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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
3章 7月 冱蝕の氷龍止めるわ、剣と拳
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6話 先手必勝! 誰が可憐?な女性を手に入れるのか

程なくして綾ちゃんのお姉さんが簀巻き状態から生還しリビングに現れる。

「綾……よくもやってくれたわね」


「私の灯ちゃんに手を出した罰だよ。お姉ちゃん」


「だからって……ね。何も簀巻きにして監禁する必要あったかしら? 危うくこの歳で漏らす所だったのよ。自殺ものよ」


「漏らしてないなら問題ないでしょう」


「で、なんで灯ちゃんは土下座してる? もしかして、貴方達……朝っぱから特殊プレイしている関係なのね」


「違いわい。昨日の出来事を灯ちゃんが思い出して謝罪してる所にお姉ちゃんが入ってきたのよ」


「な〜んだ。良かった。妹が私の知らない間に変な性癖に染まったと勘違いしてしまったわ。てことは私の事も思い出したのかしら?」


「はい。昨日は失礼しました。詩音しおんさん」


 ゲームを始める前に綾ちゃんの3つ年上のお姉さん——鈴木詩音が入ってきて挨拶してくれた。

 詩音さんは靖皐せいこう大学の2年生で教育学部に所属している。

 今は学祭の実行委員に入っているため帰ってくるのが遅い。靖皐せいこう大学の大学祭は7月に行われる。中旬に開催されるため急ピッチで作業をしている。綾ちゃんが言うには家では寝てるだけで朝には大学に戻るとか。激務をこなす社畜OLですか詩音さんは……


「初めは私の部屋に灯ちゃんを運んだのに、朝見に行ったら居なくてね……まさかと思ってお姉ちゃんの部屋に入れば灯ちゃんの足に絡みつくお姉ちゃんが居たわけ……」


「だって、トイレにいった帰りに綾の部屋が半開きになってて覗いたら灯ちゃんがいたんだもん。ここ数日、疲労がピークでね。あんな綺麗で可愛い子を抱き枕代わりにすれば疲れも吹っ飛ぶと思って私の部屋に運んだのよ」


 なんかたらい回しされている気分だな……

 私は思ってしまった。


「で、これから大学に向かう?」


「えっ! 土曜日でも行かないともうすぐだからね……そうだわ!!」



「4人とも私の大学来てみない?」

 こうして私達は詩音さんが通っている靖皐せいこう大学に向かうことになった。



 靖皐せいこう大学は綾ちゃんの家から意外と近い。徒歩15分で着く距離だった。その位の距離に家があるなら態々、別で家を借りる必要がないからお金が浮くか。


 少し長い坂道を超えた先に正門が待ち構えていた。

「結構……広いですね」


 私達が通っているみいうら学園と同じ位の規模の大学だった。

 道行く人はザ・大学生って感じの雰囲気をしている。高校生はちゃんと制服で登校しているが大学生にもなると私服で授業だ。己のステータスかのように私服に力を出している。綺麗、可愛い、カッコいい様々な私服が見える。中には部活の衣装に身を包む人達もいた。


 詩音さんの案内で大学内を案内される私達。詩音さんは交友関係が幅広いのかいろんな人に声を掛けられていた。そして、私達も目を向けていた。主に……私。

 男性は綺麗な子を見る視線。これは慣れているからどうってことない。問題は女性からの目線だ。気のせいか会う人会う人、女性の目がハートマークになっているのが見えた。


(皆さん……私……女性です)

 去り時に高確率でSNSアカウントが書かれている紙を貰い着ていた服のポケットが膨らみみっともない姿になっていく。


 私達は今、大学内のカフェテリアで休憩中。そこまで疲れてないが主に私が抱えている状態が……宜しくないと言うことで店内で各々好きな飲み物を飲んでいる。私のコーヒーはすずちゃんが自分のカフェオレと一緒に持っていくてくれた。私がカウンターまで行くとバイオハザードになりかねぬというわけで詩音さんと現場待機になる。


