55話 骨髄徹:荒ぶる魂
青奈は黙って階段を降りた。
灯:どうして……
黄華:灯……
灯:どうして、すずちゃんを置いていったの……青奈ちゃん
黄華:灯、それは……
青奈:良いのよ、黄華。あの場では私したちに何もできなかった
灯:急げば間に合ったかもしれない……
青奈:確証のないことはしない。それに私しと黄華は灯ちゃんを守るために存在している
灯:私は子どもじゃない……
青奈:まだ、子どもよ。そして、弱い……
黄華:オイッ!? 青奈
青奈:黄華は黙ってて。灯ちゃん……物事は感情だけじゃ動かない。行動を起こしてこそ発展していくの
灯:だから私は、行動に移したじゃん。すずちゃんを救おうと実行しようとした。なのに……
青奈:あの時の灯ちゃんは行動しているようで感情が優先されていた。あれでは意識を失ったすずに捕まるわ。いくら自我がなくても友達を払えない。そのまま抵抗できず洗脳主の手に落ちるわ。冷静になって……
灯:今はそんな正論なんてどうだって良いぃぃぃ!!!!!!!
灯:感情が先に出て何が悪いの? 大切な友人のためにあらゆる手を尽くしたいって行けないことなの? 青奈ちゃんは助かる命を無下にしたんだよ。なのに……その手を払い除けたのは青奈ちゃんじゃん。冷静、冷静って人間はそこまで律せない生き物。青奈ちゃんには永遠に分からないよ
黄華:灯、言い過ぎだ。
私はこうちゃんの顔を見て、我に帰った。
灯:い、いや……今のは……
黄華:僕が灯と話すから……青奈は引き続き、注意深く進めよ
青奈:えぇ……
灯:こうちゃんもそうだよ。なんで青奈ちゃんに肩を持つの......
黄華:あそこではあれが最善の手だったからだ。だから、青奈の行動にも目を瞑った
灯:2人はそこまで切り離せれるのよ。おかしいよ……おかしいよ
黄華:灯……一つ、質問するぞ。お前はなんで今、追ってから逃げれた?
灯:そんなの簡単じゃん。このサングラス……!?
黄華:璃子は僕らの安全のために改良したそのサングラス。自動的に危険回避プログラムみたいなものがあるんだろうね。それを使って、今いるビルまで追ってを回避してきた。時には外部……走っている車や自転車などを利用して……
黄華:灯は追ってから逃れるためにナビ通りに進んでいたろ? これは璃子の設計がダメだったのか、単に僕らを絶対に守るためだったのか分からないけど、ナビはすずの安全までは考慮してなかった。
黄華:ナビはあくまで僕らを起点に指示を出していた。僕らに迫る厄災を長さや数量で教えてくれる。でも、仮に横になって並列に行動しても隣にいる人が数センチ離れていたら災いは回避できないのかもしれない。まぁ、幸いに僕らもすずも無事だし、あとで璃子に言って改良してもらえば良いかな〜
灯:そ、それじゃあ……青奈ちゃんは……
黄華:あの場で灯がすずを璃子の所まで連れていくのは良い判断だった。例え自我を無くして僕らを襲っても拘束して家に連れていくこともできた。だけど逃走している時、追ってきた奴らは重症でも止まるのを辞めていなかった。僕らを捕まえるまで歩き続けろとでも命令されているんだろうぜ。それと同じことをすずがやっていたら……それこそ救えなくなる。
黄華:ミドリが居ても来るまで幾分か時間がかかってしまう。その間に怪我が酷くなれば治せない。ミドリの力は僕らや他者の傷を、どんな大きな傷でも治すこと容易。だけど、命までは……消えた命は直すことはできない
灯:私は……青奈ちゃんに
黄華:あの場でどちらが正しいなんて分からない。だからと言って灯が悪い。青奈が悪いなんてことっぽちも思わないよ。まぁ、あそこで灯を怒らしたのは青奈の落ち度だけどな。そこは怒り続けても良いぞ。それに……
黄華:喧嘩するほど仲が良いとも言うしね!
灯:この状況でそれを言う?
黄華:ちがいね〜!!
