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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
3章 7月 冱蝕の氷龍止めるわ、剣と拳
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3話 灯と愉快な仲間達イン綾家

後書きは気にしないでください。特に男性の皆さん。

 オンライン授業終了後の灯と綾——


 綾:会いたいよ、灯ちゃん……


 灯:そうだね。いつ工事が終わるから分からないから学校再開の目処経ってないし......


 綾:……


 灯:どうしたの?


 綾:遠回しに遊ぼって言ったんだけど……


 灯:えっ!? なら、そう言ってよ


 綾:だって、ここ数日、授業が終わってから誘っても断っていたし……


 灯:それはごめんなさい……ちょっと、ミドリと


 綾:あぁ、ミドリさんと何かあったの?


 灯:いや……ミドリへの報酬としてスイーツを献上することになったんだけど


 綾:へぇ〜 灯ちゃん、女性は甘い物には厳しいよ


 灯:そうなのよ。ミドリったら、少し遠い個人経営しているお店まで行くようにって。どこで情報を仕入れたか知らないけど。3人で電車の旅だった。


 綾:灯ちゃんとミドリさんと……クロさん?


 灯:正解! 外ではクロが変装して、金髪ロングで大学生位の姿にしていたし、ミドリは気分で朱色の和服で外に出るから妙に周りが騒いでた。


 綾:それは……ご愁傷様です。


 灯:これが私の数日の出来事。でも、土日は暇だから遊べるよ!


 綾:そうなの?


 灯:クロは璃子さんと研究室に閉じ籠った。【灯はNG】の看板が立て掛けられて入れなかった。


 綾:珍しい!? ミドリさんは


 灯:ミドリは『ちょっと、お茶の勉強してくるから』って京都に行った


 綾:なんて自由な悪魔だね


 灯:一応、ミドリの現在位置が判るようになってるから心配ないけど


 綾:ミドリさんのプライバシーがない


 灯:私達の仲間になってもクロの元を逃げた悪魔だから警戒の意味を込めて発信機がついてるの。ミドリも了承してるから問題ないよ。


 綾:発信機取り外して自由の身にはしないんだ……


 灯:そこは問題ないよ。今のミドリの身体は特殊で、簡単に言うと全身が発信機だから


 綾:そんなにミドリさんを束縛したいんだね。灯ちゃん……


 灯:——っ!? 私、人を束縛なんてしないよ。失礼しちゃうわ。


 綾:そう言うことにしておきますか。話を戻るけど、内で遊ぼ! 丁度、親居ないから


 灯:急な話題変更……。親居ないんだ?


 綾:2人で旅行。結婚記念日でね。今、お姉ちゃんと2人暮らし中。でも。お姉ちゃんも大学祭で忙しいから実質、私だけの1人暮らしよ。


 灯:寂しくない? 家にいつでも来て良いからね!


 綾:ありがとう!!! 


 灯:じゃあ、すずちゃんと月音ゆみちゃんも誘うよ


 綾:!?


 灯:どうかした?


 綾:いや、なんでもありません……2人も誘おうね


 灯:2人には私から伝えるから綾ちゃんは準備よろしく!


 綾:り、了解……


 会話はここで終わり、私は2人に個別で連絡し、速攻でOKが出た。ただ、月音ゆみちゃんは萌香もかさんのお見舞いが終わったら合流すると連絡が来た。萌香もかさんは休日明けにも退院が可能だ。


(良かった……)







