16話 初めての同棲生活とこれから
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このお話は生きた!愛したをモットーにお送り致してます。
無事に帰還した、セリカとカイトは積る話もあるが、一先ずはゆっくり休む事にした。
幸い、帝国も、サウザンドも今は、大人しくしている。
翌朝、二人の交際を認めて貰うため、カイトとセリカは国王と女王の元へ行く。
本題に入る前に、カイトは帝国との戦いで、バーン王子の事を話し出し、国王はこれを了承した。
「ち、父上、母上、ワタシは・・・カイトが好きです!ワタシ達の交際を、認めて欲しいと思い、話をしに来ました」
セリカが勇気を振り絞り、思いを全て話し始める。
「カイト!お前の気持ちを今一度、聞かせてくれ」
カイトを試すかの様な、国王の口ぶりだが、カイトは自信に満ち溢れた表情で質問に答えた。
「正直、俺は一国の姫である、セリカを好きになって良いのか?と疑問に思いましたが、だけど、自分の気持ちに嘘はつけません!俺はセリカが好きです!」
本人の前で、堂々と答えるカイト、セリカは赤面して下を向いたままだった。
「セリカ、ワシはカイトを息子として、改めて迎え入れたい、二人が良ければ結婚も考えた上で、お前達を認めたい」
つまりは、結婚を前提に交際をしろと言いたい国王、女王は当然二つ返事で了承済。
そして、一週間二人で同棲生活をしろと言われ、神器を取り上げられた。
結婚まで約束された二人、認めて貰う為には、この試練を乗り越える事を決意したのだ。
用意されたのは、かつてカイトが、ノースディアに来た時の村の集落、戦闘で焼けたはずだったカイトの前の住まい。
「えっ!?直ってる・・」
いつの間にか、前に住んでいたカイトの家が直っていた、村人に話を聞いたら万が一の為に、村人が修復したらしい。
「みんな・・・ありがとう」
中に入ると、一応生活に必要な物は揃っていた、いつか、こうなるのをわかっていたらしく、国王と女王が、こっそり準備をしていたなど、二人は知る由もない。
「さて、とりあえず・・・掃除からか・・・」
「カ、カイト・・ワ、ワタシは何をすれば・・・」
トントン拍子に、話が進みすぎて、結婚など考えていなかったため、照れ隠しできない二人。
国を追われ、一人暮らしを経験したカイト、お世話係がいてほとんど家事が未経験なセリカ、対照的な二人だが・・・。
「セリカ、5年前の事を覚えているかい?」
「えっ?・・・」
セリカと共に、5年間寝食を共にした時の事をカイトは思い出した。
あの頃はベリル達、大人の力を借りて五年間共に、同じ屋根の下で暮らしてきた、あの時に学んだ事を今、実現する時がきたのだ。
「そ、そうか!わかった!カ、カイト頑張ろうな」
顔を赤くし、照れるセリカとカイト、試練の一週間の同棲生活が始まる。
慣れない手つきで一生懸命になるセリカ、カイトはこんなに苦労をしてきたのかと、思い知らされ、自分は何て幸せ者なんだと思い知らされた。
「難しいものだな・・・色々と」
「最初から、上手くできる人なんていないさ、ゆっくりでいいから、ちょっとずつ、歩んで行こう」
「カイトは、ワタシと結婚するのは嫌だったか?」
「セリカはどうなの?」
「ワ、ワタシは、お前に命を助けてもらったあの日から、徐々にワタシの中で、お前の存在が大きくなり、気づいたらお前の事が・・好きになってしまった・・だからな!こ、これからも、カイトと一緒に居たい・・」
質問に質問で返すのは感心しないと言い返しながらも、セリカは、カイトとの結婚を前向きに考えてくれている事が伝わり、カイトも返事を返した。
「最初は戸惑った、でも、セリカは俺に命の大切さを教えてくれた・・だから、俺も隣に居るのはセリカしか居ないって、思ってる・・」
ユリウスへの復讐は、忘れたと言えば嘘になるが、今この時、この瞬間を大事にしたいとカイトの胸の内を全て打ち明かし、すっきりした気分になった。
