最終話 大きな木の下で
いよいよ最終回、最後まで読んで頂きありがとうございました
ユリウスが死に、一年が経った、崩壊した帝国は死んだと思わされたバーンが皇帝となり、アイラの妹セシルと共に新たな帝国再建に力を注ぐ。
カイト達もまた、バーンの力となり、ノースディア、サウザンド、イーストガンドの三国と手を取り合い新たな時代の幕開けとなる。
「カイト、準備出来たか?」
「バサラ、来てくれてありがとう」
カイトは今、新たな人生を迎えている。
共に苦楽を共にしたセリカとの結婚式を迎えているのだ。
「ついにお前も一国の主となるかぁ」
「自分でも信じられないよ・・」
ーーバサラ、カイトをあまりからかうなよーー
「ん?俺はカイトの緊張をほぐしてやってるんだよ」
ーーバサラっちは空気読めないのですねーー
「ローズ、お前まで・・」
内々で結婚式を済ませ、その後民衆の前で御披露目と言う流れ、刻々と時が迫ってきた。
ーーカイト、緊張しているな?ーー
「う、うん・・・」
母親の愛情を知らなカイト、変わりにリーシャが姿こそ無いものの、自分が母親気分でカイトを落ち着かせている、
「カイト様、準備が出来ましたこちらへ」
「は、はい」
使いの者が迎えに来て、ゆっくりと歩き出す。
場所はノースディアの城の謁見の間で行われ、教会から神父が駆けつけて来た。
参列者に国王と女王はもちろん、アイラ、サーシャ、バサラ、バーンとセシル、後は城に仕える人達だ。
正装をし、セリカの到着を待つ一行、謁見の間の扉が開きセリカがやってきた。
純白のドレスに包まれゆっくりとカイトの元へ足を運ぶ。
「・・・」
「な、何か言え、恥ずかしいではないか」
「い、いや・・あまりにも綺麗だったから・・言葉を失った・・」
「全く・・お前らしいな・・」
誓いの口づけを交わし、晴れてカイトとセリカは夫婦となり、同時に新たなノースディアの国主の誕生となる。
「カイト様ぁ、もし、セリカ様と喧嘩したらわたくしに会いに来てね」
ーーおい、コラッアイラ・・ーー
「冗談ですわよ・・キルケったら」
「あはは」
笑いの堪えない会話を背に、民衆の前にその姿を御披露目し、長い夜の宴が続き夜が明けた。
「おはよう・・セリカ」
「お、お、お、おはよう、ワタシ達はついに結婚したんだな・・夢じゃないよな」
ーーあーらやぁだ、セリカったら夕べはカイトちゃんにベタベタと・・・ーー
ーー暫く退屈せんでいいわーー
「はわわわ、ヒルデ、リーシャからかうな」
「セリカ、一緒に散歩行こう」
「いいけど・・どこへ行くんだ?」
お互いに手を繋ぎ、やってきたのはセリカのお気に入りの場所だった。
「もう一度ここに来たかった・・」
「そ、そうか・・・お前もここが気に入ってくれて何よりだ」
ーー夫婦なんだから、もっとイチャイチャしていいのにーー
ーーヒルデ・・ワシは決めたあの二人を最後まで見守るぞーー
ーー奇遇ね私もーー
周囲を歩くと、大きな木が生えていた。
何度か来ているのに、大木が生えているのには初めて気がついた。
「この木、不思議だな・・何だか温かい」
「あぁ、何だか落ち着くな」
木の下で腰を下ろし休むと、爽やかな風が二人を祝福するかの様に吹き始める。
「セリカ、今一度誓うよ・・二人で未来を歩こう・・」
「うん・・カイトあのな・・面と向かって言えなかったから言うぞ・・カイト・・改めて大好きだ・・これからもお前を愛し続ける」
「うん・・俺も」
大きな木の下で誓い合い、新たな時代を生き抜く二人、疲れが残っているのか木の下で寄り添って眠りだしたのだ。
ーーfinーー
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