1話 結成赤き義勇軍
青年編スタートです。
5年の月日が流れた・・・・キルの隠れ里にて屋敷を建て、ベリルとセリカの3人で暮らしていた。
カイトとセリカは、共に文武を学び成長し18歳になった、特にセリカは一段と美しくなり出るとこは出てきた。
「カイト!カイトは居るか?」
「呼んだか?今、薪割りをしていた」
カイトは神器を使いこなすため、鍛練を繰り返し体つきもたくましくなっていた。
「そ、そうか!話があるから来てくれ!」
セリカに呼ばれ広間に集合する、そこにはベリルとキルも相席していた。
「先ずは、ノースディア城の情報と帝国の動きが知りたい!」
セリカは父と母を救いノースディア城を取り戻す為、周りの情勢を集める必要があった。
「帝国は日々勢力を拡大し、ノースディア城はライフゴッドが未だに占拠してます」
「ライフゴッドめ・・・必ず成敗する」
今度はカイトが他の情勢が知りたいと言い出し、話が続く。
「帝国のやり方に不満を持つ人々が現れてはいるが、反抗すれば処刑されるのが今の現状・・それと鉄砲の数は少ないが100丁程出来た、あと爆弾も」
カイトはキルを密偵役にし、銃撃隊と弓矢隊を結成する事をセリカに提案セリカはこれを快諾し、徐々にセリカの軍が出来ようとしている。
「マーベルランドは帝国の傘下に入ってからは大きい動きはないが、指揮しているのはユリウス・バンガードらしいです、その男は帝国の将軍の地位にいます」
「ユリウス・・・そこまで昇ったのか・・」
ユリウスの名を耳にする度、カイトの心の奥底に復讐心が煮えたぎりカイトの表情が曇っていく、ベリルとセリカはそんなカイトをとても心配している。
目的ははっきりと決まった!先ずはノースディア王国北の港街を制圧し、セリカの父と母を救いだしノースディア城を取り戻す事、そして帝国に不満に思っている人々を味方に引き入れ戦力拡大。
「こっちには神器使いが居るからな!恐れるものはないぞ!」
「ちょっ!セリカ!」
「カイト、今更何を動揺している皆お前を慕っているじゃないか!」
「しかしだな・・・」
「そしてカイト!お前はワタシの直属の騎士にしたい!昔言ったよな?お前はワタシのモノだと!」
「・・・一応聞くが拒否権は?」
「ないっ!」
顔を赤らめてカイトにセリカ直属の騎士にしたいと言い出したが、セリカのカイトに対する淡い恋心の現れでもあるのだろうか。
「姫様!東領の村が帝国に謀反の疑いがあると報告がありました、そしてライフゴッドは討伐の為東領に兵を出しました!その数はおよそ500だそうです」
「こっちの手勢はわずか150か・・・」
キルの部下からの報告があった、このまま放置すれば東領が戦場と焼け野原となる、領民を救いこちら側に引き入れる事を計画するが数ではとても敵わない。
「カイト東領の民を救えない様なら、ワタシは父上と母上は愚かこの国の民全員を救えない気がするだから・・・」
「セリカわかっているよ!だから考えるんだ!知恵を絞れば勝てない相手じゃないって、これは死んだ父の言葉だけどな」
「カイト・・・お前・・・」
とりあえず食事を取る事にし、カイト達はパンをちぎって食べてはスープを飲む。
「もしかしたら?」
「どうした?カイト」
「何とかなるかも!キル!東領に行く道はこの街道だけか?」
カイトはノースディア王国の地図を広げ出し、考え込んだ。
「ああ!岩肌に囲まれた一本道だぜ!たまに落石とか起きるから落石起きると道が塞がれちまう」
「ベリルさん、セリカ!このパンをちぎったらどうなる?」
「どうなるって・・・」
「そうか!カイト、お前頭良いな!」
「ベリル、勿体ぶらずにワタシにも教えろ!なんなんだ」
カイトの目論見が読めたベリルだが、セリカはわからないでいたため、何か悔しい気持ちだった。
「このパンは大きいから一口では食べられない!つまりは、これをちぎったら一口で食べられる!」
「そうか!敵の戦力を分散するのだな!?」
「姫様!正解です!カイト続けてくれ!」
「正面からぶつかってもいくら神器使いでも勝てるかわからない!敵の動き次第で背後と側面を突き戦力を減らす!この鉄砲と爆弾が使えるかも」
「ああ!その為には敵はどの辺りか知りたい!」
「よっしゃそっちは任せな!あんたらは戦に備えて休んでてくれ」
カイトの策を遂行する為、キルは偵察隊を派遣しカイトとセリカはひとまず休む事にした。
ただ、鉄砲や爆弾には弱点がある、それは天気だ雨が降ってしまうと火薬が湿気ってしまい役に立たない、それが唯一の心配だった。
ーーー我を使えば造作もないのに・・なぜ苦労の道を行く?ーーー
「人の世は人の手で作り上げるもの違うか?」
ーーーそれもそうであるな、必要な時はいつでも使うがいい我をーー
「リーシャ、あんたは風使いの神姫なのか?」
ーーーもう知っているではないか何を今更ーーー
「そうだな・・・」
ーーーお前の兄と対峙するなら必ず我が必要となろうーーー
「ユリウス・・・俺が必ず」
これまでカイトが使った神器は風を発生させては鎧となり、剣となるまさに人にあらざる力だ。
かなり眠っていた、目が覚めると朝になっており広間に行くとセリカは既に起きていた。
「ワタシより寝坊するとは珍しいな!よほど疲れていたのだな」
「すまん・・」
「気にするな!!」
「姫様!敵は今朝方港街を出て昼頃にはこの付近を通ると思われます」
「来たか!!」
セリカ達も出撃の準備をする、前線にセリカとベリルの部隊が弓矢と鉄砲隊を率いて東領の村の手前で待ち、道中キルの部隊が側面より敵を突き、背後からカイトの部隊が挟み撃ちにする作戦だった。
「姫様!細やかながら私からの成人の祝いですお受け取りを」
「これは・・ありがとうベリル!」
ベリルから授かったのは赤く輝いた鎧と白馬だった。
「そしてカイト、君にもだ!」
「俺にもですか!」
「馬は間に合わなかったが勘弁してくれ!」
「とんでもないです!ありがとうございます」
カイトには白銀の鎧をベリルから授かった、初めて人からの贈り物カイトは嬉しくて涙したのだ。
「カイト!!この戦勝つぞ!!だから・・・生きて帰ろうな・・」
「ああ!必ず勝とう!」
「皆の者、今こそワタシの義を果たす!東領に進軍するライフゴット軍を成敗する!」
オオーーーーッ!!
セリカは今ここに赤き義勇軍を結成し、セリカとカイトの初陣が今幕をあけるのであった。