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22話 新たなる火種

 ノースディアに帰還したカイト、城に着くなりセリカが真っ先にカイトに抱きついた。


「カイト、カイトーお帰りカイトーもう、離れるのはゴメンだからな」


「ただいま、セリカ会えて良かった・・」


 この温もり、ふわりとサラサラした髪とほのかに香る甘い香り、間違いなくセリカの温もり、確かにノースディアに帰還した実感を持つカイト。


 サウザンドで起きた事を国王に報告し、マーベルランドの件も了承して貰った。

 この事はイーストガンドにも報告し、イーストガンドもこれを承諾する。


 ーーセリカったら、カイトちゃんに会いたい会いたいて、毎晩わたしに愚痴るのよーー


「カイトちゃんて・・」


 ーーヒルデ、苦労かけたのぉ、カイトもセリカに会いたい気持ちを抑えていたが、顔に出てわーー


「ヒルデ、余計な事を喋るな」


「リーシャ、顔に出てたって・・」


 ーーとにかく、今夜からセリカの愚痴を聞かなくて済むわ・・おかえりなさい、カイトちゃんーー


「う、うん・・た、ただいま」


 カイトが無事に帰って来た、セリカは勿論、ヒルデも我が子の様にカイトの帰還を喜んでくれた。


 一夜が明け、盟約通り先ずはマーベルランドを帝国から解放し、サウザンドに西から中央、南を委ねる為、サウザンドからの書状を待つ。


「カイト、ちょっといいか?」


 突然ベリルが話し掛け始める。

 今までセリカのお目付け役だったが、カイトと結婚を控えている事で、セリカをカイトに全て任せたいとの事。


「わかりました、セリカは必ず俺が守り抜きます」


 カイトの自信に満ちた表情と、清々しい顔を見て安心したベリル、そして、サウザンドから書状が届いた。


 内容は、マーベルランドから帝国を追い払うに辺り、イーストガンドと合流し、マーベルランド中央部でサウザンド軍を待てと記されていた。

 三国同盟し初の共闘作戦、早速出撃の準備に取りかかる。


「セリカ、これ・・」


 カイトがサウザンドに旅立つ時に、セリカから預かったリボンを差し出す。


「あぁ、これな、お、お前にやる」


「えっ?でも、大事な物では」


「いいから!受け取れ」


 そう言ってセリカは、カイトの額にリボンをハチマキの様に結びつけてくれた。

 常にセリカが側に居ると言いたいのだろうか、カイトも有り難くセリカのリボンを受け取る。


 赤き義勇軍は兵を3000率いて出撃し、イーストガンドも兵を2000率いて合流地点を目指すが、今回はカイトとセリカは何故か馬に乗らず歩いて移動、ベリルは万が一に備えノースディアに残った。


