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【Session8:縄文時代③~とても豊かな縄文時代~】

土器が出現するまでは石器しか持ちえなかった私たち人間。


忘れがちなことですが、本来ならば人間という動物にとって“食料の確保”と“十分な栄養の接種”は生死を左右する重要な課題です。


しかし、土器づくりの文化は、人間という種に大きな変化をもたらしました。


土器が出現したことで、“食材の煮炊き”や“保存の技術”が発達し“安定した生活”を送れるようになったのです。






私たち日本人のご先祖様が土器づくりを始めたのは、今から約1万6000年前。


1万6000年前と言うと、世界最古の文明と言われるシュメール文明(約6000年前)が発生するよりも1万年ほど昔の話ですね。


この地球上に、まだ文明的な物が何もない時代です。


しかし、そんな何もない時代であるにも関わらず、縄文時代の遺跡からは、縄文時代の人々が豊かに暮らしていたと言う証拠が次々と発見されています。






約1万6000年前から3000年前までの長きに渡り続いた縄文時代。


まず、1万年以上も続いた縄文時代の遺跡からは、人を殺すための武器が出土しません。


これは、日本が地理的に恵まれていたのでしょう。


日本の国土の2/3が森林だと言うことは、みなさんご存知ですね。


これは、世界第3位の森林率を誇ります。


森林が育つと言うことは、十分な水があることを意味します。


動植物が生きる為に必要な“命の水”です。


この“命の水”が森を育み、草食動物を育み、人間を含む雑食動物や肉食動物を育むのです。


世界第3位の森林率を誇るこの日本・・・実は、水や食料に恵まれていて暮らしやすい土地だったのです。


※縄文時代の黎明れいめいが氷河期の終わり頃なので、現在と森林率が違います。氷河期が終わって人間が暮らしやすい気候に変化したことも縄文文化の発展と関係が深いのでしょうね。






また、日本列島の四方を海が取り囲んでいることも日本が恵まれている地理的条件の一つでしょう。


まずは、『講談社ブルーバックス』より『日本は世界第1位の深海大国! その豊かな地形、資源、生物を語ろう』の一部を紹介したいと思います。






“日本の「海の広さ」は世界第6位で、そのほとんどが深海である。


さらに、水深5000メートル以深の海水保有体積ならば、世界第1位。


つまり、日本は世界屈指の「深海大国」といえる。その実像はこれまで謎に包まれていたが、調査船の進歩などにより、少しずつ明らかになってきた。


それは、私たちが想像していたよりもはるかに豊かな世界である。”


引用元URL(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/36461)






どうして日本が深海に囲まれているのか。


これは、一言で言うと環太平洋火山帯に沿って日本列島が形成されているからなのですが・・・難しい説明になるので省きますね。


大事なのは、日本列島の陸上では、日本列島に沿ってニョキッと高い山が連なっていて、日本列島の周りの海底では、日本列島に沿ってボコッと“海溝”が続いていると言う事実です。


そして、海溝とは海の深さ・・・つまり、海洋生物の住処の広さを意味しています。






ここで、『日本経済新聞』より『日本近海は海洋生物の宝庫 全体の15%、3万4千種』の一部を引用したいと思います。


“日本近海には深海生物まで含めるとバクテリアからほ乳類まで約3万4千種にのぼる多種多様な海の生き物が生息していることを、海洋研究開発機構などの研究グループが突き止めた。


海洋容積は全世界の1%にも満たないが、確認されている全海洋生物の約15%にあたるという。”


引用元URL(https://www.nikkei.com/article/DGXNASGG03007_T00C10A8000000/)






凄いですよね。


日本列島を取り囲む海の深さが、全海洋生物の約15%、実に3万4千種もの海洋生物を育む世界でまれに見る豊かな海を形成していたのです。


こんなに豊かな海が、地球上の陸地面積の僅か0.25%しかない日本列島の周りに昔からあったのですね。


豊かな海とは、良質な漁場。


古代から日本人は、この豊かな海の恵みを享受しながら生活を営んできました。


十分な水と森の恵み、そして、良質な漁場・・・日本には「衣食足りて礼節を知る」と言う言葉がありますが、縄文時代の遺跡から人を殺す武器が出土しないのは、十分に食料を確保することができたからなのかもしれないですね。






【おまけ①】

どこの海も同じように深い。


そう思ってる人も多いと思いますので、小話を一つ。


黄海の話をしたことを覚えているでしょうか。


中国と朝鮮半島の間にある黄海・・・黄土高原の土が黄河の水流に乗って黄海へと流れ出る黄海です。


数万年の時をかけて絶え間なく流れ出る黄土高原の土の影響で、今や黄海の水深は平均44mしかありません。


更に数万年の時が経てば、黄海が黄土高原から流れた土で陸地になっているかもしれないですね。






【おまけ②】

緑の豊かな場所で、人間は栄えます。


Google Mapの航空写真モードで中国を見てください。


東側が緑色、西側が黄土色になっているかと思います。


緑の豊かな日本で住んでいると分からないことですが、中国人の90%以上が緑の豊かな東側に住んでいます。


世界第三位の森林率を誇る私たちの国、日本。


地政学的に見ても、日本って本当に住みやすい場所なんです。

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