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13話 ユリウス動く

神姫紹介その2

ヒルデ・・ブロンドの入った薔薇のように赤くて長い髪を持ち合わせたふりふりのスカートが特徴

神器名・・バルムンク

契約者・・セリカ

 帝国の城にユリウスが呼び出された、マーベルランドでの失態を問われる事になった為、謁見の間にはブルガンド帝国皇帝が待ち構えていた。


 鋭い眼光に、威圧感のある髭を生やした野心に満ち溢れている風格を出しているこの皇帝の名はガディス。


「ユリウス将軍!マーベルランドでの失態を説明して頂こう」


「敵を侮っていました・・数ではこちらが有利でしたが・・まんまと敵の策にハマりました」


 カイトが相手で神器ヴァルキリー使いと言う事は伏せて弁明をする、帝国に神器の事を話せばガディスが更なる野心を持ち始めるからだ、ユリウスは帝国に神器を渡したくない思いがあるようだ。


「父上!ユリウス将軍の実力は我が帝国軍でも一目置いています、そのくらいで良いでしょう・・」


 突如一人の男があらわれ、ガディスに詰め寄りだす。


「バーンよ何しに来た?」


 バーンと言う男はガディスの息子で言わば帝国の王子、近々妻を迎える予定の婚約者ありの若者、年齢は二十歳、黒い貴族の服を纏い腰には長剣を携えている。


「いくらユリウス将軍とて失敗はあります、そう咎めなくてよろしいかと」


「ふん!まぁ良いわ二人共下がれ」


 不機嫌そうな顔をし、ガディス皇帝は二人を遠ざける。


 ユリウスはバーン王子にお礼を言いその場を去るが、ユリウスとバーンはお互い利用価値のある人間としか見ていない。


「バーン王子かばい盾して頂き礼を言います」


「気にするな!帝国にとってもユリウス将軍を失うのは手痛い事だ」


 お互いの探り合いをするかの様な会話だが、これが後に大きな事件の引き金となる事はまだ知る由もない。


 ****


 城から隔離された一室に病弱な女性がベッドに横たわっている、この女性の名はタバサ、しなやかなセミロングで鮮やかな水色の髪に痩せ細った身体つき年齢は二十歳、ユリウスがその部屋に入ろうとしている。


「ユリウス様・・」


「タバサ・・起きなくていい」


 ユリウスの姿を見て起きようとするタバサだがユリウスはそれを制止する。


「タバサ・・ガディス皇帝は日に日に抑圧政治を行い領土を次々と奪っていく・・」


「わたくしもマーベルランドから帝国の人質となり今日まで生きてきました・・あなたは何故弟を裏切り、父を殺してまで帝国につくのです?」


 沈黙が続き、ユリウスが口を開く。


「全てはお前の為と言っておく・・俺は理想の国を作りたい幼馴染のお前の為に・・」


「でも、それでは・・あなたのしていることは帝国と変わらない・・・わたくしは戦争のない時代で生きたかった」


 タバサの目からは涙が零れ落ち、下をうつむくばかり、タバサとユリウスはカイトも知らない幼馴染の関係にあるようだが。


 ・・・俺は理想を叶えるため帝国を利用させて貰う・・タバサを救うために・・その為に俺は父を殺し弟との縁を断った・・そして一度仇名す者全てを滅ぼす必要がある・・


 ユリウスの胸の内は、タバサには伏せたまま部屋を後にした。


 ――全て話せばすっきりするのに、何で言わないのかしら?――


「お前には関係ない!クロユリ」


 ――ふ~んまぁ良いけど・・あなたの考えに賛同したから契約したのよ・・ちゃんと理想の世界を見せてね――


「言われるまでもない・・」


 ****


 翌日・・ガディス皇帝がノースディアに進軍を決行する事にし南国サウザンド公国にも協力すればサウザンド公国に安堵を約束すると書状送りサウザンド公国はこれを受諾する。


 バーンを指揮官とし、バーンは帝国黒騎士団を結成、サウザウンド公国も海賊団を率いて海から攻める作戦に出る。


「セシル・・出撃命令が出た・・サウザンド第二王女の君を妻として迎える前にこんな事になるとはな・・」


「バーン様、帝国と私の祖国の架け橋となる為あなたの妻となる事を決意しました・・どうかご無事で」


 バーンの妻になるサウザンド公国第二王女のセシル、サラリとした上品な瑠璃色の髪と瞳を持ち合わせた女性、年齢はカイトやセリカと同じ18歳。


「では、行ってくる・・」


 バーンはそっとセシルの唇にキスをし出撃を開始した、ユリウスは今回は待機となった。


 バーン達が出撃し、間もなくの事ユリウスが動き出す。


「皇帝陛下!この度の戦私を外した理由をお聞かせ願えますか?」


「今回はバーンの結婚を祝うための戦と思え!お前が出る幕ではないわ」


 ひざまずきながらユリウスはずっとガディスを見つめる、まるで獲物を狩る動物の様な目つきであった。


「まだ何かあるのか?ないなら下がれ!」


「陛下は帝国をどのようにしたいのですか?」


「知れた事よ!ブルガンド帝国が最強である事を世に示し、全ての国家を我が物とせんが為」


 ガディスの野望が本気である事と天下を世に示したいのが言葉のあらわれであったが為、次第にユリウスの表情が曇りだし神器ヴァルキリー斬鉄剣を握りだす。


 ――ユリウス殺るの?――


「ああ・・この男は野心に満ち溢れている・・こんな奴の世が来るのは俺は許さん!」


 ユリウスの体が次第に黒い霧に包まれだし、その表情は憎悪に満ち溢れだす。


「皇帝あなたが皇帝を名乗るのは片腹痛い・・」


 斬鉄剣を抜きガディスに詰め寄るユリウス、ガディスが兵を呼ぼうとしたその一瞬の出来事だった、ユリウスがガディスの口を手で押さえつけ頬を鷲掴みし始めガディスは呼吸すらままならない状態となる。


「あなたの時代はここで終わる・・舞台から消えて頂きましょう・・」


「うっうぐぐぐ・・」


 ユリウスの容赦のない一撃により、西国ブルガンド帝国皇帝は斬殺され帝国は混乱に陥った。


「これより帝国は俺が仕切る!!バーン王子あなたはノースディアで朽ち果てるがいい」


 ユリウスの皇帝即位宣言はすぐに帝国中に広がり進軍をしているバーンの耳にはまだ入っていない。


 その事を利用し、自分についてくる者だけついてこいと言い逆らう者は死刑にすると宣言し帝国の民衆を黙らせた。


 セシル第二王女はひとまず幽閉される立場となり人質の状態となって隔離された。


「ユリウス様・・これがあなたのやり方ですか・・」


 この事を知ったタバサは泣き崩れ途方に暮れ、ユリウスはタバサの為に戦争のない国を作りたいが一心で皇帝を殺し自分が皇帝に即位する事を決意しカイトとは立場は違えど思い人の為に剣を振るう、時代はまた一歩動き出すのだった。














ユリウスがまさかのクーデター

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