12話 共闘
本編ではあまり語られない神姫の特徴その1
リーシャ・・金髪のサラサラロングヘアーワシとか我とかの言葉使いが特徴で、緑色の鎧を纏っている、カイトの契約者
セリカは部隊の兵を平野に差し向けベリルの救援に向かわせる、今回のノースディアに届いた書状が偽物である事、皇后により仕組まれた戦いだと言う事を伝えさせる為に。
カイト、セリカ、シャロン、バサラの四人でイーストガンドに向かうのだった、指揮官を倒したら皇帝派と手を組みベリルを筆頭にイーストガンドに向かう作戦だ。
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セリカがベリル部隊の救援に向かわせた兵がイーストガンド軍の背後に到着し、挟み撃ちとなった。
「何?姫様とカイトが!?」
カイトとセリカがイーストガンドに向かった報告を受け、赤き義勇軍もこんな所で足止めを食らう訳にはいかなくなってきた。
「皆の者、この仕組まれた戦いを終わらせる!先ずは指揮官を倒し姫様達と合流するぞ!」
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イーストガンドではバサラが裏切ったのと皇帝派がイーストガンド城に進軍していると報告を受け皇后が怒り狂い、ついには盗賊を雇い近隣の村を襲う様に指示を出した。
皇后が盗賊を派遣して間もなくカイト達が近隣の村に到着する。
「こ、これは一体・・・」
「何者かに荒らされている・・」
「キャーーッ!!」
突如女性の悲鳴が聞こえ駆け寄って見ると、盗賊が数人の村の女性を拐おうとしていた。
「かなりの上玉が揃ってるな、売り飛ばす前に楽しませて貰うかな」
「オイ!何をしてる?」
バサラがまだ回復していない体で止めに入る、便乗してカイトも手助けしようとしたが二人共今は戦う体力があまりない。
「全くさっき二人で戦っておいて無茶をするな!」
「同感だ!バサラお前は休んでろ!」
見かねたセリカとシャロンが今度は盗賊達に食って掛かり出す。
「なんだぁ、コイツらも中々のいい女じゃねーかお前らがコイツらの身代わりになってくれるのか?」
「黙れ!下衆が斬るぞ」
いやらしい目で二人を見る盗賊にシャロンが威嚇し双刀を抜刀し始める、セリカはと言うと盗賊の仲間がセリカに触れようとしたその時。
「うぎゃあー熱い・・・何だこの女は化け物だー」
「化け物とは・・ひどい言われようだな・・否定はしないがな!それとな・・ワタシに触れて良い男はカイトだけだ!!」
「えっ!?ハッハッハッお熱いねぇ」
「声に出して言うか?普通・・・恥ずかしい」
呆れて物も言えないカイト、バサラは茶化してその場をやり過ごす。
そんな事はお構いなしにセリカはヒルデを呼び出し、バルムンクが炎を纒だし始め盗賊を斬り捨てた。
「ありがとうございました」
村の女性にお礼を言われ、盗賊達はお縄となり皇后に雇われたと自白をした。
城を目指すカイト達、城に着くなり皇帝派と皇后派が城門にて睨み合いが始まっていた。
「さて・・・どうしたものか・・オゥ!お前ら戦況は?」
「バサラ将軍!その怪我は?」
「俺の事はいい!戦況はどうなんだ?」
「現在拮抗しており、動く機会を伺っております」
「ノースディアから援軍が来るここは突撃だ!」
バサラの到着により皇帝派の兵士達の士気が一気に高まり、怒号と共に城に突撃が始まった。
「バサラ、ここは俺が引き受けるだから皇帝陛下を!」
「カイト・・・お前・・わかったぜ死ぬなよ!」
「バサラ!陛下はアタシが助ける!お前はあの皇后に引導を渡して来い!」
「シャロン・・・」
それぞれの思いを胸に己の信念を懸けた戦いが始まる。
「セリカ俺は正直もうそんなに余力はない・・だから俺の背中をセリカに預けていいか?」
「しょうがないヤツだな!無事に帰ったら街巡りに付き合って貰うぞ」
セリカの言う事はいわゆるデートしろって意味である。
ーー全く・・・この子はーー
