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五十一・健治と千佳の結婚

 呪いを掛けてきた四グループを潰し数日が過ぎた。


 ここ二日間で商談が二つ入りじいさんの屋敷で二人の老人からいい物件を安くで買い取った。私の物件は更に増え、駅前近辺や繁華街の物件が新たに加わった、地図に印を付け健治と千佳を連れて物件を見て回った、修復したり建て直す必要はない物件ばかりだ、満足してマンションに戻った。


 優香と千佳の新しいデザートのメニューにホールケーキとロールケーキが追加された、ロールケーキは特に美味かった。

 お礼にみんなでパフェを食べに行った、優香は全部制覇すると言っていたが本当にほぼ食べ尽くしていた。


 マンションに戻りコーヒーを飲んでくつろいだ、優香は週の半分くらいは与えた部屋で寝泊まりするようになった、防音がしっかりしているので二人の大きな喘ぎ声も届かないから安心だ。千尋は気にしてないようで喜んでいる。

 優香もこっちの方が寂しくなく落ち着く、と言っているので私もこれでいいと思った。

 昨夜みんなが帰った後、千尋と二人で優香をこの家に住ませるかを話し合った、反対するかと思っていた千尋はこう言った。


「優香がいいのなら私も歓迎するわ」

「どの部屋にする?」

「一番大きな部屋がいいんじゃないの」

「そうだな、明日優香に話してみるよ」

「わかったわ」


 と言った具合だ。

 そして今日朝起きてきた優香に話した。


「優香、一緒に住まないか?」

「嬉しいけど、二人に悪いですわ」

「そんな事はない、千尋も賛成している」

「本当にいいのですか?」

「私も歓迎する」


 優香は泣きながら抱きついてきた。


「一緒に住みたいです」

「わかった、どの部屋がいいか選んでくれ、私と千尋は一番大きな部屋がいいと思ってるんだが」

「どこでも構わないです」

「じゃあ決まりだ、今日から一緒に住もう」

「はいありがとうございます」

「優香よかったわね」

「千尋ありがとう」

「じゃあ、健治達がきたら引っ越しだ」

「わかりました」


 朝食を済ませ、九時になり健治と千佳が来たので手伝わせた。優香は寝室しか使っていなかったので引っ越しは楽だった。大きいのはベッドとタンスやテーブルくらいだ、生地や本など細々したものも全部新しい部屋に移した。


