27話 反帝国派救出作戦1
帝国が更に西の大陸を進行し、領土を拡大し始めた。
カイト達と戦う為に、クロユリはユリウスを操り進軍する。
ブルガンド帝国の西の大陸は帝国領だが、帝国に反旗を翻す者がいる。
帝国の戦力強化に西の領土を制圧する必要があった。
「ガンドルフ、貴様を生かして正解だ」
「ユ、ユリウス様」
「アロー戦車の量産を急ぎ、西側を完全制圧しろ、今度はしくじるなよ」
「ハハッ」
サウザンドでの制圧を失敗したガンドルフ、ユリウスがまだ使用価値があると見て生かしていた。
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ノースディアに戻り、一週間が経ちカイト達は帝国の動きを監視しながら、いつもの平穏な日々を過ごしていた。
「カイト、これ・・」
「ん?俺の服」
「破れていたからな・・見繕ってやったぞ」
意外だった、セリカが裁縫をするとは、カイトと出会う前に色々と習い事はしていたらしい。
「あ、ありがとう」
「また、何時でも見繕ってやるぞ」
久しぶりにした裁縫、セリカに自信がついてきた。
ーーおぉセリカの奴やりおるのぉーー
ーーカイトちゃんも照れて可愛いわよーー
「お前達からかうな」
セリカが照れながら、リーシャとヒルデに釘をさす。
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ユリウスの命により、帝国の西側を完全制圧に入る、ガンドルフ率いるアロー戦車隊は反帝国派を見つけながら進軍する。
「もう、失敗は出来ん、全軍反帝国派を捕らえ降伏する者は生かし、反抗する者は抹殺せよ」
帝国軍が西の領土の街を次々と制圧、人々は帝国の驚異に恐怖で押さえつけられ、やむを得ず従う人が次々と増えてきた。
捕らえられた反逆者は、公開処刑され帝国の力が益々強大となり始める。
生き残った反逆者は、助けを求めるためサウザンドに足を運ぶ。
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「アイラ様、アイラ様に助けを求める者が謁見を希望しています」
「わかりました、早急に通しなさい」
アイラに謁見を求めた者は、軍人には向かず華奢な体つきで学者向けの容姿だった。
「お初にお目にかかれて光栄です、アイラ様に助けを求めるため、ブルガンド帝国の西の街から参事ました」
「何があったのですか?」
「帝国を率いるユリウスが、世界を手中に納めると宣言しました・・」
「・・・・帝国がついに本格的に動き出しましたね」
勢力拡大、全てを手中に納める、帝国の、いや、ユリウスを操るクロユリの野心がついに牙を剥き出した。
「そうなると、貴方達の仲間を助けなければなりませんね・・ノースディアとイーストガンド、それとサーシャにこの事を伝えて下さい、事は急を要します」
反帝国のリーダーの救援を受諾し、直ぐにカイト達に伝わり、マーベルランドにて会談を行う事となり、反帝国のリーダーはサウザンドにて体を休める事になった。
「カイト様ぁ、また会えて嬉しいですわ」
「アイラ様・・あまりくっつかれると」
言った矢先にセリカの視線が恐ろしく、アイラを見つめる。
「アイラ殿、戯れはその辺にして頂きたい」
「えー良いじゃない、減るものじゃないし」
「おーっカイト相変わらずモテモテだな」
「バサラ!」
イーストガンドからバサラが駆けつけ、全員集合となったが、肝心の話に持っていけない。
サーシャが歯止めをかけ、ようやく話が始まった。
先ずは帝国に反抗する者が処刑された事から、反帝国のリーダーをサウザンドでかくまっている事、彼等を救出しこちら側に引き入れる作戦だ。
「策は練りました、カイト様達はノースディアから帝国に、バサラ様はこのままマーベルランドから突撃して下さい」
「アイラ様はどうするのですか?」
アイラの策に、カイトとバサラが同時に問いかけるが、アイラは微笑みながら、話を進める。
「貴方達が帝国と戦っている間に、私達は反帝国派を救いだします、これには、カイト様、セリカ様、バサラ様、3人の神器使いにかかっています」
プレッシャーがカイト達に、重くのし掛かるのがアイラに十分に伝わったが、それでも帝国の力を削ぐには、この作戦が鍵を握る。
「それでね、ノースディアとイーストガンドが結託して、帝国に宣戦布告をしたと言う情報を帝国に流しました」
ーー手が早いのぉ、アイラーー
ーー本当呆れるくらいーー
ーーリーシャお姉さま、ヒルデお姉さま、頑張るのですーー
ーーお前らにかかっているからな、頼むぜーー
ーーキルケこそ、頑張りなさいよーー
ーーお前に、言われるまでもない、ヒルデーー
神姫達もやる気になり、作戦決行の為カイト達はノースディアに帰還し、戦支度を始める。
「カイト、姫様、こちらはいつでも行けます」
ベリルが出陣の準備が出来たと報告に来る、赤き義勇軍は兵を5000連れて、帝国との国境付近までやってきた。
アイラの挑発に乗ったのか帝国側も、軍を引き連れ、20000の兵を連れてノースディアの国境付近にあらわれた。
「数が多いな・・やはり」
「あの変な乗り物は居ないな・・」
周辺の地形を見渡すカイトとセリカ、そこは開けた大地と草原が広がり川も流れていない。
「真っ向から行っては勝ち目はないどうしたものか・・」
両軍のにらみ合いが続く中、そこにはユリウスの姿は見当たらなかった。
お互いの動き牽制し合う両軍、ただ、時が過ぎていくばかり。
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マーベルランド側から陣を貼るイーストガンド、こちらも帝国軍の数は10000を越え、そこにはアロー戦車隊が前衛に構え、カイト達と同じくにらみ合いが続いていた。
「妙だな・・数なら向こうが有利だが、掛かってこねーな」
ーーバサラっちが怖いのですよ、きっとーー
「えっ?俺有名人?」
ーーさぁ?・・・ーー
イーストガンドの兵5000、数では劣るも、真っ向勝負するつもりだったバサラ、その間サウザンド軍は静かに行動を開始していた。