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19話 人質カイト

ここまでの登場人物2

バーン・・ブルガンド帝国の王子、カイトと一戦交えユリウスの野心に気付き反ユリウス派となり、カイトとは友達になる。

年齢は二十歳。


セシル・・サウザンド公国第二王女、姉にサウザンド女王アイラを持ち、帝国とサウザンドの関係のためバーンの妻となるが、ユリウスのクーデターにより、バーンと共に帝国から逃れた。

年齢は18歳。

「カイトを貸せとはどういう意味だ?」


 目の前で婚約者のカイトを取られる気分で納得が行かないセリカ、当然自分も行くと言い出すが答えは否だった。


「セリカ、落ち着きなさい」


 国王がセリカを制止し、一旦間を置き話が進む。


「言葉の通り、カイト様を少しお借りしたいのです・・これが受け入れられないと、この話はなかった事にしますが」


「わかりました・・行きましょう・・」


 カイトがセリカと離れたくない思いを押し殺し、苦渋の決断をした。

 何より帝国と戦うため、ユリウスを倒すためには多くの味方が必要であるからだ。


「うふふ、決まりですね、ではイーストガンドにもこの事を伝えます、それで改めて三国同盟と致しましょう」


 早速この話をイーストガンドに伝える為の書状を送り、二日後イーストガンドもこれを了承、悪い言い方をすれば、カイトはサウザンドの人質になる事になる。

 これにより、三国同盟が結成されたのだった。

 その場は解散となるが、カイトとセリカ、アイラとサーシャだけまだこの場にいた。


「アイラ殿、あなたに聞きたい事が山ほどあるぞ!」


 話を切り出すセリカ、アイラはのんびりマイペースでセリカの質問に答える。


「ワタシとは、相容れないてどういう意味だ?」


 その答えを知るべく、城の中庭に出る様に言われたセリカ、アイラは何を企んでいるのか。


「単刀直入に言いますね、カイト様とセリカ様は神器ヴァルキリー使いですね?」


 神器ヴァルキリーを知っているアイラ、カイトとセリカはアイラが神器ヴァルキリー使いと確信した。


「ではセリカ様、貴方の剣を抜いて下さい、相容れない理由を教えましょう」


 アイラは自分の弓を取りだし、セリカもバルムンクを抜き出した。

 その場が緊張と沈黙だけとなり、アイラの体に水が取り囲みだし、水が螺旋を描き出す。


「相容れないとは、そういう事か・・出てこい!ヒルデ」


 セリカの体も炎の螺旋を描きだし、アイラが矢を放ち出した。

 だが、アイラの放った矢はセリカの炎と相殺し、お互いの水と炎を打ち消した。


「おわかり頂けました?」


 セリカは舌打ちをし、納得した様子だった。


 ーーいい加減に喋りなさいよ!キルケーー


 不機嫌そうにヒルデが喋りだし、アイラの弓に向かって罵声を浴びせる。


「キルケ、呼んでますよ」


 ーーチッ、面倒くせーなヒルデ久しぶりだなーー


 ーーおぉ、キルケか?久しぶりじゃのーー


 ーーなんだ?居たのかリーシャーー


「まぁまぁ落ち着いて、このは、神器ヴァルキリー水雷弓、神姫名はキルケ、セリカ様の神器ヴァルキリーとは相性良くなくてね」


 相変わらず、落ち着いた雰囲気で話すアイラは自分の神器ヴァルキリーについて説明をし、サウザンドへの出発は明朝になった。


 ーー相変わらず、ヒルデとキルケは仲が悪いと言うか仲良しじゃのぉーー


 ーー仲良くないわよ!昔から意見が合わないのよね、キルケとはーー


 水と炎だけあって、ヒルデとキルケがあまり仲良くない事を話すリーシャとヒルデ、セリカを連れて行けない理由は、そこにあったに違いない。


「カ、カイト」


 夜、セリカがカイトの部屋を訪ねる、しばらく会えないから思い切りカイトの側に居ようと考えたセリカ。


「お前と話をしたくてな・・」


「わかった、座りなよ」


 とは言うものの、何から話して良いかわからないセリカ、カイトがこんな事になってすまないと、謝り出す。


