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第10話 ゲーム友達・・・?

遅れてすみません。

-気を付けー、礼-

-さようなら-


「うーし、お前らー、夏休みにはめ外し過ぎて面倒ごとを起こしたりするなよー」


 先生の面倒だから変なことをするなよという忠告を聞き流し、素早く鞄を持ち教室を出る。早く帰ってレベリングしなくては!いくら暗殺で何とかなると言っても正面からの強さは人類プレイヤーのレベル五にすら劣るからな。これまでうまくいってきたのは全部スキルのお陰だ。これがいつまでも続くとは限らない。


「九朗!おい、待って!・・・待ってって言ってんだろうがっ!」


「ガハッ!」


 こ、こいつ!背中に飛び蹴りをかましやがった!なんてことしやがるんだ!!そう思い、俺はクソ野郎を罵倒しようと振り返りながら立ち上がった。


「てめっモガモガモガモガ、モガ!」


 俺が罵ろうとした瞬間、優斗が目の前から消えて俺の口を塞いできた。暴れる俺を押さえつけ、耳に顔を近づけて小声で話しかけてきた


「(落ち着け九朗。穂香に告げ口されるぞ)」


「ッ!」


 俺の様子を見て大丈夫と判断されたのか口の拘束が取られた。優斗も俺も辺りを見回したが、まだ穂香は教室から出てきていないようだ。


「ふう、セーフだな。・・・それで何の用だ?これでも急いでるんだが」


「いやいやいや、『エタテル』を手に入れたなら一緒にやろうぜ!」


 あー、そういうね。一緒に冒険しても良いけど、優斗は十中八九人類プレイヤーだよな。そうなると人類敵対種である俺との相性は良くない。そもそも、人類種と人類敵対種ではパーティーが組めない。更には、人外種は基本的に同じ種族同士でなければ言語が違い対話もできない。低位アンデットに至っては『念話』スキルが無い限り、会話など夢のまた夢だ。本当に不遇だな。

 それに人類敵対種であることがばれるのもユニークモンスターの正体がプレイヤーだと露見しかねない。それは拙い。誤魔化しておこう。


「ええと、実は『エタテル』くれたゲーム友達が気難しい奴でさ。リアルの事の持ち込みは許してくれないんだよ」


「あー、そういうタイプの人ね。ならしょうがねぇなぁ」


 すまん、ラドゥ。・・・名誉は傷ついていないはずだ・・・・多分。合流したら少しだけ優しくしてやるか。


「それじゃあ、穂香にも事情を話しておいてね」


「おう、任せとけ!」


「うん、また今度ね」


「じゃあな!」


 優斗と別れた後、全力で三階から一階へと駆け下り、下駄箱から靴を勢いよく取り出して履く。後は駐輪場まで行き、自転車に乗って全速力で帰った。・・・しっかり道路交通法は守ったぜ。


「ただまー!」


 よし、返事なし、瑠衣姉はまだ大学だ!サクサクっと準備して始めちまうか!いや、汗流してからにしよう。瑠衣姉がいると覗きを警戒しながら入らないといけないし。そうと決まれば風呂に直行だ!おっと、その前にトイレトイレ。


「ふぅー、さっぱりした」


 風呂から上がった俺は水分補給を手早く済ませ、別途に寝転がりアトランティスX-124を被る。・・・何でこれ『124』なんだ?123回試作したってことか?まあ、いいか。


「システム・コネクション!」


 すぅーと意識を吸い取られていく感覚と共に目を開けると、そこは既に森の巨木の上だった。取り敢えず、HPを確認しておく。よし、変化なし。気配も・・・近くには何もいないようだな。


「さてさて、まずはフレンド登録か」


 えーと、フレンド検索はっと・・・おろ?誰かから申請が来てやがる。まあ、十中八九ラドゥだと思うけど。あー、うん、やっぱりか。あいつが昨日の内に申請しといたんだろうな。


