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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉/サーモン串団子
2章 6月 涙の暴雨、天舞う朱は侵界を祓う
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47話 明無心掴手 Ⅺ 3つ目は選ばれた証 

「さぁ、お手並み拝見!」


 私が青奈ちゃんではなくこうちゃんを指名したのはちゃんと理由がある。青奈ちゃんの 【賊藍御前】(ティア・マ・タル)は長さも十分にあるし青奈ちゃんなら華麗に武者型の攻撃を避けれる。でも、青奈ちゃんの武器は私と同じように元はナイフと同様に持ち手を握りながら戦う。これだと先程みたいに超至近距離で刀を放たれたら初手は防げても次の攻撃を防ぐために手を動かす必要がある。その動きをしている内に敵からの攻撃を食らう可能性がある。双剣にしても刀身で回避出来ても結局同様の可能性に行き着く。その点、こうちゃんの【捕食者の影爪】(シャク・ロドエ)は右腕を覆うほどの大きな籠手。武者型の能力は斬る相手の皮膚が当たれば強力。そう当たれば強力……皮膚からかけ離れた所にはその力は発動しない。その証拠に先程まで私が持っていた【裁紅の短剣】(ピュニ・レガ)で刀を弾いても私の身体に影響はなかった。

 これが貫通効果を持っていたら詰んでた。しかし結果は好調。こうちゃんも籠手をうまく盾代わりにして応戦している。盾が利き手にある以上如何しても攻撃から防御、その逆に多少動きに誤差があるから危うく刀の先に当たるかヒヤヒヤしていたがこうちゃんは全て防いでいた。


 3本露出している【リッキープレイド】でぬかるんでいる地面に向かって刺し、武者型からの攻撃を受け、その反動で後ろに後退したがなんとか威力を弱らせることが出来た。


「あれ……挿せる場所あるかな」

 一応、全ての攻撃を防ぐことは出来た。だが、いつまでも防御に全振りしていてはジリ貧になってしまい急所を突かれる。なんとか武者型から成分を奪いたいが僕が持っている注射器を挿せる場所が今の所見当たらなかった。あれでは奪うことは難しい……。


 黄華:どうする?


 青奈:【スパイダー】で動きを止めるしかないわね。今はそれしか方法はない


 灯:この前手に入れたNo.50は?


 黄華:あぁ!! 【ボム】か。良いかもな近い距離から爆弾を浴びればいくら武者型でも怯むだろう


 青奈:う〜〜ん……


 黄華:なんだよ、不安か?


 青奈:アレって私し達のマガジンの数に依存するじゃん。今の手持ちは8個。大砲レベルの威力が発揮される爆弾に代わっているわ。被害がね……


 黄華:外さなきゃ問題ないだろう! 試してみますか!!


 青奈:……ちょっと!? 待ちなさい!


【ボーン】を外し【ボム】を装填。

 こっちがマガジンを換装している間に武者型の一振りが迫る。ジャンプして 【捕食者の影爪】(シャク・ロドエ)の籠手部分で防ぐ。


 着地は出来たが地面がぬかるんでいたことで滑ることになり体勢が崩れた。

 クソォォ……。やっぱり雨は嫌いだっ!!


 体勢が崩れた僕を見せ瞬時に斬りかかる武者型。走るスピードが上がり、一気に速める。


 ……仕方ない。僕は浮遊している【ボム】で生成してあった爆弾を1つ手に取り、地面にめり込むように投げた。普段の地面ならめり込むことはないが今は生憎の雨。上手く粘着の役割をしてくれて爆弾が移動しないように地面に固定できた。


 【捕食者の影爪】(シャク・ロドエ)の籠手を前に出し防御姿勢を取る。

 武者型は僕の身体を覆い被るようにし刀を自分の頭上に大きく振りかぶっていた。


「……さらばだ」

 武者型が僕に打ち込む瞬間にクイーンズブラスターの引き金を引いた。

 地面にある爆弾は信管に取り付けられたピンが抜けれた手榴弾と同じような状況になりその場で爆発した。本物の爆弾は爆発と同時に破片が飛び散るが【ボム】で生成された爆弾は破片が爆発と同時に僕の周りに集まり再構成され元の爆弾になった。


 爆発の影響で地面が大きく抉られる。爆弾の威力で地面の土が空へ。空中にある土はすぐに元の位置に戻ろうと落下するが武者型に当たる。雨の水分を含んでいる土は柔らかくなっているが同時に重い物質になっている。

【ボム】で生成された爆弾の威力は戦車が使用している大砲サイズの威力。相当な量の土が飛び武者型の身体に纏わりつく。


 チャンスとばかり武者型の懐に忍び込む。その行動は武者型も分かっていたらしく刀の柄をしゃがんでいる僕目がけて振り下ろす。【リッキープレイド】を1本取り外し刀の柄と激突。当たった衝撃で位置がズレ僕の身体の真横を通過し地面に刺さる状態になった。


「もう1発だっ!!!!」


 身体ごと振り下ろしたことで前屈みになっている武者型の顎に爆弾を設置。すぐに爆破させた。モロに爆発の威力を味わった武者型は後ろに倒れる。

「さて……何処か挿せる場所はあるかな???」

 身体を隈なく探り注射器が挿せる箇所を探す。そして……


(なんで右足の踵部分が灰色なんだ?)

