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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
3章 7月 冱蝕の氷龍止めるわ、剣と拳
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20話 地下室はロマンの塊だ!

「そういえば、昨日の件……良い加減教えてよ!」


 首を傾げてながら思い出したクロ。

「あぁ〜 あれね」


「ここにきて、実はノープランでしたってオチはやめてよ」


「まさかっ。ちゃんと計画はあるわ!」


「その計画はなんなのよ?」




「カギは……()()()()よ!」



「!?!?」


「前に言わなかった。灯の身体は今やフェロモン全開女なのよ」


「あぁ! それで思い出したけど、そのフェロモンを抑え込むやり方教えてよ。じゃないとオチオチ外も歩けない」


「待ちなさい。それはウサギ型の成分を回収できたら教えるわ!」


 前にもクロが教えてくれたが現在、私の身体はクロと同じように他者が群がるようになっている。マスコミが芸能人に押し寄せるを想像するとわかりやすい。


 生体が発散するとされるエネルギーがオーラと呼ばれるもの。人を取り巻く微妙に輝く層と表現であるとされている。人間には肉体を取り巻くエネルギーのフィールドが展開されていて健康状況や気分などで形が変わるらしい。科学が進歩している現代世界で説明がつかない超自然的なものがあるとピンとこないが私の隣に想像上の生物である悪魔がいるんだから信じるしかない。



 クロは悪魔の中では特殊な悪魔らしく生物を引き寄せるオーラが他よりも濃い。剣山のように鋭いオーラが放出され続けてきた。魔界に棲まう同種や魔界産の生物達に毎日、囲まれていたらしい。私の場合はどういう訳か女性限定でこの効果が発動している。


 これは私がいくら変装したり、しないが身体を整形しても無駄だとか。身体の外側ではなく内側にその効果が蓄積されているのでいくら外見を変更しても無意味。蜜の多い花だって別の花に紛れていても蜜蜂にロックオンされ多くの蜜を奪われていく。こちらがいくら策を講じても時間の無駄……


 クロも初めは良い思いをしていたが毎日相手にしていた。しかし段々、疲れてめんどくさいと感じて変装や形を変えてみても焼け石に水状態。だから必要に応じて出し入れできる身体を作ることにしたらしい。その努力が報われ取り囲まれる生活から脱出できた。


 クロの力を身体に宿している私も同じように起こるのは分かる。だが、なぜ今なのかが分からなかった。その答えが翠の陰包徳(リ・エミナァーデ)を使用したこと。


 翠の陰包徳(リ・エミナァーデ)を武者型に使用した瞬間、一気に悪魔因子が活性化して一時期40%にまで膨れ上がった。しかし活性化した因子を翠の陰包徳(リ・エミナァーデ)の武器などに転用したことで残った1〜2%分が私の身体に蓄積された。

 

 これで強力な力を使っても侵食率を抑えられると璃子さんに言われたが一時的にも因子が上昇したことで追加でクロの力が備わってしまった。今までは人間に身でもクロの絶大な力の一端を扱えれるようにしてきた。どんどん侵食すれば最終的にはクロのコピー品みたいな状態になる。クロも自分が忘れていた力も私に備わってしまって困惑していた。


 クロが他者を引き寄せる力を制御できたのは随分前で数年単位ではなく1000年単位だったと。


 なのでクロも記憶を遡って漸く思い出したレベルで忘れていた力で土曜日の朝に急いで連絡してくれたが一足遅かった。因みに昨日、届いた大量の荷物はこの家の地下に移動された。


 地下は大きな広さがある。たとえ家の周辺で戦争が起きてもびくともしない頑丈なシェルターとなっている。地下は地上にある家よりも大きく5階建ての広さ。大なり小なりの部屋がありそれぞれ役割がある。


 そのひと区画——璃子さんが昔、購入した物と一緒に保管されている。中には璃子さんの趣味ではないものがあるらしいが全て貰い物だとか。タイムカプセル状態になっているのでそのうち、中にあるものがプレミア価格になって大儲けになったりして。一応、みんな地下へ入るために鍵を持っているのでいつでも入れるがあまり利用したことがない。


