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短編  作者: 月読雨月
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サラリーマンタイムループ

サラリーマンタイムループ


朝起きて昨日寝た記憶がないのに気が付く。しかしそんな事気にしてられない。栄養ドリンクを飲み、家を出る。

「今日も雨か。昨日予報では晴れって言ってたのにな」

俺は少し嫌な気分になって傘を差し、会社に向かう。電車に乗ろうと駅に入って、そう言えば昨日此処で階段で目の前の人が転んだのだったな大丈夫だったかな? と考えていると、前の人が、足を滑らせて、階段で転んだ。

「きゃあああああ!」

「救急車、救急車呼ぶんだ!」

俺は急いでスマホを取り出して、救急車を呼ぶ。救急車が来るのを待っている間に驚きながらも遅刻するの嫌だなぁ、昨日と同じだなぁとか考えていた。

救急車が来た後、俺は電車に乗り会社に向かう。隣の男の読んでいる新聞を見ると昨日の日付だった。ここにきて俺は何かおかしいと思った。

出社して席に着く。そして納期の迫っている仕事を見ると何故か昨日終わらせた部分が消えていた。途中で保存を何回もしたはずなのにだ。やっぱり何かおかしい。そこで同僚に、

「この仕事って明日までだよな?」

「何言ってんだお前、明後日だよ」

「そ、そうだよな」

俺疲れすぎて同じ日を繰り返しているように思っているのかと、この時は思った。

十数時間後、俺は仕事中に睡魔に襲われていた。ヤバいすごく眠い、ここで……寝た……ら……。


目を覚ました。いつものベットの中で。

「あれ、俺確か会社に出て睡魔に襲われて……」

とりあえず会社に行かなくては。そう思い外に出る。今日もまた雨。傘を家から取り駅に向かう。するとまた階段から転げ落ちる前にいた女性。救急に電話をかけ、急いで会社に向かう。

「な、なぁコレの納期って……」

「ああ、明後日だろ」

俺は立ち上がり、トイレに向かう。

「おいおい、これどうなってんだ……タイムループってやつか? そうなると俺がアイムループから逃れるには……」

それを考えつつ席に戻る。それから数時間、ふと時計を見ると、12時を少し過ぎていた。

「あ、お昼買わないと……」

俺は急ぎお昼を買いに行った。ビルの出た所にある信号で青になるのを待つ。変わった。そう思い足を踏み出した。しかし、車が突っ込んできて、周りの人も、

「おま、赤信号で渡るな!」

という声も聞こえ俺ははねられた。眼を開くとまた家のベットの上だった。スマホの日にちもまた、変わって無かった。


まず手始めに駅の階段で女性を救おうとする。しかし、俺も踏ん張りがきかず一緒に落ち、家のベットでまた目を覚ます。日付は変わらない。

会社だけは休まずに、やれることを試す。知り合い、身内などに不幸はない。だからなりふり構わず人を助けようとしてみる。しかし、力が出なくて、逆に巻き込まれてしまう。次に、いつも通りに過ごしてみるが、車に轢かれるか、眠くなり気が付いたらまた同じ日を繰り返す。そして俺はついに発狂したかのように、

「どうなってるんだ! 俺が何をしたっていうんだ!」


傍観者


「あと十回か……」

私は男のループを四十回見た。男は周りに理由を求め過ぎだ。答えはもっとシンプル。自分のことだというのに。けど、あと十回で男はループから外れて死んでしまう。その前にヒントを……。


いつもとの違い


またベットの上だ。俺は焦りを感じる。このまま俺はこの迷路に囚われたままになるのか。その怖さのまま布団から起きて、スマホを見る。すると、日付は変わってないがメールが来ているという変化が現れていた。それは母さんからだった。

『時臣、ちゃんとご飯食べているかい? 

ちゃんと七時間寝てるかい? 母さんは心配です。昨日家でとれた野菜を送りました。仕事より時臣が健康であることが一番大事だからね。無理しないようにね」

そう言えば最近、ループする前から4時間以下しか寝ていない。ご飯だってカップ麺ばかりだ。趣味もなければ社会に貢献して喜びを感じているわけでもない。そんな事を考えていると俺の生きる意味って何だろう? とも思えてきた。そりゃ生きる意味なんて世界に貢献するでもいいし、子孫を残すでもいい、人に自分の功績を知ってもらうのだっていい。ただ俺は、仕事だけをしている気がしたのだ。趣味もなければそれにかまける時間もない。それが虚しくなってきたのだ。こんな体を壊してなんになるんだろう。そう思うとこんなブラックな会社で働いているのが馬鹿らしくなる。そうだ今日はもう休もう。そして、色々先の事を考えて早く寝よう。お金も少ないが最悪実家に帰ればいい。逃げ道はある。だから今日は休もう。それにそう言えば今はループ中だ。休んだって問題ない筈だ。そう思っていると眠くなってきた。またベットに入る。そこで俺は考える。今まで逃げることは悪だと思っていたが、逃げなきゃいけない時だってあるんだ、と。

目を覚ます。そして時計を見る。すると日にちは進んでいた。良かった。と思ったのもつかの間、会社から大量に連絡が来ている。けど俺の腹の中は決まった。俺は……。


理由


男のループは止まった。理由は死ななかったから。彼はループする前から過労死寸前だったのだ。それなのに無理して会社に行き、そして、ミスをした。その後に男はビルから飛び降りた。しかしその結果としてループすることになったのだった。男は今は、違う会社で、面接を受けている。人柄がよく勤勉な男はすぐに職が決まり、無理のない仕事に付けた。私はその姿を見て、いつも思う。逃げる勇気は必要だと。

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