 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 すず:綾〜 出てこい。話がある……


 すず:綾〜 出てこい。話がある……


 すず:綾〜 出てこい。話がある……


 すず:お前の恥ずかしい写真を灯に見せるぞ


 綾:それはご勘弁を……。てぇ、私そんな写真ないじゃん。


 すず:果たしてどうかなぁ


 綾:怖いんだけど。鬼、悪魔、外道。すずちゃんには人の心があるのかしら


 すず:それは君も同じだろう。何抜けがけしているのかな……


 綾:それは……。つい、勢いで☆ ごめんね☆彡


 すず:後で罰ゲームね


 綾:今度は何やらせようというの……


 すず:大丈夫だよ。変なことはさせないから


 綾:罰ゲームをやらされる時点で私の尊厳は失っているんだけど……


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜









 私は綾ちゃんの家に向かう。何故か幅広い年齢の女性から話かけられる。初めは道を尋ねられたりしたが段々、電話番号が書かれた紙を貰ったり、プレゼント貰う現象が起きた。

 プレゼントを渡してきた女性はどの人もザ・仕事ができるキャリアウーマンの人達で中身はブランド物だった。


(イベントでもやってるのかな……)


 道行く人にプレゼントするイベントが行われているものだと思い、私は全部もらうことにした。だが、流石に両手で持てる量を超えてしまったため、一旦家に送ることにした。宅配の手続きをするために入ると中にいたお兄さん達が私に変な目をしていたがすぐに冷静になり丁寧な対応をしてくれた。

 身軽になったが綾ちゃんの家に着くまでこれが何度も続く事になるとは思わなかった。


(今日は普段よりおかしな事に巻き込まれるな……)


 綾ちゃんの家には電車使っても20分位の距離の筈なのに1時間かかってしまった。


 綾ちゃんの家は所謂、普通の2階建の家。といっても他の人も同じくらいの家だと思う。私の家がかなり特殊な構造している家。見た目は雑居ビルなのに中は異空間に足を吹き込みましたって感じ全開の家だ。でも、綾ちゃんの家を見るとソドールなどの問題がなく、両親と仲良く過ごしていた自分がいたのかもしれない。そんなタラレバ話を想像しても仕方がない。これを良いと思ってはいけないが、ソドールの成分を回収する私の人生があったからすずちゃんや綾ちゃんや月音ゆみちゃん、色んな人を出逢えなかった。この生活も悪くはない……


 そう思いながら私は綾ちゃんの家のインターフォンを押す。

 ドアを開けてくれたのは月音ゆみちゃんだった。

「いらっしゃい、灯ちゃん。随分、遅かったね? 何かあった?」


 月音ゆみちゃんはおっとりとした声で私を出迎えてくれた。

 月音ゆみちゃんがここにいるってことは萌香もかさんのお見舞いが終わった証拠。本当なら月音ゆみちゃんより早く着いていないとおかしいのに、私はそれ以上の時間——様々なお姉様方に捕まっていたんだと申し訳ない気持ちになる。


「人が混んでいていて、遅れました」

 咄嗟の嘘だがなんとか誤魔化すことに成功した。正直に「道行く女性全員からアプローチされました」などを言うものなら月音ゆみちゃん経由で2人に知られ、また変なことされることこの上無い。靴を脱ぎ、リビングに案内される私。


 リビングに入ると……

「遅れました……何やってるの2人とも?」


 私はどこかで見た光景だと感じた。

 リビングではすずちゃんが仁王立ちで立っており、その前に両膝をつけ、足を折り曲げて座る姿勢——正座している綾ちゃんがいた。


 長時間正座していたのか足を揺らしながら痛みを和らげようとしている綾ちゃん。


(分かるよ……)


 ミドリのお茶に付き合っている私も経験がある。正座で長時間、曲げた姿勢でいると足に体重がずっしりと乗ることで血管が押し付けられて血流が悪くなってしまう。足やお尻の神経が圧迫されて動きが鈍くなるからだ。いつもと違う状態を察知した神経が『異常事態が起きている』ことを体に知らせるための電流が、足の痺れの正体。正座の状態が長引くほどに足の感覚がなくなるのは、神経が麻痺しているサイン。触っても何も感じなくなり、立ち上がるのが困難になる。これの解決方法はシンプルで血流を良くし神経を圧迫しないこと。これに尽きる。