「みなさんありがとうございます」

「優香さん良かったですね」

「優香さんおめでとうございます」

「ありがとうございます」

「優香これから坂井優香と名乗れ」

「いいんですか?」

「構わん、優香が嫌じゃなければな」

「嫌なわけないじゃないですか、ずっと憧れていたのですから」

「じゃあ決まりだ、コーヒーを頼む」

「はい」


 私は第三の目で以前やったように役所のデータを書き換える、立花優香を坂井優香に変えた。


「優香、役所に行って住所変更してこい、坂井優香の名前でな」

「役所では坂井優香は通用しないのではないですか?」

「私が書き換えた、お前はもう立花じゃなく坂井になっている、立花はもう通用しない」

「嬉しいです、では行ってきます」


 優香は瞬間移動で消えた、二十分程で優香は嬉しそうな顔で帰って来た。


「住所変更してきました、坂井優香で通用しました」

「だろ、じゃあコーヒーのおかわりとロールケーキを頼む」

「はい」

「健治さん私も早く佐藤になりたいです」

「千佳ちょっと部屋に戻ろう、優斗さん少し席を外します」

「いいぞ」


 二人が消えた。


「プロポーズでもしに行ったのかしら?」

「多分な、健治が固い表情になっていた」


 昼過ぎに健治達が戻って来た。


「遅くなりました」

「別に構わん、暇な時は自由にしていいと言っただろう」

「優斗さんプロポーズして、婚姻届を出して来ました」

「おめでとう、千佳良かったな」

「千佳良かったわね」

「健治君、千佳おめでとう」

「はい、結婚指輪も買ってくれました」


 二人が嬉しそうに指輪を見せてきた。


「じゃあ今夜はお前達の結婚祝いのパーティーをしようじゃないか」

「はい、ありがとうございます」

「会長ありがとうございます」

「しかし、決断が早すぎないか?」

「閻王様からも運命と言われてましたし、千佳のおじい様からも婚姻届は書かされていましたから」

「そうだったな、お前らの両親には報告したのか?」

「まだです」

「早く連絡して安心させてやれ」

「わかりました」


 健治が親に連絡している、週末に会わせる約束をしたみたいだ、健治が電話を終えると今度は千佳が電話を掛け始めた、すぐに電話を終えた。


「優斗さん、明日の土曜日は昼間休ませて貰います」

「会長、私も明日の土曜日は休ませて貰います、両親とおじい様が健治さんのご両親に顔合わせしたいとの事なので」

「いいぞ行って来い、ところで健治の両親は何をしているんだ?」

「神社の神主です」

「そうだったのか、跡を継がなくてもいいのか?」

「ええ継がせる気はないみたいです、だから俺は陰陽師になろうと家を出たんです、少し前にはぐれ陰陽師の弟子になったと言ったら驚いてました、噂は知っていたみたいです」

「そうか、式はどうするんだ?」

「俺は千佳に任せます」

「私は式はどうでもいいので、二人だけか身内のみでしたいと思ってます」

「わかった、私達と同じだな」


 私は残ったロールケーキを平らげ、千尋に膝枕をしてもらい仮眠を取った。どれくらい眠ったのか千尋に起こされた。


「あなたそろそろ起きて」

「ああすまん、今何時だ?」

「十六時半よ、食べ物がたくさんあるから鬼達も呼んでちょうだい」

「わかった」


 鬼達も集まり、テーブルにはフライドチキンやフライドポテト、ピザやポテトサラダなどがたくさん並べられた。


「それでは健治と千佳の結婚祝いのパーティーを始める、これは優香の同棲の記念でもある、みんなたくさん食べて飲め」


 私は鬼達に千佳を改めて紹介してやった。


「会うのは二回目くらいだろうが、健治の嫁の千佳だ、お前らも仲良くしてやってくれ」

「千佳、よろしく頼むぞ」

「はい、こちらこそよろしくお願いします、酒呑童子さん」

「健治にも言ったが、さんは付けなくともよい、後敬語も要らぬ」

「わかったわ」

「それでよい、健治の嫁なら千佳も主の弟子なのか?」

「私は孫弟子よ」

「そうか我らは主の家来で、健治と千佳は主の弟子だ対等の立場だ、主これでよいか?」

「それでいい、お前らも対等に扱おう。それと千佳いい機会だ、健治と結婚したんだから正式に私の弟子と認める」

「会長、いいのですか?」

「ああ構わん、これからは堂々と私の弟子だと言え」

「ありがとうございます、光栄です」


 千佳は涙を浮かべていた。


「優斗さんありがとうございます、俺が一番弟子で千佳が二番弟子という事でいいんでしょうか?」

「そうだ、ただしこれ以上は絶対に弟子は取らない、元々はぐれ陰陽師として一匹狼で行こうと思っていたが、これも何かの縁だ」

「はい、会長嬉しいです」

「千佳、よかったわね」

「千佳、おめでとう」

「千尋さん優香さんありがとう」

「千佳よよかったではないか、主は強いぞ負けぬように頑張れ」

「酒呑童子もありがとう」

「兄貴、健治達と我々ではどっちが強いのですか?」

「そうだな茨木童子より健治と千佳の方が強い」

「茨木童子よ、相手を見て力量を測れなくては戦いには勝てぬ」

「酒呑童子はわかるのですか?」

「わかる、健治と千佳と我では健治達の方が強い」

「兄貴、本当ですか?」

「ああ本当だ、お前も酒呑童子が言ったように見ただけで力を測れるようになれ」

「わかりました」


 千佳が酒呑童子の腕を触っている。


「千佳よ、どうしたのだ」

「凄い筋肉ね」

「我は力が強いのが取り柄だ、茨木童子は炎を操るのが得意だ、鬼童丸も力持ちだ」

「酒呑童子程ではないけど力には自信があります」


 鬼童丸が久しぶりに喋った、みんなも驚いている。


「鬼童丸、もっと普段から話してもいいんだぞ」

「はい」

「主、こいつは我ら二人の前でも滅多に話さない、喋るのが苦手のようだ」

「そうかまあいい、優香お前の同棲記念のパーティーでもあるんだ、もっと飲めよ」

「私はいいですわもう十分幸せです、今日は健治君と千佳が主役です」

「わかった」

「優斗さん、俺と千佳が結婚したから俺も優斗さんの親類って事になるんですか?」

「そういう事だ、この五人は全員親類関係って事になる」

「優斗私は違いますわ」

「優香言ってなかったが、お前は私の親父達の養子って事になっている、法律上では私の義妹って立場だ」

「そうなのですか? 驚きました」

「だから五人は全員親類関係になるんだ」

「嬉しいです、ありがとうございます」

「優香は私の義妹って事ね、嬉しいわ」

「千尋、ありがとう」


 その後二時間程馬鹿話をして、パーティーが終わった。


「主、今回も楽しい宴であったまた頼む」

「わかった、またパーティーを開こう」


 鬼達が帰って行き、私はみんなが残したデザートを全部食べた。優香と千佳が後片付けをしている、みんな楽しそうだこういう生活が続けばいいなと思った。

 千尋が眠たそうなので、先に寝ろと言ってやるとありがとうと言って寝室に入った。


「健治、明日は両親達との顔合わせだけなのか?」

「いえ、午前中は式を挙げて午後に顔合わせの予定です」

「もう式場まで予約したのか?」

「はい、優斗さん達が式を挙げた同じ教会です、千佳が早く終わらせたいというので」

「今日結婚したばかりで次の日によく予約が取れたな」

「大安吉日ではないのですぐに取れました」

「そうか、明日忙しいなら早く帰ってゆっくり休むといい」

「はい、わかりました」


 優香と千佳が後片付けを終えると、健治と千佳は帰って行った。


「優香、今夜は記念日だ、お前の部屋に行ってもいいか?」

「はい、いつでもどうぞ」

「じゃあ風呂に入るか」

「そのままがいいです、優斗の匂いが取れてしまいます」

「わかった、私もお前の匂いが好きだ」


 優香と部屋に入りベッドに入った、優香を抱くのは好きだった、新しい事が試せるし優香の甘い香りが好きなのだ。だからといって千尋を抱くのは嫌と言うわけではない、私は平等に愛しているからだ。


