閑話1
1000PV突破しました!
短めです。
―side『eternal fairy tale online』製作チーム―
VRMMORPG、『eternal fairy tale online』の制作の大本になっているのは、近年VRゲーム業界に流星の如く現れ、凄まじい性能を誇るVR機器と数々の人気ゲームをこの世に輩出してきた大企業道柊株式会社だ。
そのエタテル製作チームは社長直々に選び抜いた天才や秀才が集められたチームであり、三日前まで死屍累々の光景が広がっていた場所でもある。ゲームがリリースされた今はGMコールの対応に忙しい管理スタッフを除けば、彼らは落ち着いていた。
そんな中、一人の若い男がドタバタと走っていく。
「センパーイ、これ!これ見てくださいよ!!」
「ぅんだよ白峰、休憩してるんだから静かにしろ」
若い男―白峰から先輩と呼ばれた男は先ほど仕事が一区切りつき、休憩している最中であった。そもそも、あまり仕事は多くないのだが。
「うぐ・・・でも岩崎先輩、ホントに凄いんですから見てくださいよ!」
「まあいいがよ。・・・って、『真の最弱種族』だとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
「み、耳が、耳が~~~~~!?」
「オメーの耳なんてどうでもいいんだよ!!」
「ひ、酷いっす」
「あー、まさか深夜テンションで考えた『絶対に取得されない称号シリーズ(笑)』が、取得されるなんてなぁ。・・・・しかも、ぶっちぎりワースト一位の称号だなんてよ」
岩崎が見ているタブレットの画面にはプレイヤー極夜のステータスだ。何度見返してもものの見事に条件を達成している。最早悪夢の類だ。
『絶対に取得されない称号シリーズ(笑)』とは製作チーム全員が深夜テンションで投票により採用したユニーク称号のことで一度誰かが取得すれば継承若しくは強奪しない限り取得できない称号の事である。ただし、取得者が死亡した場合その称号の座は空席となり、取得可能となる。
条件が厳しすぎる方角称号シリーズ『四神』、条件が厳しすぎる最恐称号シリーズ『七大罪』、条件が厳しすぎるユニーク種族称号シリーズ『真の種族』、条件が厳しすぎる極地称号シリーズ『覇者』、条件が厳しすぎる人類称号シリーズ『十二聖天』、条件が厳しすぎる人外称号シリーズ『六欲天』が存在する。また、これらはNPCでも取得可能なものである。
その中でも『真の最弱種族』は生きられないレベルの弱さであり、自然では誕生することが無く、種族ランダム指定のプレイヤー限定と言えなくもないが、それも取得できる可能性は天文学的確率である。つまり、ガチで取得されないと思われていた称号ナンバーワンである。
「ああ、どうすっかなぁ。・・・社長なら『面白そうでいいね!』で済ませそうだが、そうもいかねーよなぁ。おい、このプレイヤーどんな様子だったんだ?って言うより、何回死んだ?」
「それがですねー、何と今のところ0回なんですよ。救済措置をうまく使って、下がってたレベルも一レべまで戻しましたし」
「・・・・マジかよ」
「マジっす。まあ、流石にレベル一にしたらログアウトしちゃいましたけど」
「それはしょうがないだろ。あの状態で無傷で切り抜けるとか・・・頭おかしいな」
「そうっすね」
「・・・・一応社長に報告しとくか?あの人が好きそうな話だし」
「そうっすね・・・でも、仕事の方は大丈夫なんすか?」
「馬鹿野郎、俺らが大変だったのはリリース前までだ。あとは女神―管理AIが世界を管理してくれるんだからよ」
そう、彼らが余裕綽々で休憩していられるのもゲーム内で女神の役割をしている十二体の管理AIがプログラムのメンテナンスからチートの防止まで行ってくれているからだ。まあ、細かいメンテナンスを行うこともあるが仕事量はかなり抑えられていると言っていい。
「ああ、それもそうっすね。それにしても社長はどこからあんな優秀なAI手に入れて来たんすかね?」
「あの人がやることだ。俺らには関係ねーだろ」
「まあ、そうですけどー」
「おらおら、行くぞ!」
「ちょっ、先輩!押さないで下さいよ~!」
―sideナレーター?―
皆の衆、お久しゅうお久しゅう!みんなのアイドルナレーターさんだよ♪ふふん、如何だい、これで僕もナレーターの仲間入りさ!うん?『?』が付いてるって?そんな細かいことは気にしなーい気にしなーい♪僕が気にしないと言ったら気にしない、いいね!・・・そう、僕がルールだ!ババーン!!
まあ、そんなことは脇に置いといて。宣言通り章の区切りに僕降臨!・・・あれ?これ重要じゃない?えー、僕が登場したんだよ?もっと僕を崇めてよ、褒め称えてよ、甘やかしてよ!!
・・・・どうだった?最近天界から追い出された?某有名な詐欺師兼駄女神の真似をしてみたんだけど?えっ?突っ込み役のヒキニートが足りない?あー、それは仕方がないね、彼を用意するのは僕には無理だ。
おっと、忘れるところだった。次章の予告をしなきゃいけないんだった!よし、いくよ!
開始数分で生存するための進化に漕ぎついた極夜君!しかし、死の危険は変わらず彼に纏わりついたままだった!?仕方がない、レベルアップしてレベルアップするために殺して殺すのだ!!悪友との合流もあるかも!?次章『青紫鬼、進化しても弱いまま(涙)』お楽しみに♪
序章の最後なので評価・ご意見・ご感想よろしくお願いします!また、まだブックマークされていない方はブックマークしていただければ幸いです。