 クロは慣れているのか足が痺れて体勢が崩れる様子はなかった。対照的に私は慣れていないのがバレバレで5分もしない内に足の感覚が徐々に無くなってくるのを体験した。

 ミドリは「灯は崩した正座しなくても良いよ」と言ってくれたけど、クロの様に涼しい顔で正座している姿に惚れたので意地でも崩さなかった。その結果が足の裏、ふくらはぎをクロに攻撃される私が出来上がった。悶絶している私を見て、Sっ気になったクロが私に攻撃を開始し始める。攻撃の手を緩めず、くすぐりがブーストし強くすぐりになったことで私は笑いと激痛がブレンドされ、複数の感情が入り混じった表情を数分間過ごす事になった。


 攻撃が止んだ時には私は畳の上で這いつくばっている状態になっていた。

 あの時はくすぐりの刑を執行されて永遠の終わりがないと恐怖し、あの時だけは生きた心地がなく絶望してたっけ……


(思い出しただけで身震いしちゃった……)


 そんな地獄の刑罰を思い出していた私は「まさかここでも」と思ったがそんなことは行われていなかった。寧ろ、くすぐりよりも重い罰がこれから発動しますかな雰囲気。


 私の存在が目の端を捉えたすずちゃんが首だけ振り向く。

「遅かったね、灯。ちょっと待ってて……この受刑者に今から刑を実行するから」


「な、何があったの?」


「助けて……灯ちゃん。私は冤罪をかけられている」


(冤罪??)


「灯はこいつの言葉に耳を傾く必要はないよ。月音ゆみはこっちへ!」


「了解!」

 そう言って月音ゆみちゃんがすずちゃんに対して敬礼をする。移動した月音ゆみちゃんが綾ちゃんを正座のまま後ろに身体を倒される。


 正座状態から強制的に身体を倒された綾ちゃんは口から絶叫音を出しながら暴れて逃げようと行動していたが月音ゆみちゃんは緩める事なく綾ちゃんの腕をホールドしていたため無駄な行動になっていた。


 あの状態……前にストレッチの動画で見たことあるけど。慣れていないとしんどいんだよね。

 なんてことを考えていた私が背景の一部になっており2人が1人をいじめている図が完成している。

(これは……止めるのが最善解なのかな)

 熟考をしていた私にすずちゃんが援護射撃してくれた。


「灯もやるか?」

 悪魔の囁きだった。そういえば萌香もかさんが個室の病室で爆弾発言してくれたお陰で私はすずちゃんと綾ちゃんにあらゆる罰を受けた。なら、ここは……



「待って!? 灯ちゃん。何その手は!?!?」



 指をくねくねしながら綾ちゃんに迫る私。

 一軒家からこだまする声。放たれた声が近隣まで届く。暫く鈴木家は噂された。



『あの家は狼を飼っている』と。


「ねぇ、あの子可愛くない!?」

「カワイイ!」

「神!」

「肌綺麗!」

「天使様!?」

「エ●いんだけど......」

「お近づきの印にこのバックを!」

「今夜、空いてるから。どうかしら子猫ちゃん」

「れ、連絡お待ちしております......ヤバい、直視できない」

「良かったらお姉さまとお呼びしても良いですか」

「何言ってるのよ。あんな可愛い子は妹として可愛がるのよ!」

「罵られたい!」

「踏んでください!」

「叱ってください!」

「縛ってください!」

「結婚してください!!」

「これ、良かったら食べてください!」

「同性はお好きですか?」

「ホテル行きませんか」

「お風呂とかどうですか?」

「ファーストクラスのチケット......これから一緒にフライトしませんか」

「綺麗な海を見に、一緒に豪華客船に乗りませんか?」

「このブレスレット受け取ってください!!」

「ハワイ行きませんか?」

「貴方の人生、半分ください!」

「ピーしませんか?」

「奴隷にして良いですか?」

「奴隷になって良いですか?」

「優しくしてください!」

「付き合っている女性いますか?」etc


全部、灯ちゃんに迫り偶然、街にいた女性陣。

男性陣が灯ちゃんに近づくと路地裏に連れていかれ、その後の行方は誰も知らない......

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