「ワタシも、得意料理とかを身につけて、お前を幸せにしたいぞ!」
「ありがとう・・頑張ろうな!俺もセリカを幸せにしたい!」
いつもの覇気のある、セリカに戻り、二人は身を寄せ合いながら、一夜を過ごした。
****
カイトとセリカが同棲している間、サウザンドではセリカを誘拐しようとし、失敗したギースが戻っていた。
「ギース団長、随分と勝手な真似をしましたね」
ギースを問い詰めるさらりとした瑠璃色の髪に、一縛りしたポニーテールがチャームポイントの一人の女性がいた。
「ア、アイラ様・・お、お許しを」
「私はサウザンドの女王として、奴隷の人身売買を見過ごす分けにはいきません!人身売買をし挙げ句の果て、あなたは勝手に人を誘拐しようとし、奴隷として売りつける、その諸行は許しがたい行為!」
このアイラと言う女性は、サウザンド公国の女王で父が病で亡くなり、このアイラが最近になって女王につく、年齢は22歳、今サウザンドで起きている奴隷問題を排除したいが為、正義に溢れた女性だった。
「いや、あ、あれは・・その・・」
「何か弁明があるのですか?」
私欲で動いたギース、弁明の余地が全くなくなってきている。
「ちっ!チックショウーーー!何で、お前の様な小娘に従わなきゃならねーんだ!!これじゃ俺の商売あがったりじゃねーか!」
自棄になり、手元の短剣を手にアイラに襲いかかるギースだが、アイラがサファイアの宝石の様な輝きを持つ弓を取りだし、ギースの胸を貫き、ギースは息絶えた。
「あなたの様な無法者は、この国には必要ありません!天に帰りなさい」
****
カイトとセリカが、同棲生活を始めて5日が経過、カイトは村の仕事を手伝いながら、薪割をし、セリカも村の女性に色々な事を教わり、精神的に成長してきた。
「セリカただいま!」
「お、お、おかえり!カイト」
照れながら、カイトを出迎えるセリカ、慣れない事をして疲れが溜まっている二人だが、もう大分慣れて、お互いの絆と信頼が高まり苦労は感じていない。
「見てくれカイト!」
「す、凄い・・セリカ一人で?」
「ワタシもやれば出来るんだぞ!」
普段は、カイトと共に料理をするのだが、料理すらまともにした事がないセリカが、カイトの為に作った料理完璧に仕上がっていた。
「うん、美味しいよ!セリカ凄いな」
「そそそ、そんなに褒められると・・ててて、照れるではないか・・そ、それにな・・も、もし、ワタシとカイトの間に、子供が出来たら・・その子に食べさせたい・・・は、恥ずかしいからこれ以上は言わんぞ」
改めて二人は、結婚しようと誓い合い、一週間の同棲生活を無事に終え、城に戻り国王と女王に報告をする。
「ち、父上、は、母上、この一週間ワタシは・・色々と学びました・・ワタシはカイトを夫として迎え入れたいと思ってます・・」
「カイトはどうだ?」
セリカの言い分はわかり、カイトの返事を聞く国王。
「俺も、セリカと結婚したいと思いました・・セリカと結婚させて下さい」
国王は、にこりと笑い二人を認めた、結婚に関しては、帝国との戦いが終わるまでは式は挙げない事にした。
結婚とは、如何なる時も夫婦で力を合わせて、困難に立ち向かう事を二人に教えたかった為に、カイトとセリカに同棲生活をさせたのだ。
神器も、無事にカイト達の元に戻り、輝きが一層増していた。
カイト達が居ない間に、鍛冶職人が磨きをかけてくれたのだ。
ーーチュッチュッ♪ウフフ♪した感想は?ーー
「ななな、何を言わせるんだお前は?」
ーーいいじゃない・・聞かせて欲しいわーー
「ひ、秘密だ!」
ーーカイトぉ・・ワシがこんなにも輝いておるぞ・・ワシが居なくて寂しかったであろう?ーー
「い、いつものリーシャじゃない・・」
めでたく、恋人兼婚約者同士となった二人、翌朝傷ついた若者が一人の女性を連れて、ノースディアを訪れた。