 ****


「アイラ様、帝国がこちらに進軍と報告がありました」


「困りましたわ・・・これから、カイト様達と合流しなくてはならないのに・・」


 帝国がアロー戦車を筆頭に、指揮官ガンドルフがサウザンドに進軍、もう街中まで迫り出している。


「サーシャ、急ぎ住民をマーベルランド南部まで避難させて下さい、セシルとバーン王子あなた達も一緒に」


「アイラ様、私も戦います」


「それはなりません、あなたが今出たら、帝国はあなたを生かしておかないはず、だからあなたは避難してセシルを守ってね」


「わ、わかりました・・アイラ様くれぐれも無茶はしないで下さい」


 サーシャの誘導でサウザンドの住民と、バーンとセシルはマーベルランド南部に避難した。


 ゴゴゴッ、プシュープシューと音を立て、帝国のアロー戦車と帝国兵がサウザンドの街中に侵入。


「来ましたか・・妙な乗り物ですね」


 望遠鏡で、帝国の動きを観察するアイラ、急ぎ城の隠し防壁を出し攻撃に備える。

 防壁は、かしの木を何重にも重ねた作り、ちょっとやそっとじゃ壊れないが、防戦一方ではいつか破られてしまう、ついには、城の前までやって来た。


「我は帝国将軍が1人、ガンドルフ、裏切り国サウザンドよ大人しく降伏せよ。さもなくば攻撃する」


 ガンドルフの大きい声がこだまし、降伏を促すが・・アイラはまだ、黙ったまま。


「返答なしか・・アロー戦車隊、撃ち方用意・・撃てー」


 ガンドルフの号令で、アロー戦車が矢をセットし、城に向けて一斉に矢を放つ。

 その矢速は、ボウガンの様に速く、連射機能の付いた機体、ドス、ドスと城の防壁に矢が突き刺さる。


「やむを得ませんね、弓矢隊はわたくしと、他の者は侵入してくる帝国兵に備えて下さい、キルケ大丈夫ですか?」


 ーーそりゃあ、アタシのセリフだ、お前こそ大丈夫か?ーー


「サーシャの事だから、必ず援軍を連れて来るはず、だから持ちこたえます」


 アイラが弓矢隊を率いて、城のテラスに集まり、弓矢隊が一斉に射撃し反撃をする。

 アイラも水雷弓を構えだし、アイラの周りと矢に水が集まりだし一気に解放させる。

 放たれた矢は真っ直ぐに、帝国兵に向かい矢が地面に突き刺さり、周囲に雷が発生した。

 矢の付近にいた兵は、水雷弓の雷に感電し、暫くは動けない者や、中には打ち所が悪く感電死した者も。


「ぐぐぐっこしゃくな・・」


 帝国とサウザンド軍の激しい戦闘が始まり、アイラ達は籠城作戦に出た。


 ****


 サウザンドが帝国と交戦中とは知らず、カイト達はマーベルランド中央部に到達、前に奴隷商人を捕縛した付近にいる。

 しばらくしたら、イーストガンド軍がカイト達と合流、バサラを筆頭に参上した。


「いよぉー、カイト、セリカ、よろしくやってるか?」


「な、な、何をだ?」


 二人で声を揃え、顔を赤らめて応えるが、バサラに調子を狂わされてしまう。


「い、一応言っておくが、ワタシとカイトは婚約した・・」


「そうなのか!?そりゃめでてーな、ちなみにシャロンは置いてきた、出産を控えてるしな」


 これから戦地に赴くのに、緊張感のないバサラ、それは神姫のローズも同じだった。


 ーーリーシャお姉さま、ヒルデお姉さま、お久しぶりですぅーー


 ーー相変わらずね、ローズーー


 ーー本当にまた、お前と会うとはのぉ・・ーー


 しかし、そろそろサウザンド軍が来ても良い頃合いなのに、一向に来る気配がない。


「妙だな・・さすがに来ても良い頃合いだが」


「まさか、こりゃあ、はめられたか?」


「いや、あのアイラ様が俺達を騙すとは思えない」


「ずいぶんと、あの女を買っているな・・カイト、ワタシと言う者がありながら」


「セリカ、い、痛い」


 ーーこりゃ、セリカ、カイトは浮気などしとらんぞ安心せい、アイラは本当に慈悲深い女じゃと言いたいのじゃーー


 ーーうふふーー


 つい、カイトをつねくるが、顔から火が出る程恥ずかしくなったセリカ、可愛さあまりにヒルデも笑っていた。


 ーーそれに、キルケが居るし万が一何かあってもそうはやられんーー


 ーーえっ?キルケお姉さまですか?


 ーーおぉそうじゃぞ、ローズ、相変わらずじゃぞキルケはーー


「はぁ、はぁ、皆さん探しましたよ」


 雑談していたら、サーシャがあらわれた。

 何か急を要している様で、カイトが水を差し出す。


「何があったのですか?」


 一呼吸置き、サーシャが喋り出す。


「皆さんと合流する予定でしたが、サウザンドに帝国が攻めて参りました、アイラ様は城に篭り奮闘しています、どうかアイラ様を助けて頂けないでしょうか?」


「ちっ、仕方ねーな・・マーベルランドの西部はイーストガンドが抑える、だから、カイトとセリカは救援に行け」


 バサラがマーベルランドを任せろと言い、カイト達を救援に向かわせる。


「カイト、いいか!この世に生きたって言う証を残せ!しっかり暴れて来い、それと・・死ぬんじゃねーぞ西側を制圧したら、必ず行く」


「ああ、バサラもな」


 イーストガンドは足早に、西部へ進路取り、赤き義勇軍はサーシャと共にサウザンドへ、アイラ救出作戦となった。












 






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