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3話 一難去ってまた一難

「皆の者!ワタシはノースディア王国、元王女セリカ・ノースディアだ!」


 セリカの名前を出した時、民衆や兵士達は驚きざわめき出す。


「ワタシの父と母は、ライフゴッドの陰謀により城を追われ、幽閉生活を5年している、そしてライフゴッドはノースディアの誇りを捨て帝国に寝返った!」


 セリカは行方をくらまし死んだ者と思われ、目の前にセリカが現れた事、ライフゴッドが帝国に寝返り、ノースディア王国を奪った事全てが真実と知り出す。


「このまま帝国の犬に成り下がるか?ワタシは否だ!弱いものを苦しめ侵略し、服従させる帝国のやり方が許せん!ワタシは弱きを助けて、強いものを討つ!それがワタシの義だ!カイト来てくれ」


 セリカに呼ばれカイトが前に出てきた。


「ここにいるカイト・バンガードはマーベルランドの領主の息子だった!だが兄に裏切られ、父を殺され、国を追われ、今はノースディアの民となった、帝国は勢力が衰える所か勢力を拡大しつつある、今こそ反旗を翻す時だ!どうかノースディアの誇りがあるならばワタシと戦って欲しい!」


 民衆は戸惑ったがセリカの演説に皆心を打たれ始めた。


 このまま帝国に良いようにさせてはならない、ノースディアの誇りと義を成す為に民衆は立ち上がった、赤き義勇軍はここにて兵力を拡大、捕虜の兵士も行き場をなくし、協力をしてもらう事となる。


 ****


「ライフゴッド様、東領に向かった我が軍は敗れました」


「な、何だと!一体誰だ!」


「それが・・・」


 セリカの活躍はライフゴッドの耳にも入った。


「セリカ姫、生きておったか!」


「セリカ姫は赤き義勇軍と名乗ってます」


「ほぉ・・ならばこちらも手を打たねばな!王と王妃を生かしておいて正解だったな、フフフッ目にものを見せてくれるわ!」


 ****


 初陣を勝利で飾り、東領をの民衆を味方に付けたセリカ達、体勢を立て直すため、キルの村へ戻ってきた。


「カイト、ベリルこの勢いで北の港街を制圧する!」


「あぁ!向こうの戦力が衰えている内に叩く!」


 カイトとセリカの意見に対し、向こうにもこちらの事が知れ渡っているかも知れないから、慎重に行こうとベリルは進言する。


 一夜明け、出撃準備に取りかかるセリカ達、とある一報が届く。


「一大事です、今夜ライフゴッドが国王と王妃を公開処刑すると報告がありました!」


「な、何だと!ライフゴッドめ!やってくれるじゃないか」


 一報は国王と王妃の公開処刑、セリカに怒りと焦りが生まれだした。


「姫様!急ぎ港街に向かいましょうまだ間に合います」


「ベリルわかっている!だが・・カイトワタシはどうすればいい?」


「俺にとっても、あの人達は親みたいな物だから助けるさ必ず!」


 焦り、涙し、どうしていいかわからないセリカはカイトの肩に手をかけては揺さぶり、カイトはそっとセリカを抱きしめる。


「俺達を誘い込む罠かも知れない、だからセリカとベリルさんは城に向かってくれ!港街は俺に任せろ!」


 部隊を2編成し、セリカは2000の兵を引き連れ城へ、カイトは500の兵を引き連れ港街へ向かう、城と港街を一気に制圧する作戦に出た。


「セリカ、あのさ・・・城を取り戻したら頼みがあるんだが」


「ん?珍しいな!言ってみろ」


「お互いに無事に生き残れたらな!」


「コラッ言いかけたなら最後まで言え!」


 そう言ってカイトは港街に馬を走らせた。


 ****


 港街では、ライフゴッドの軍勢約800人が陣を張っている、中央に背中に大剣と両手には斧を持ち身の丈2メートルはある男が構えていた。


「あいつが指揮官かな?」


「おそらくは・・・奇襲をかけますか?」


「ああ、爆弾こいつを使おう突撃して陣の真ん中に投げよう、混乱に乗じて俺は王と王妃を助ける」


 作戦が開始され、カイトは指揮官らしき大男とすれ違い、向こうもカイトの存在に気づいたのか、斧を投げつけてカイトの前に立ち塞がる。


「我はライフゴッド軍、指揮官ザッハ!小僧名を名乗れ!」


「赤き義勇軍!カイト・バンガードだ、退いてはくれないのか?」


「ここは戦場だ!退く気はない先に行きたくば、その槍で応える事だ」


 ザッハと名乗る指揮官は背中の大剣を取り出し、身構える。


「いざ参る!!!」


 話し合いの余地なく、一騎討ちが始まった、相手の威圧感と剣撃にカイトは防戦一方。


「つ、強い・・・」


 神器ヴァルキリーを使うか迷っているカイト、また人を殺めてしまうかもしれないと自分の中で葛藤していた。


「何を躊躇っている?迷いが見えているぞ!」


 ザッハの一撃がカイトに命中し、間一髪で回避したが致命傷は免れた、それでもカイトの腕と額からは血が滴り落ちていた。


「くそっ時間がないのに・・来てくれリーシャ」


 カイトの周りに暴風が吹き荒れ、カイトは身構える。


「先に言っておくが、命の保証はしない!」


「小僧、まさかお前は神器ヴァルキリー使いだったのか!」


「知っているのか?」


「ああ、似たような物を扱う奴を見た、そしてそれが神器ヴァルキリーと知った・・名前はユリウス!まさか神話の代物が実在していたとはな・・」


 ユリウスの名を聞いた瞬間、カイトに迷いは消えた、ユリウスを倒すため死ぬわけにはいかないと。


「ユリウスを倒すためには死ぬわけにはいかない!俺を生かしてくれたこのノースディアの為にも」


「それで良い!行くぞ!」


 激しい打ち合いとつばぜり合いが続き、カイトの出血がひどくなってきた。


 時間がない・・これがカイトにとって渾身の一撃となる、出血が増しているのにも関わらず集中力を高め、相手を一撃で倒す事に集中し始める。


 ザッハもカイトの覚悟を悟ったのか、それに応えるかの様に大剣を握りしめ直し、一騎討ちに入るのであった。


 ザッハの一撃がカイトに命中しそうなその時、カイトは無我夢中で回避し、ザッハの大剣が地面に刺さる、それを見て足で押さえ、カイトの槍がザッハを突き刺した。


「み、見事・・・城へ急げ国王と王妃は城に移された・・この戦我らの負けだ・・ぐふっ」


 カイトは傷つきながらも兵300を港街に残し、セリカの元へ急ぐため馬を走らせた、既に夕暮れに差し掛かろうとしていた。















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