「正直、セリカと離れるのは嫌だ、しかし、帝国をユリウスを倒さねば多くの人が苦しむ」


「うん・・・・」


 ーーこれっセリカ今の内にしたい事しとけ、じゃなきゃ後悔するぞーー


「リーシャ、わ、わかっている!」


 もじもじして、中々話ができないセリカにリーシャが茶々を入れる。


「アイラ様は何か考えがあっての事じゃないかな?セリカは一国の姫だから、連れていくわけにはいかないと考えたと思うよ」


「わ、ワタシは目の前でお前が居なくなるのが辛い・・」


 セリカの目から涙がこぼれ、カイトは優しくセリカを抱き寄せ頭を撫でる。

 湯上がりしたばかりで、セリカの髪からほのかに甘い香りがした。


「必ず生きて帰るさ」


「カイト、手を出してくれ」


 カイトが手を差し出すと、セリカが頭に結んであったリボンを手解き、カイトの腕に巻き付けた。


「こ、このリボンは、わ、ワタシのお気に入りだお前に預けるから、必ず返しに来い・・それで、う、浮気したら許さないからな」


「はははっ、いつものセリカだ、何か元気が出たありがとう、セリカのウェディングドレス姿を見なきゃだし、やる事がいっぱいだね」


「そ、そうだぞ、ワタシのドレス姿をお前に見せないといけないからな!」


 二度と会えなくなるかも知れない、そんな不安だらけでカイトの部屋に月明かりが入り込み、二人の唇が重なり合い眠りにつき、夜が明けた。


「う、うーん・・・えっ?うわぁぁっ」


 カイトが目を覚ましたら、驚くのも無理はない、セリカが隣に寝ているではないか。


「そっか、あのまま眠ってしまったか・・それにしても、か、可愛い寝顔・・ご、ゴクリ」


 あまりにもセリカの寝顔が可愛いから、カイトの心臓の鼓動が激しくなる。


 ーーカイトぉ・・チュッチュッ、むふふしちゃえ!やるなら今じゃぞーー


「リーシャ、からかうなよ!」


「う、うーん・・はっ!?はわわわっ」


 目が覚めたセリカ、慌てて起き出しうろたえながら、おはようと言い出す。


「は、恥ずかしい・・」


「カイト様、準備はよろしいですか?」


 タイミング悪く、アイラが迎えに来た。

 まさに、朝から良いものを見させて貰った顔をして先に部屋を後にし、カイトとセリカは赤面状態。


 出発の朝が来た、アイラとバーンとセシルは先に挨拶を済ませ、外で待っている。

 その後、カイトが皆に挨拶をする。


「では、国王様、女王様、行って参ります」


「しっかりな!必ず帰って来るのだぞ」


「カイト、くれぐれも体に気をつけなさい」


 我が子の様に見送る、国王と女王、セリカは昨夜の内に挨拶を済ませたから何も言わないでいる。


「カイト、それとな・・ワシとシルビアの事はこれからは父と、母と、呼びなさい」


「そうよカイト、私達に孫の顔を見せて貰わないとね、ね?セリカ」


 皆の前で言わないでくれと言わんばかりに、カイトとセリカは恥ずかしくて下を向いてしまう。


「では、父上、母上、行ってきます」


 改めて、国王と女王を父と母と呼び城を後にし、アイラ達と共にサウザンドへ向かうのだった。


「さてカイト様、あなたを必要とする理由をお話ししましょう」


 歩きながら、アイラがカイトを必要とする理由を語り出す。

 サウザンド公国は現在治安が思わしくなく、身寄りのない子供や貧困の民を拐っては奴隷として扱う奴隷商人が裏で動いていると言う。

 アイラはその奴隷商人を壊滅させる為に、カイトの力を借りたいとノースディアに申し出たのだ。


「詳しくはサウザンドに着いてから話しますね、それまではゆっくり船の旅をご堪能下さい」


 カイトにとって初めての船旅、この先に待ち受けているものは。




















カイトは今後どうなるか、ユリウスと対決は近いのか、閲覧ありがとうございました

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