12話 今宵は
翠の陰包徳には3つの必殺技がある。爆橙の想争には3つ機構と1つの必殺技があるとか。翠の陰包徳は3つで爆橙の想争は4つと少し不公平と思われるが翠の陰包徳は専用衣装が2モードあり、ミドリの力で常時回復機能がついている。だから全然、不公平と思わない私。
【魔魂封醒】:【速朱の流】以外は……
・【魔魂封醒】:【撃朱の剣】
・【魔魂封醒】:【硬朱の甲】
【撃朱の剣】はクイーンズブラスターと将祇陽の護に有機物を2本装填することで使用可能な必殺技。
【硬朱の甲】はクイーンズブラスターと将祇陽の護に無機物を2本装填することで使用可能な必殺技。
【撃朱の剣】の方は潤沢といえないが有機物はあるので、現状最大で1戦闘で2回使える。【硬朱の甲】の場合は1回できるが【速朱の流】のためにマガジンを残したいので無機物マガジンが増えてきたら積極的に使うことにする。
【撃朱の剣】と【硬朱の甲】も【速朱の流】同様威力が絶大なため使用範囲が狭まる。
忘れてはいけないが【魔魂封醒】使用後は使ったマガジンのエネルギーが空になる。どんなものにも当てはまるがペットボトルの中身を飲み干せば空になってそれ以上、飲む事がないだったり皿に置かれた料理を完食すれば食べ物はないので更に食べたい場合は追加注文し空の皿はお役御免になる。
ソドールのマガジンも例外ではなく、空の状態ではマガジン内にある能力が起動しなくなる。
【スパイダー】なら【魔魂封醒】使用後に発動しても蜘蛛糸は出ない。【ダイヤモンド】を起動しても柱は生えてなくなり防御ができなくなる。
空のマガジンが再充填され再び使用可能にするためには2〜3日かかると璃子さんに言われた。
そんなことで【魔魂封醒】を使うためには自分が次の戦闘用に残さないといけないマガジンとそうでないマガジンを選別するしかない。
No.12 ウォーター 紫マゼンタ色
No.16 フォックス 煉瓦茶色
No.35 スパイダー 赤紫色
No.47 シャーク 青水色
No.48 ボーン 茶橙色
No.50 ボム 黒橙色
No.52 ダイヤモンド 水白色
No.59 アイヴィー 緑黄緑色
赤の悪魔——ルージュや黄の悪魔——カサンドラも私達と同じようにソドールのマガジンを持っているので奪い返せば選別も容易になる。
移動で使う【スパイダー】、防御で活躍ナンバーワンの【ダイヤモンド】は最後まで残さないといけなくなる。その他も状況に応じて使わないといけないものばかり。これにクロと共有しているので一緒に戦っているならその場で渡すとかはできるが別々の場所でそれぞれ戦闘を始めてマガジンを使うとなると厳しくなる。
以前もこうちゃんが武者型。クロが2体の悪魔と戦闘中の時なんて、いつの間にかマガジンも変動があって困惑したもんだよ。あの時は武者型が逃げてくれたからよかったけど、もうすこし戦闘していたら急なマガジン変動があって気を取られていたと思う。
灯:まぁ、こうちゃんはマガジンがなくても突貫するかもしれないか……
青奈:そうね。コイツはそれだけが取り得なわけだし……
黄華:君達は僕からの愛の拳がご所望らしいね!
青奈:アンタから『ご所望』なんて言葉が出てくるなんて。頭……大丈夫?
黄華:良しっ! まずはお前からだぁああああ!! その胸をもいでやるぜ!
青奈ちゃんもイレギュラーが発生してもその場でぶっつけをすると思うが私は一瞬、気を取られると思うからその隙に敵に攻撃される。
青奈:そ……そうね。私しなら……ちょっと黄華! どこ触っているのよ。頭の中で……いい加減に離しなさい……1つずつ……てか、いつまで……部屋をつくって……なんでそんな触り方するのよ……考えを切り分け……そこはやめて!!
青奈ちゃんの戦闘中にやっていることと喘ぎ声が混じりあって頭に入ってこない……
「灯……準備良い?」
「いつでも……」
『レッド』!
『ウォーター』!