 話は戻るがそんな記憶の片隅に追いやってレベルの他者を引き寄せる力をどう使うのか。


 私は一刻も早く制御したいんだけど、クロがストップをかけた。


「その力を使って『怪盗ヘブン』を誘うことにする」


 ウサギ型こと『怪盗ヘブン』はマスクで人相は分からなかったが私に夢中だったのを考えると女性とクロが結論を出した。女性じゃなくても今や『怪盗ヘブン』はソドールになっている。悪魔因子が入っているソドールも引き寄せてしまうため結果的に私の所に現れる。私の身体を使って『怪盗ヘブン』を籠絡して『金龍紋』(きんりゅうもん)の首を頂くって作戦だとか。

 全てじゃないしろ1個でも私達が手に入れれば『金龍紋』(きんりゅうもん)を地下金庫に入れてしまえばこちらの勝ち。


ゲーム終了。


「私の所に100%くるのは分かったけど、相手は仮にも怪盗。そんな上手くのかな……地下の鍵を複製でもされたらおしまいだよ」


「璃子が言ってんだけど、地下のカギは複製できないって。どんな人でも……」


「どうして?」


 クロは自分のポケットからカギを取り出した。

「私達の使っている武器の材質は璃子が組織にしたときに制作したもの。製法も璃子しか知らないし設計図も紙しかなく現物は璃子が今も持っている。このカギだって特殊だからね」


 璃子さんが組織にいた時に悪魔が容姿を自由自在に変えられると知った時に人型ができるんだから物型にも応用ができるんじゃないかと研究を繰り返して成功させた。グリゴンテン金属と璃子さんが命名した。命名方法は相かわず分からない。


 絶賛大活躍中の【ダイヤモンド】の由来となるダイヤモンド鉱石よりも硬度を持っている。

 強度はあるが剣身みたく薄く細い形状だと硬さが減少する。それでもダイヤモンド鉱石よりも同格レベルの硬度。


 地下の鍵もグリゴンテン金属が使用されている。私達の持っているカギを盗んで使用の考えられるが地下のカギに限りグリゴンテン金属には形状記憶の技術も組み込まれている。形状記憶効果は数%もの見かけの塑性変形——外から力が加わることで物体が形を変えること。この塑性変形や熱で元に戻るのが形状記憶性質の特徴。璃子さんはそこに一手間加え、グリゴンテン金属で使われている地下のカギに使用者の身体データを記憶させている。



 例えば、私が持っている地下のカギは盗まれたとしよう。

 普通のカギならそのまま使用できて中に侵入できる。しかしグリゴンテン金属が織り込まれているカギは私の身体的特徴を制作中に記憶させているので簡単に使われる心配がない。私の身長、体重、体温に至るまで記憶していてその情報が合わない人がカギを使用するとその場で溶け始め、跡形もなく消えてしまう。


 私しか使えないオンリーワンの代物。私の場合、青奈ちゃんとこうちゃんもいるので3本持っていて他2人が触らないように熱を遮断できるカバーがかけられているので万が一に触れても問題ない。このカバーは私達3人の身体的特徴を記憶しているのでクロが私達の地下のカギを持った段階でも作用してしまいカバーごと溶ける。


 なので、私・クロ・璃子さんが持っているカギは見た目は同じに見えるが微妙に違う物になっている。


 なぜここまで厳重なのか……地下には私達が使っている武器の製造できる工房もあるため。武器だけではなく璃子さんのこれまでの発明品が眠っている。発明品はどれも一級品で軍などが持てば軍事バランスが崩壊するとか。なので細心の注意が必要。


 地下については私が保管しているものはクロに押し付けられた着なくなった洋服や女性の方々に貰った多くの荷物。クロの場合は書籍や多くの服、骨董品。服に関しては容姿と一緒に変えられるのに持っているのは不思議だが趣味よっと言われた。


 ミドリに対しては本人が要らないと断ったので持っていない。家族なんだから1人だけ省くのはどうかと思ったがミドリなりのケジメだとか。本来、回収対象で魔界では罪人扱いになっているミドリだ。私の温情で制限がありきだが普通の生活が送れている。そこに最重要施設のカギを頂くのは如何なものかと本人が断った。


 そういうことからミドリは持っていない。



「灯の身体と地下のカギさえあれば全ては解決するわ。時間よ!」



 私はパソコンの時計を見ると授業開始5分前になっていたので真面目に授業を受けることにした。

鍵の中に工夫があり持ち主の基本情報を登録しておくと主人以外が持つと溶けるようになる。


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