ビル1階へ到着した青奈。新型サングラスのディスプレイ型レンズには詳細な地図が表示されている。自分を起点にして現在、周りにどれだけの人がいるのか。交通量なども記載されている。
赤い点が私し、黒い点が他人、青い点が自動車と識別されていた。
赤い点……つまり私しの位置は常に移動している。歩いているから当然だけど……
問題なのは、それ以外が動いていないこと。
今入っているビルを囲むように黒い点が混み合いっていた。アイドルの出待ち状態になっていると表現した方が良いかな……
外に出て、周りを確認した。私しは愕然とする。
ビルを取り囲んでいた人たちは全員、虚ろな目で微動だにせず立っている。正確な数は分からないが100人はいると見てもよさそう。どうやってここが特定されたのは今は置いとく。
人を操るタイプのソドールとは薄々気づいていた。魔法とかの類ではない。幻覚や洗脳といったことを可能にする植物などを考えていた。
しかし、ここまで大人数の意識を奪い、あまつさえ無理やり1人の女子高生を狙わすなんておかしい現象だった。しかもどんどん感染が拡大していっている。これはまるで……
精密な地図に変化が生じた。青い点が1つ。こちらへ向かってくる。
地図を見なくても分かった。爆音を鳴らしながら迫る何か。騒音の環境下でも周りの人は耳を抑えずずっと立ち尽くしていた。
音は徐々に増幅していく。それに合わせて人がはけて行き、道ができた。先程までずっと立っていただけの人々が誰かの命令で両脇に整列していた——主人を向かえるかのように。
怒号は進み、人の壁でできている弧の道路へ進行してきた。
騒音の方向へ顔を向けると全身は黒色のライダースーツ。ヘルメットも黒色。背中には細長いモノを背負っていた。体格からして男性なのは明白だが、それしか得られる情報がない。そして、響音の元凶であるバイクはわずかに灰色混じりの白色。ハーレー・ダビッドソンに似た巨大なバイクで後方にはメタル型のサイドバックが備え付けられていた。
「正直、ここまで捕まえれないとは思わなかったよ。プロと相手しているみたいだったよ。その技能は実に惜しい……」
渋い声で私しを称賛する。
ライダー男は左手で左側にある銃を抜き、銃口を私しに向けた。
「悪いがこれも仕事なんでね。大人しく捕まってくれないかな?」
「『仕事』? 私を捕まえることが仕事……」
「『天織灯』……『黒咲濡羽』……そして、『天織璃子』。君たちを捕獲することが俺の仕事だ」
「誰かしらね。こんな可憐な女子高生を狙うなんて……教えてくれるかしら?」
「守秘義務だ。それに君が知る必要はない。もう一度、言う。大人しく捕まってくれないかな?」
「”分かりました。大人しく捕まります”って言うと思えば大間違えよ。こっちは貴方に腹が立っているのよ」
私しが周りの人へ目を向けるとライダー男が苦笑した。
「計画ではこんなに多くする予定はなかった。君があまりにも正確に逃走するもんだから兵を増やした。それだけだ」
「『兵』ですって。彼らは関係ないわ。早く解放しなさい!」
「なら、捕まってくれないか?」
黄華:捕まったら、最後だな……
青奈:仕方がないわね。黄華!
黄華:どうした?
青奈:貴方が初め。できれば日中は任せたいわ
黄華:OK!!
灯:待って……
2人:!?!?
バイクを降りて近づいてくるライダー男。
左手は銃を構えている。こちらを警戒してのこと。正面まで到達したライダー男は右手を出す。
「君がこの手を取れば、全てが終わる」
「本当に私がその手を掴めば、周りの人は正気に戻るの?」
「あぁ!! 約束しよう……」
「そうですか……」
『レッド』!
『ボーン』!
私はライダー男が視認できない速さで迫る。注意しているようで危機感がない顔面へ【ボーン】を武装させた足で蹴った。
加速されたあびせ蹴りを喰らったライダー男はヘルムに亀裂が入りながら横一直線に飛んでいき、建物に激突した。
起動初期段階だったため足に纏っていた【ボーン】は粉々になり、私の周りを包む感じで舞っていた。地面に落ちる骨の残骸。骨粉の成り代わった【ボーン】は次第に息を吹き返したかのように私の足に纏う。
壊れては修復され、より強固になる【ボーン】。
「こういう時に何を言えば分からないけど、思っていることを言います」
建物中へ突っ込んだライダー男が完全に聞いていない状況で私は言い放った。
「貴方を倒す!」
No.12 ウォーター 紫マゼンタ色 【 】
No.16 フォックス 煉瓦茶色
No.18 ??? 緑渋橙色 ⇨使用不可
No.35 スパイダー 赤紫色
No.40 スモーク ピンクマゼンタ色 【 】
No.46 ??? 白黒色 ⇨使用不可
No.47 シャーク 青水色 【 】
No.48 ボーン 茶橙色
No.50 ボム 黒橙色
No.52 ダイヤモンド 水白色
No.59 アイヴィー 緑黄緑色 【 】
【バイク】×【ペヨーテ】×【???】
数珠のレベルはHYPER!!