「それじゃあ……始めますか!」
『ブラック』!
『スパイダー』!
お互いの武器が重なり合い実戦場に響き渡る。
訓練後——————
お風呂終わりにクロが後ろから抱きついてきた。
「匂うわね……」
「そりゃあ……シャンプーやボディーソープなどを使ったからそれらの香りが身体に残るのは仕方ないよ」
「そうじゃないわ。別の女の匂いよ……」
クロは警察犬や麻薬探知犬か何かですか……
「アカリ……ニオイ……チガウワヨ」
片言なのはこの際、無視でいい。なんだろう……唯、クロが発している言葉なのに若干異なって聞こえるのは幻聴なのか。
「私がいない間に何をやった……」
璃子さんは肌のメンテナンス中。
「貴方達……再会してすぐにいちゃつくのやめてくれない」
「変なこと言わないでください。ミドリ……クロを剥がすの手伝ってよ」
ミドリはスポーツドリンクを飲み、団扇を仰いでいる。椅子から離れないようにしていた。
お風呂タイム中にミドリは初のサウナを堪能していて調子に乗って長く入っていたためのぼせてしまっている。
「灯……その状態のクロはんはあたしでも無理……頑張ってね!!」
2人が戦力外になり打つ手がなくなる。
私はそのままクロにお姫様抱っこさせられクロの部屋に連行された。髪も乾かさずバスタオルを身体に巻いた状態でだ。
「クロ……せめて身体を乾かせて!!」
————無言の圧力。
ベットに放り込まれた私。私が逃げ出さないように左腕を私の首の後ろへ。身体全体を使って動かさないようにされる。
「えー…………っと? クロさん……」
「何よ……浮気者の灯ちゃん?」
「浮気者って!? 私そんなことしてないよ! 信じてよ」
「じゃあ、この匂いは何かしら?」
「綾ちゃんの家でみんなと一緒に寝ただけだよ……」
「それじゃないわ。ミドリ含めみんなの匂いは記憶しているもん。だけどそれ以外の匂いがするのよ。それも複数の……ね」
「あ、あれだよ! 家に帰ってくる時に通行人が多かったから……もう夜だけど、今日は日曜日だし人も多いからそれだよ。きっと……」
「…………」
「それよりみんなでリビングでスイーツ食べようよ」
「どうやら、灯にはわかられる必要があるみたいね。安心してね!」
「世界一、安心できない状況なんだけど……」
「そんなに怖がらなくても平気よ。少し……いや若干、優しくするだけだから」
「普通、そこは『痛くしない』じゃないかな……」
「???」
この人、聞いてないな。絶対に……
「もしかして……やきもち妬いてるの? 天下で偉大なクロさんともあろう者が……」
クロの目つきが変わる。睨みつける目つき、冷酷な目つき、厳しい目つき、鋭利な目つき、険しい目つき、焼き付く目つき、荒れた目つき、どれを表現しても私の心に突き刺さる視線だった。
青奈:灯ちゃんってなんでそう……燃料を投下する真似をするのかな
黄華:実はエムじゃないのか。お前が変なことを教えたかもしないが……
青奈:馬鹿にしないでよ。そんな変態なことを私しが教えるわけないじゃん。失礼しちゃうわ
「悪いかしら? 灯はもう黙って……」
クロの眼光は獲物を狙う猛獣そのものだった。
「あっ 待って……1回話し合おう。ねっ! え? ……何マジになってるのよ。大人げないわよ。ちょ……」
この家が全て防音対策が完璧で良かったとこの時の私は心底、思った。
明日は休むかもしれません。13話以降はちゃんと書いてあるんですけど......1回、虚無な時間が必要で
申し訳ありません。13話が明日、載っていたら『こいつ、大丈夫になったんだ』と温かい目でお願いします。
と、こんな麻莉のどうでもいい話は置いといて......
名前だけ判明した魔魂封醒の技、残り2種
・有機物×有機物=【撃朱の剣】
・無機物×無機物=【硬朱の甲】
元々は3人いるからそれぞれ別種の必殺技を用意しようと璃子が開発したもの。
【撃朱の剣】は灯
【速朱の流】は青奈
【硬朱の甲】は黄華