこうして安心して武器を生成している。

 休まず敵に向かうことも出来るが、準備せずに挑むなんて無謀。決して挑戦ではない。僕らしか現状、虚な目の人たちを救えない。僕らがしくじれば、この地域だけじゃなく地球全部がバイク型の支配下になる。完全なディストピアになり変わってしまう。


 実は休憩や武器生成だけで屋上に居座っているわけではない。後、1時間か2時間くらいは敵をやり過ごしたい。一番なくては困るものが数時間で復活するからだ。


 黄華:お前ら……はぁ〜


 青奈:心配かけたわね、ごめんなさい。黄華……


 灯:ありがとう、こうちゃん。おかげで……


 黄華:ちゃんと、仲直りできたんだな?


 2人:うん!!


 黄華:それは何よりだな。良いか、2人とも


 黄華:喧嘩するのは結構だけど、時と場合を考えろよ。OK?


 灯:はい……


 青奈:えっ……


 黄華:よろしい! で、目下の問題はどうする?


 青奈:今、【リッキープレイド】はどれくらい生成できた?


 黄華:【捕食者の影爪】(シャク・ロドエ)に付属している三本を除くと十五本はガントレットの中にある。もう少し、つくるか?


 青奈:そうね。あって困るもんじゃないし、こちらは3人。対して敵の数は不明。明確な敵は1人だけど、アイツはきっと操っている人を盾にするわね。だから、支配されている人の動きを封じるために色々なモノが必要になっていく


 灯:【スパイダー】だけじゃ心許ないし……


 青奈:こんなピンチな状態でもNo.18とNo.46が使えないなんて


 黄華:璃子が言ってたしな。事情があって使用不可だって


 灯:だからって……


 青奈:ないモノねだりは時間の無駄。今、あるもので状況を打破しましょう!


 黄華:どっかにいる悪魔たちからマガジンを奪えれば尚、良いけどね〜


 青奈:カサンドラには【キャット】、【ラッキー】


 灯:ルージュには【マント】、【タカ】


 黄華:2人からマガジンを回収できれば、多少は楽になると思うよな〜


 青奈:もしくはまだ見ぬソドールのマガジンを所持しているもんなら剥ぎ取る!!


 灯:猟奇的だね、青奈ちゃん


 黄華:灯に漸く、触れて頭が冴えているんだろうぜ


 灯:冴えているって言うのかな、あれ?




【リッキープレイド】を三十本にした時点で再行動を起こす。

 早速、僕らに気づいたのか虚な人が迫る。軍勢で来ているがバイク型の姿は見えなかった。

 一人一人相手にするのは骨がいる。なので、【スパイダー】を起動した。

 プラス新型サングラスの機能を使って、目的地(自宅)に向かい始めた。

黄華:「今は身内同士で険悪なのはめんどくさい」

 灯:「謝罪したけど......まだ、怒っているのかな?」

青奈:「はぁ〜!! 灯ちゃんと抱き合ったことで心が穏やかになっていく? 全身に幸せが満ちていく......!!」




【バイク】×【ペヨーテ】×【ファイヤー】

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