ーーまぁそう言うなヒルデ!セリカのカイトに対する思いが日に日に増していくのが見え見えじゃ!あの二人を見ているのは本当飽きないのぉーー
ーーふふふ♪そうね・・だから必ず二人に勝利をプレゼントしましょうーー
子を思う親の様なヒルデとリーシャの会話、セリカは暴れたり足りないのかバルムンクから放つ炎を全開にし、敵の打ち放つ矢をことごとく跳ね返し、カイトは持てる力を振り絞り襲い掛かる敵の群れをなぎ倒していく、二人の間に信頼と恋心が徐々に強くなり始めていた。
「姫様!カイト!」
「ベリル!」
しばらくして、ベリルの部隊が合流し形勢は赤き義勇軍とイーストガンド皇帝派に流れようとしている。
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城内に入り玉座の間に数十人の兵と皇后が待ち構え直ぐ様バサラを取り囲む。
「よぉ!女狐引導を渡しに来たぜ!盗賊を使ってまで村を襲いその悪行見過ごすわけにはいかねーな!」
「バサラ将軍、いつかは裏切ると予想はしていたが、まさかこんなに早く・・・盗賊共は使い物にならなかったか・・・お前達敵は一人だ!やれ!」
ーーバサラっち来るよ!ーー
「見くびられた物だな・・ローズ行くぜ!」
ーーはーいアタシ頑張るよーー
「オラオラ!死神様の鎌に殺られてーヤツはかかってきな!」
ーーアタシ一応神姫なんですけど・・ーー
カイトとの戦闘で体力があまりないのにも関わらず、鬼神の如くなりふり構わず襲い掛かる兵をなぎ倒していくバサラ、ついに残ったのは皇后だけとなる。
「ひ、ひいぃぃいーっワラワが悪かった・・許してくれー皇帝の食事に毒を盛ったのも確かじゃ、もうしないから・・頼む」
「チッ、陛下につく者を殺しといて今さら命乞いか・・」
命乞いをする皇后だがバサラは一切聞く耳を持たず、皇后を斬殺した。
「報いは受けて貰うぜ悪の根元は断った」
入れ替わりと同時にシャロンが皇帝と皇帝派の兵を救出し、カイト達も城内に到着する。
「陛下!!」
かなり衰弱した皇帝の姿を見たバサラ、その姿はもう死が目前に迫っているようなくらいにやつれていた。
バサラの目から涙がこぼれ、皇后を手にかけてしまった事や救出が遅れてしまって申し訳ない気持ちや伝えきれない思いを全て皇帝に打ち明けるのだが、皇帝は笑顔でバサラとシャロンの頭を撫でては、自分の不甲斐なさで起きた事だから気にするなと一点張り。
「バサラ・・シャロン・・お前達に頼みがある・・ワシももう長くはない・・お前達がこの国を背負ってくれ」
子供が居ない皇帝にとってはバサラとシャロンが実の子供の様に接してきた、その二人に今王位を譲りたいと言い出すが二人は戸惑っていたが、しばらくしてバサラとシャロンは王位を継承する事を決意し、皇帝は安堵の表情で息を引き取った。
「陛下の思いこのバサラ確かに受け取りました・・・シャロン力を貸してくれるか?」
「当たり前さ!アタシのお腹にはアタシとあんたの子供がいるからね!」
「はぁっ!?聞いてねーぞ!」
「今、言っただろバカ!」
シャロンに妊娠が発覚していた事にこの場に居た全員が驚き、新しい時代の幕開けを予感させるものを感じさせた。
数日後、ノースディア国王と新しいイーストガンド皇帝バサラの会談が行われ、ノースディアとイーストガンドに停戦協定を結ぶと同時に和平条約を結ぶ事となり、これによりマーベルランド北はノースディアが東はイーストガンドが管轄する事になる、赤き義勇軍は強力な味方を得るのだった。
この事は西国ブルガンド帝国、南国サウザンド公国にも知れ渡り時代は動こうとしている。
「カイト、セリカいつでも遊びに来いよ!次はお前達の子供が産まれるのを期待して待ってるぜ!」
「な、ななななっ!なにを言うんだ!」
カイトとセリカが口を揃えて顔を赤くしながら言葉を返す。
ーーリーシャお姉様、ヒルデお姉様、また会いましょうーー
ーーローズあなたも元気でねーー
ーーお前とはまた会いそうな気がしてならんわーー
神姫達も別れの挨拶を済ませそれぞれの国へ戻った。