 待っている間に頂いたモノをテーブルに広げた。


「こんなに手紙などを貰ったの初めて……」


 貰ったモノの中にはSNSアカウントだけではなく、電話番号や急いで書いてくれたラブレターもちらほら存在していた。


 私の前にコーヒーを置いたすずちゃん。

「灯……あっち見てみ」


 すずちゃんが指差した矛先を見てみるとガラスの向こうで女性が私に手を振っている。

 ラジオ番組で使用されるサテライトスタジオ。

 スタジオ内で生放送のラジオが行われ、その外ではスタジオ内の様子が見れるようにガラス張りになっている。時々、司会進行役のパーソナリティやゲストの人達が外の観客に手を振ることがあるとか。

 今、私が置かれている状況がまさにそれ。

 試しに手を軽く振ると

「キャアァァアアアアアアアアア」


 悲鳴を上げられた。中には倒れる人が続々と現れ、タンカで運ばれていく様子を見せられる。


「私の手、汚れているのかな……」

 自分の手のひらを見る私。


「また……マイナス思考」


「だって……私をアイドルか何かと勘違いしているよ——絶対に」


「灯は自分の可愛さ分かってる?」


「あの悲鳴は名誉な悲鳴だよ。灯ちゃん……」


「名誉?」


「黄色い声ってやつ」


 黄色? 黄色に声なんてないけど……

 また見ると女子大生のお姉様方が甲高い声を出している。アイドルの登場で会場が興奮と喜びに包まれ、あまりの歓声で会場に響き渡るみたいな状態が外で起こっている。



 談笑しているとナンパされました。

「君達! 俺たちと時間潰さない?」


 見るからにチャラそうな見た目の大学生が出てきた。しかもAだけではなくB、C、Dも

 ゾロゾロと仲間が増殖していく。


「彼女達は私が案内してるのよ。貴方達はお呼びじゃないわ」

 そう言い放ったのは詩音さん。家ではあんなにダメ人間……いや、少々だらしない人に見えたけど外ではキチッとしている。


「まぁ、そう言わずにさぁ〜」


 彼らは近くにいた月音ゆみちゃんの手を掴んだ。

 急に掴まられたことで驚く月音ゆみちゃん。

「あ、あの……」


 それを見て私が咄嗟に月音ゆみちゃんの手を掴んでいる汚物を払い除けようとする。

「貴方達、いい加減に……」


 その時、後ろにいるモブナンパの腕を掴んでいるムキムキのマッチョがいた。

「い、痛えぇぇえええ。何するんだ」


「はぁ?」


 ムキムキのマッチョ。なんか格闘技でもやってるんですかって位のゴリゴリの体型。しかもマッチョの後ろには追加要因で控えている何十人の同じ体型の人達がいた。


 そんなマッチョの森から脱出してきた女の人が1人。






「やっぱり、あたしが居ないとあかんみたいね!!」


「———ッ!!? ミドリ!?」


 もう7月なのに和服を着こなしている鮮やかなロングストレートの緑髪を靡かせて現れたのは私が仲間にした悪魔。ミドリって名前は私が命名しました。


 ミドリは持っていた扇子を広げ、自分の口元を隠す。

「その子達に触らいでくれるかしら」


 目を細めながら笑顔で彼らに威圧していく。

 周りの筋肉ムキムキのボディービルダーさん達と相待ってミドリが極道の女みたいな状況になっている。

 ミドリに対して筋肉ムキムキのボディービルダーさん達は何か言っていた。


「では、姐さん。自分達はここで」


「態々、送ってもろて悪かったね!」




「さぁ〜 兄ちゃん達ぃ。俺たちが紹介してやるよ。女の中の(おんな)を」


 私達をナンパした人達は全員もれなく筋肉ムキムキのボディービルダーさん達に捕まり何処かへ連れて行かれた。


「ねぇ、ミドリ。あの人達、どこに行かれるの?」


「う〜ん。真の女性の所かな。灯にはまだ早いからね〜」

妙にくねくねしていて、見事な肉体美をしていて、話がうまくて、頼れる人達!!


灯ちゃんを巡って、様々な女性が暗躍していく????


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