 武者型の右足の踵部分が灰色一色になっていた。他は紫とマゼンタの鎧。身体にしっかり張り付いているのか不明だが露出している部分がない。しかしこの踵部分だけは何にもついていない。左足を見たがこっちはしっかり守られている状態。


「不思議な構造だが、試しに……」

 踵に挿し込むと針が入っていく。これは当たりか! 


「採取成功! 案外簡単だったな!」


 灯:お疲れ様、こうちゃん!


 黄華:どうよ! お前の不安感覚も落ちたんじゃないのか


 青奈:何のことかしら? 私しは何も言ってないわよ


 黄華:ちまちまやるよりこうやってド派手にやれば上手くいく。灯! 今度からこの戦法で行こうか


 青奈:すぐ調子に乗る……。灯ちゃん、乗せられないでね。変になるから……


 黄華:負け惜しみですか!??!?


 青奈:コイツッ……


「さて、帰りますか……あれ?」


 おかしいな。雨が止んでない。突然雨が降りそこから武者型は現れるからてっきり雨は武者型が引き起こしたものだと思ったけど、一向に止む気配がなかった。もしかして本当に偶然、雨が降っていただけか……。天は武者型に味方していたのか。まぁ、僕も天の住人で天候を操作できる者だったら確かに武者型に強力していたかな……。それだけのことをあいつらはやった。


 黄華:なぁ〜


 青奈:如何したの。まだ煽るつもり?


 黄華:それはもう良いよ。1つ疑問に思ったんだけど。ソドールって2(・)つ(・)の(・)能(・)力(・)し(・)か(・)ないよな


 僕は不意に顔を殴られ、転がっていく。


「……何で」


 僕を殴ったのは——武者型だった。


 ありえない。成分は確かに抜いた。現にここにある。成分を抜かれたソドールは元の人間に戻る。研究所に所属していた璃子がそう言ってたんだ。間違いない……。なのにこいつは人間に戻る気配がなく、先程まで僕らが戦っていた鎧を身に纏っているソドールのまま。


「あああああああっっぁぁっっっぁぁあああああああああああ!!!!」


 武者型が上に向かって叫び出す。上にあった円形の空間が更に広がる。どこまでこの空間が広がったのか分からない。分からないことだらけだったがこれだけは分かる。


「お前は何だ……」


 僕は絶叫しているソドールに向かって口を開いた。


 刀を抜いた武者型は再攻撃を行った。

 もう一度爆弾をお見舞いしてやる。

 クイーンズブラスターに【ボム】を再装填し、爆弾を投擲した。武者型は刀で目の前にある爆弾を斬りにかかる。

 そいつは斬れないぜ……。爆弾は刀の刀身に張り付き取れないでいた。

 再びクイーンズブラスターの引き金を引き爆発させた。


 武者型は煙に覆われてる予定だった。しかし不発に終わり、取れるはずがない【ボム】の爆弾が刀から剥がれ落ちた。

 僕が視認できる範囲を超えたスピードで走り出していた。目で追っても姿が見えない……

 背後を取られた。雨で見えないが今の僕は相当の汗が出でいる。これだけ集中していても見えなかった……ここまでやれる奴だったのか。だが、悪いね。僕はまだ死ねないから。抗られてもらいよ。

 【捕食者の影爪】(シャク・ロドエ)を後ろに向かって攻撃する。

 武者型が放った刀から禍々しい不穏なオーラが垂れていた。その状態で【捕食者の影爪】(シャク・ロドエ)に当たる。


 青奈:【捕食者の影爪】(シャク・ロドエ)を外して!!!!!


 その言葉を聞きすぐに【捕食者の影爪】(シャク・ロドエ)を取り外し後退した。

 マジですか……。【リッキープレイド】の方は耐久力はそんなにないから如何でも良いけど、【リッキープレイド】の黒色の籠手は僕らの持っている武器の中で耐久力に優れている。それがまるで豆腐のように切断された。


『デストロイ』!


 【太義の蛮輪】(ブロ・ウォーガー)をセットし起動しようとした。しかしそこにた武者型は消えた。消えたと同時に雨が止み、空は快晴になっていた。

灯達が使えるソドール能力

No.16 フォックス 煉瓦茶色

No.35 スパイダー 赤紫色

No.47 シャーク 青水色

No.48 ボーン 茶橙色

No.50 ボム 黒橙色

No.52 ダイヤモンド 水白色

No.59 アイヴィー 緑黄緑色


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