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【Session5:古代中国人の遺伝子】

さて皆さん、中国にある山東省ってご存知でしょうか。


場所的には、朝鮮半島から内海を隔てた西側にある中国の沿岸地域。


距離的には、北九州から山東省まで約1100kmです。


1100kmと言うと、大阪から札幌までの距離と同じくらいですね。


日本のご近所、山東省です。






さてさて、その山東省がどうしたのか。


本題に入る前に、少し山東省について説明しておきましょう。


“黄河”は知ってますね。


“黄河文明”の栄えた“黄河”です。


そして、その黄河が通って海に流れ込む地域・・・それが山東省です。






余談になるかもしれないのですが、山東省を理解する為の補助になりそうな豆知識を一つ。


日本に飛来する“黄砂”。


黄砂の発生地点は何ヵ所かあるのですが、その一つが“黄土高原”・・・黄河の上流になります。


ですので、黄河の川の色は濁った黄土色をしています。


また、中国と朝鮮半島の間にある内海の名前を“黄海”と呼びますが、これは、黄河が運んだ黄土高原の土が海を黄土色に濁らせるからだと言われています。






山東省について、何となく理解できたでしょうか。


それでは、本題に入って行きましょう。






今から20年ほど前の話です。


東京大学の植田信太郎率いる研究チームが、黄河の下流、山東省シ博市臨シ区で発見された古人骨のDNA分析を行った結果、“2500年前の臨シ区の人類集団のDNAが現代ヨーロッパ人に近い集団だった”と言うニュースを聞いたことがあるでしょうか。


現代ヨーロッパ人に近い人類集団が中国に住んでいた・・・非常にセンセーショナルなニュースですよね。


インターネットで検索をかけてみると、検索結果の上位には『黄河文明は白人の文明だったのではないか』と言う内容が多くヒットします。


しかしです。


私の視点は、そこにありません。






上記の研究を発表した植田信太郎教授が書いた『現生人類の拡散を化石DNAから探る』アドレス(http://lifesciencedb.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.php?year=2000&number=4516&file=4hvrScGP8CvPLYh2B4IcHA==)より、一文を引用したいと思います。


『臨シの2500年前の春秋時代の人類集団は、現代ヨーロッパ人類集団クラスターと現代トルコ人集団の中間に位置している。』


はい。


“現代トルコ人集団”です。


現代ヨーロッパ人類集団の方に注意が向きそうになりますが、そこはグッとこらえてください。


現代トルコ人集団に近い人たちが、2500年前の山東省の臨シに住んでいたのです。


また、『現生人類の拡散を化石DNAから探る』を読み進めていくと、2000年前の臨シ区の古人骨のDNAが、現代中央アジア・・・トルキスタン地方の人類集団のDNAと非常に近いと言うことも書かれています。


興味のある方は、是非上記URLから植田信太郎教授の論文を読んでください。






日本からトルコ共和国までの距離は、およそ8500km。


これだと遠いですよね。


トルコ人に「東に行ったのが日本人になったんじゃよ」って言われても、日本人は誰も信じないと思います。


でも、北九州から山東省までの距離を思い出してください。


僅か1100km・・・大阪から札幌までと同じくらいの距離です。


ご近所です。


かつては、そこにトルコ系民族が暮らしていました。


激動の大陸史・・・いつまでも同じ場所で同じ民族が暮らしていけるとは限りません。


ですが、少なくとも2500年前から2000年前にかけて・・・日本の隣国には、トルコ系民族が確かに暮らしていたのです。






トルコ人「東に行ったのが日本人になったんじゃよ」


“少しは信じてやってもいいよ”ってなって来たでしょうか。






【作者のコメント】

ここで一区切りです。


次の一区切りまで書き溜めができたら連載を再開します。


ヒントは出してますので、連載再開まで歴史ミステリーの探求をお楽しみください。

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