 翌日、朝から天気がよかった、健治と千佳の結婚式にはちょうどいい。私も仕事は休みなのでダラダラと過ごした、寝転んで本を読んでいると優香が足裏マッサージをしてくれた。


「これは気持ちいいな、体がポカポカしてくる」

「たまには疲れを取らないと駄目です」

「じゃあ私は後で肩を揉んであげるわ」

「ああ頼むよ、至れり尽くせりだな、私は幸せ者だ」

「今頃気付いたの? 遅いわよ」

「優斗の幸せは私の幸せでもあります」


 昼前に健治と千佳がタキシードとウエディングドレスで現れた。


「優斗さんどうです?」

「二人共似合ってるぞ、千佳も綺麗だな」

「会長ありがとうございます、これから記念撮影をしてきます」

「ああ行って来い」


 二人が消えた。


「二人共似合ってたわね」

「千佳も綺麗でしたね」

「お前らの方が綺麗だ」

「でも久しぶりに三人ってなんか寂しいわ」

「そうですね、いつもの賑やかさがありませんわ」

「たまにはこういうのもいいだろう」


 私はまた本を読み始めた、昼食を終えてコーヒーを飲みながらシュークリームを食べると、ウトウトし始め暫くまどろんでいると思念が飛んで来た。


『優斗さん、今から戻りますが俺の親父を連れて行ってもいいですか?』

『いいぞ』


「千尋祝儀袋はあるか?」

「あるわよ」


 渡された祝儀袋に健治からマンションを売った時に貰った百万円を入れた。

 健治達が帰って来た、五十代程の男が一緒だ、健治の親父の神主だろう。


「坂井さん健治の父親です、初めまして」

「初めまして、神主らしいですね」


 名刺交換をして座ってもらった。


「はぐれ陰陽師様の噂はよく知っています、何度かのメッセージも受け取りました」

「そうですか」

「私は大した能力はないので玉藻前退治の際にはパワーを送ります」

「ありがとうございます」

「この度は健治にいろいろと便宜を図ってもらいありがとうございます」

「私の一番弟子です、当然の事をしたまでです気にしないで下さい」

「親父もういいだろ? 師匠は今日は休みなんだ」

「そうだったな、坂井さんこれからも健治達をよろしくお願いします」

「わかりました、健治結婚の祝儀だ」


 私は祝儀袋を渡してやった。


「こんなに貰えませんよ」

「祝儀だ、断ると無礼だ受け取りなさい」

「わかりました、では親父を送って来ます」


 ゲートを開き父親を連れて行くとすぐに戻って来た。


「やっと全部終わりました」

「健治さん疲れたわね」


 健治が小さなゲートを開き霊酒を取り出し二人で飲んだ。


「優香、何か精の付く夕飯にしてくれ」

「はい、わかりました」

「二人共電撃結婚だったな」

「はい、定められた運命ですから」

「まあゆっくりするといい」

「はい」


 夕飯まで二人は与えた部屋で仮眠を取ったようだ。

 夕飯は肉とにんにくがどっさりだった、豚の生姜焼きとガーリックライスとレアのステーキだ。私と健治と千佳はぺろりと平らげた千尋と優香は時間をかけゆっくりと食べた。


 コーヒータイムを全員で楽しむ、健治と千佳が今日の事を話して、千尋と優香がそれを聞いていた。私はケーキを食べるのに夢中で半分くらいしか聞いてなかった。


「優斗さん、明日から通常運転に戻ります」

「会長、私もです」

「わかった、二人の時間も楽しめよ」

「はい、今日はそろそろ帰ります」

「ああゆっくり休め」


 二人が帰って行った。


「私達も休みましょう」


 千尋は最近眠くなる時間が早かった、風呂から上がり千尋を抱こうと思ったが、寝てしまったので優香の部屋に行った。


「最近よく来てくれますね」

「優香を抱くのは楽しいからな」

「嬉しいです、今日は私がしたい事をしてもいいですか?」

「いつもの事じゃないか」

「駄目ですか?」

「いや、楽しいからいい。もっといろいろしてみたいな」

「勉強しておきます」


 優香を抱き終えると私はそのまま眠りに付いた、優香がベッドに入ってきて抱きついたところで眠りに落ちた。


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