勝利の代償
走る。
とにかく走る。
ギルドからの応援を連れて来たマリーは、
洞窟の中を走る。
嫌な予感がする。
カケルが、洞窟から出て来ないから、何かあったのではないか、と。
進むにつれ、音が聞こえる。
「はあああああああああっっっっっっっ!!!!」
カケルだ。カケルの声だ。
カケルは、奥にいる何者かと、戦っているのだろう。
「ああああああぁぁぁぁぁっっっっ!!!」
痛々しい声が洞窟に響く。
「まずいんじゃぁないか?嬢ちゃん。」
応援に来た冒険者がマリーに問いかける。
「……奥が見えて来ました!!」
広い空間に出た。
そこに、巨大な豚と、ボロボロになって戦っているカケルがいた。
「おい、あれ、ピッグマンじゃねーか!、レベル10くらいでやっと倒せる奴だぞ、嬢ちゃん、彼何レベだ?」
「えっと、レベル2だったはずです。」
あの時のゴブリン退治が初めての戦闘だって言ってたし、
「それじゃヤバイじゃないか!?、早くたすけないと!」
「待ってください!、カケルは、次の一撃で終わらせようとしています。今行ったら、巻き込まれますよ!」
マッスルパワーを右腕に集中させているのが見える。
カケルは、豚の攻撃をかわし、
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!」
カケルは、叫び、最後の力で豚を、斬り倒す。
力を出し切ったカケルは、その場に倒れた。
マリー達は、カケルに近づく。
「……こいつやりやがった!、ピッグマンを倒しやがった!!」
「すげー!、こいつ何者だ!!?」
マリーは、カケルを見る。
左腕は、骨が粉々になり、肉が潰れている。
右腕は、さっきの一撃で、負傷して、肌の色が青く変わっている。
「……誰か、回復魔法使える人はいませんか!?」
「簡易てきな治療は出来るぞ。」
そう言って、冒険者は、治療を始めた。
「本格な治療は、俺には、無理だから、病院に頼んでくれ。」
今ここにヒーラーは、居ない。
町に帰って病院に行かなくてはならない。
治療が終わった冒険者は、カケルを背負い、
「治療は終わった。病院に行くぞ!」
再びマリー達は走った。