【プレイヤー名『ラドゥ』とフレンドになりました】


 フレンド一覧でプレイヤー名を確認してみたが灰色になっている。ログインしていたら白色になっているはずだから如何やらまだログインしていないらしい。


「さーてと、合流するまで浅い場所で初心者狩りでもするかな」


 俺は起き上がり、木々の上を疾走し始めた。グランドボアの奴は俺の探知圏内にはいないみたいだ。今の内に移動して二人くらいは狩りたいな。

 俺は森を北に移動していた。だが、目につくのはグランドボアによる破壊痕だけだ。抉れ、罅割れた大地、一直線上に薙ぎたをされている木々、乾いた泥で汚れている川辺、まさに生きる破壊兵器だ。

 ・・・さっきから人どころか魔物も居ねぇなぁ。もしかしてあいつのせいか?全くもっていなくてからも俺の邪魔をするなんて!絶対に俺が倒す!(←此奴も原因の一つ)


 それ以降も探索を続けたが一向に見つからず、苛々していたところで視界の端にあるHP・MPバーの下でメールのアイコンが点滅した。


ラドゥ:ログインしたぜ!


 ほうほう、こんな感じになるんだな。メールっていうよりもチャットだな。あれからどれぐらい経ったんだ?・・・夢中になり過ぎて時間測るの忘れてた。拙いな、人族プレイヤーと融和種は町の中なら鐘の音で時間が分かるらしいし。不遇過ぎませんかね?あっ、返信しとこ。


極夜:よう、何処で合流する?


ラドゥ:おう、取り敢えずお前は地図持ってるか?


 返信が早いな。地図って『白紙の世界地図』の事だよな?


極夜:お前の言ってる地図ってのが『白紙の世界地図』で合ってるなら持ってるぞ。


ラドゥ:おっ、それそれ。それにしても、もう地図を持ってるなんてお前やるな!


極夜:まあ、人類敵対種の端くれだからな。


ラドゥ:わかってるじゃあないか!人類プレイヤーを殺してなんぼだもんな!


極夜:そういえば、お前って種族何?


ラドゥ:それは会ってからのお楽しみってやつだな!


 ふむ、なるほどなるほど。


極夜:つまり、明らかに他とは違う魔物を見つけた場合・・・駆除すればいいんだな?


ラドゥ:んな訳あるか!!テメーの脳みそ腐ってんじゃねぇか!?


 ・・・・イラっと来た。俺の額に青筋が立つ。


極夜:いいぜ、その喧嘩、買ってやろうじゃあねぇか!!!


ラドゥ:あ゛ぁ゛ん、調子乗ってんじゃねぇぞ!実力の差ってのを分からせてやる!!集合地点はそっちに地図を送る!逃げずに来いよ!!


極夜:上等だ、ゴラッ!!


 叩き切る勢いでフレンドチャット画面を閉じる。地図のアイコンが点滅しているのを確認し、地図を開く。地図を確認してみると集合地点はここから北西に進んだ不浄の沼地とグリール大森林との境目辺りだ。森の浅いところではなく、出来るだけ深いところで会おうとしているのは、やはり人類プレイヤーを警戒しての事だろう。

 森は奥に進めば進むだけ草木が鬱蒼と茂っている。つまり、暗殺するには持って来いの場所ということだ。ん?せこい?何が?これは戦いだぞ?戦いにズルもクソもないだろ?えっ?心躍る戦いは?おいおい、これは制裁だから手段は選ばんし、選べるほど強くもないんだが・・・。いつか正面から堂々と戦ってみたいけどさ。

 よしよし、そうと決まれば隠密を使いながらできるだけ早く集合地点に到着し、来たところを不意打ちで仕留めなければ!あいつの方が先に始めてるし、どう考えても俺よりも強いよなぁ。攻撃力的に効かなかったらどうしよう・・・?うーん、何かスキルを取っておこうか・・・いや、弱いスキルで埋められるほどの差な訳ないよな。スキルポイントは温存の方向で。


「されと、行くとするか!」


 俺は力強く木の枝を蹴りつけた。













 







 

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