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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
3章 7月 冱蝕の氷龍止めるわ、剣と拳
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13話 迸る声

 ——次の日

 私のはベットでうつ伏せになり両足をバタ足しながら端末携帯をいじっていた。

 案の定、『怪盗ヘブン』の電波ジャックの件が1日経ってもSNSのトレンド1位に君臨していた。

 その下に私の怪盗名である『レッドクィーン』が載っている。

 自分の名前が有名になるには嬉しいけど今回ではないと思う。そして物凄く恥ずかしい。


「そんなに恥ずかしがることないよ!!」


 顔を横にして私を見ているのはクロだった。


「別に減るもんじゃないんだから」


 私は枕に顔を伏せていた。

「今じゃないよ———絶対に!!!!!!」


 クロが私の後頭部を撫でる。軽く撫でた後、下へ移動し私の頬を人差し指で押す。


「灯の頬って柔らかいわね——ぷにって感じで羨ましいわ!」


「うー……ん。クロに言われても全然、嬉しくて思わないけどね……」


「璃子も言ってたけど、私の容姿は自由に変更できるんもんだから」


 全悪魔が持っている能力である外見操作。髪の毛・肌の色・目の色・身長・性別・年齢まで自由に変えれる。昔はすぐその場からいなくなれば人から忘れられることが多かったため心配する必要はなかったらしい。しかし現代は多くの人間はすぐ世界の反対側にある情報を数秒で手に入る術を持っている。撮影され一度、ネットに投稿すると永遠にデータとして残る。

 なので悪魔達は身バレ防止のために体内にあるオーラを使って外見操作を行っている。


 因みにだが、以前まで載っていた画像が荒い私の怪盗姿はある人達が情報操作をしているため余程のことがなければバレることがなかった。


 なら、今回の鮮明な画像も消して欲しいよ……まぁ計画のためには仕方がないけど




 クロがベットから出てシルクのローブを着る。

「朝ごはん作ってくるから少ししたら来なさいよ!」




 クロがいなくなり部屋には他に誰もいない。

「良し! 寝よう!!」




 再び眠るために準備をしていると……

萌香もかさん??」


 萌香もかさんから「会いたい」と連絡を受けた。




 クロに「ご飯はいいや」って言ってから私は外に出る。

 しまった……またあんなことになるかもしれない。確か……青奈ちゃんとこうちゃんは影響が出ていなかったはず。






 ()()萌香もかが入院している病院に向かう。

 今は灯ちゃんではないためなのか女性の方々が迫ってくることが急速に減っていた。


 青奈:本当に効果があるとは思わなかったわ?


 黄華:こうも話しかけられなくなると、逆に不気味になるよ……


 灯:もしかして!? 昨日のはたまたまで実はそんなことなかっただよ。きっと……



 なら、いいんだけど……


 病院に着くと入り口で安齋家族が談笑している。

 萌香もか月音ゆみがこちらに気付き手を振ってきた。


 月音ゆみは私しの容姿——ポニーテールで碧眼の見た目をみて青奈と気付いたが萌香もかはともかく安齋夫妻にバレると色々、面倒臭いと感じたのか【灯】と呼んでくれた。


「せ……あ、灯ちゃん! 来てくれてありがとう!」


「ごめんね。遅くなってしまって……萌香もかさん、退院おめでとうございます」


「ありがとう!」

 萌香もかは私しに近付いて他に聞こえない声で私しに話す。


月音ゆみに言われるまで気にしてなかったけど……多重人格なんだね」


「えっ!! 黙ってくれると非常にありがたいんだけど……」



「それは問題けど……灯にはない色気が貴方にはあるわね?」



「もっと褒めていいわよ! 改めて天織青奈(あまおりせな)です。よろしくね!」



安齋萌香(あんざいもか)です。こちらこそ、よろしくね!」



 お互い手を差し出し握手をする。

 青奈が萌香もかの手を引っ張り萌香もかの耳元で口を開く。



「貴方には灯ちゃんを痛みつけたお礼をしないといけないわ。私し……自慢じゃないけどマッサージが得意なのよ! 勿論、受けてくれるわよ……ね!」



 萌香もかは青奈の声に酷く怯え、鳥肌が立っている。

「え……えっと」


「貴方には拒否権ないわ。ゆっくり丁寧にほぐしてあげるわ。それはもう丁寧に……返事は?」




「……はい。よろしくお願いします」

 逆らえなかった。ここで逆らうと更なる報復が待ち構えていると考えるとここで折れるのが最適解かもしれないと萌香もかは納得した。


(……18年生きてきて、こんなに生きた心地がしないなんて生まれて初めての感覚……)




「まぁ、そこまで怒ってないから気にしなくてもいいわ。マッサージの腕を磨くための実験台になってくれるだけで良いから」




「......そうなの?」


「灯ちゃんが選んだ子だもん。なら、私しも受け入れないとね!」


「灯には優しいのね」


「勿論よ。世界中の人が灯ちゃんに牙を向けても私しだけ……いや、私しと黄華が守るわ」



 安齋夫妻と別れ、私し達3人でその辺を見ながら歩く。私しは念の為、サングラスを付けている。

「ねぇ、萌香もか


「うん? 何、青奈……」


「貴方にソドール人形を渡したのは【ルージュ】って名乗った悪魔でいいのかしら?」



「そう……だね。ホテルの爆発事故から目が覚めたら彼が病室に現れてね。人形と小瓶を貰った——丁度、栄養ドリンクサイズ位の小瓶を」


 灯ちゃんが萌香もかの病室に知った時に記憶が残っていた時点で【ルージュ】が人形を渡したことは明白。アイツはどういうカラクリなのか分からないがソドールの中に入っている力と相性の良い人間を探し出せて力を持っている。

 以前、戦ったネコ型も【ルージュ】に貰ったと考えられる。妙に力を使いこなしていた気がしたからね。まぁ、ネコ型のターゲットが強盗犯だったからって思う気もする。

 そして、すずが変身したカメラ型も恐らく同じ。その証拠に2人は成分を抜かれても記憶を保持している——ソドールとなって人を襲っていたことを


月音ゆみに聞いたんだけど、私が襲ってしまった人達は全員無事だって……」


「その点は問題なかったわ。襲われた人は体内の水分が奪われただけ。しかも成分を抜いたかどうか分からないけど、ケロッと復活したらしいわ。意外と逞しいわね」



「……良かった」


「本当は記憶を無くした方が良かったって思うわよね。街にいた人に対してはそれでもいいけど……剣道部の人達のことは貴方が重荷になることはないわ」


「そういう風にしていいんですかね……」


「詳しいことは私しは知らない。でも、貴方の人生を一度終わらせた。彼らもその重圧を一生、背負うべきよ」



「……」


青奈は自分の手を叩く。

「まぁ、こんな重い話はここまでにしましょう! 楽しいことをしましょう! あそことどうかな」



 萌香もかは楽しそうな顔をしている青奈を見て自然と笑顔が出ていた。

 そして、誰のも聞こえない声を出した。


「……ありがとう」



 3人で近くにある美術館に入ることにした。


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