7話 激突
早くも10話突破しました
よろしくお願いいたします
「掛かってこい!相手をしてやる!自己紹介しようこれは神器斬鉄剣、神姫名はクロユリ」
ーークロユリじゃと!?ーー
カイトは寝ていないの頭の中にリーシャの声が響き、ゲイボルグが光っては点滅し始めた。
「リーシャ?会話できるのか?」
ーーおぉ出来るぞ!普段は頭おかしいヤツと思われては可哀想と思って大人しくしてたのじゃーー
「そ、そうなんだ・・」
ーーんな事はどうでも良いが気をつけろ!あいつの斬鉄剣に宿る神姫はクロユリと言って欲深い女じゃーー
「なんだって!?」
ーーあの女は私利私欲の為なら裏切りも平気でするヤツじゃ、お前の兄と共感する所があったんじゃろうなーー
「来ないならこっちから行くぞ!!」
先にユリウスが仕掛けるも、カイトも直ぐに応戦する。
「お前こそ!父上を殺してまで国を乗っ取り完全に帝国の犬になったのか!」
「知らないなら教えてやる!俺が帝国についたのは、国家統一だ!」
激しいつばぜり合いの中ユリウスが語り出す。
「国同士で争い無意味な殺し合い、そして侵略、それだから人の争いは絶えぬ!」
「だからお前は恐怖で人を押さえつけ支配するのか?」
「帝国の理想を成すには降りかかる火の粉は払わねばならん!そして多少の犠牲はやむを得んのだ!」
カイトとユリウスの戦いに両軍は割って入れず、ただ戦況を見守るだけで、突如雷鳴と共に雨が降りだした・・これでは両軍火薬が湿気り鉄砲が使えない。
「ユリウス!俺はお前の様にはなれない!」
「理解できないならそれで良い!だが邪魔をするなら容赦はせん!」
再び両者の激しい打ち合いが始まった。
ーークロユリ久しぶりじゃのぉーー
ーーあらリーシャじゃない?ーー
ーー今度は何を企んでいるのだ?ーー
ーーわたしはユリウスの考えに同意して契約したの!ーー
ーー己の欲でしか動かないお前がか?これは愉快じゃーー
両者が打ち合っている中リーシャとクロユリも会話をしている事に気づかない二人、お互いに間合いを取り自分の間合いに来る好機を伺っている。
「カイト!お前に実の兄が討てるのか?」
「何を今更言う!俺の一撃に迷いはないぞ!」
「ふっ・・・それを聞いて安心したぞ」
まるで、こうなる事を望んだ様なユリウスの口振り、先にユリウスが仕掛けてきた。
「うぉおぉーっ!!」
「ぬん!!」
両者の一撃が肩口にヒット致命傷とは行かないが、二人は肩口から出血がひどくなってきた。
ーーユリウスもう限界よ!ここは引き時よーー
ユリウスの体力が限界に来たのかクロユリがユリウスを制止をするが、それはカイトも同じように体力の限界が近づいている。
「ハァハァ・・カイト・・強くなったな!今日の所は退いてやろう・・全軍通達退却せよ!・・カイト・・マーベルランドは一部貴様らにくれてやる!」
「ユリウス!次は必ず・・・倒す!」
「お前も覚悟しておけ次はこうはいかんぞ!」
ユリウスの撤退命令により帝国軍が次々と退却していく、退却していくユリウスを始め帝国兵の姿をカイトは見届け、帝国軍が去ったと入れ替わりの様にセリカがカイトに追いついた。
「セリカ・・・」
カイトの顔を見て安堵の表情を浮かべ、足早にカイトに近づき。
バチーン!!
近づいたと同時に、セリカはカイトの頬を思いっきり平手打ちをした。
「この大馬鹿者!どれだけ心配したかわかっているのか!!」
「ご、ごめん・・・」
セリカの一喝にカイトはうつむきただ謝るばかり、セリカの目から大粒の涙がこぼれ出す。
「もうお前は1人じゃないんだぞ!お前を慕ってくれる人が何人もいるんだぞ!その人達の為に、生き長らえた命を大事にしようとは思わないのか!?」
さらに興奮状態のセリカは、カイトの両肩に手をかけては体を揺さぶる。
「ホント・・・・ごめん」
「兄への復讐をやめろとは言わん!だがワタシはお前がいなくなってはワタシは・・・ワタシは」
言葉を詰まらせ、セリカはひたすら涙を流しカイトはうつむくままだった。
「生き長らえた命この国の為、そしてワタシの為に生きてくれ!」
やっと口を開いてくれたセリカ、この命をセリカの為に使って欲しい、セリカのカイトに対する思いの告白でもあった。
「か、帰るぞ!とにかく無事で何よりだ」
泣き止み照れながらセリカはカイトの手を引き帰っていく、この戦いによりマーベルランド東北領はノースディアが治める事となった。
・・セリカがあんなにまで俺を叱ってくれた・・・セリカの手・・何て温かいんだろう・・俺はまたセリカを泣かせてしまった、くそっ!何をやってるんだ俺は・・・。
自分の不甲斐なさに悔しいカイト生きる大切さと命の重みを改めてセリカに教えられた。
ーーもう!好きなら好きって言っちゃいなさいよ!じれったいわねーー
ーーあの娘の良いところじゃ初々しいのぉーー
ーーリーシャ!クロユリと戦ったって本当なの?ーー
ーーあぁ!カイトのヤツも中々負けてなかったぞよく無事でいたわーー
「聞こえてるよ!リーシャ」
「カイト誰と喋っている?」
リーシャとヒルデの会話を聞いていたカイトだがセリカは誰と喋っているかわからない。
「セリカの神器とだよ」
「なっなあぁにぃ!神器喋るのか?」
初めて神器と会話が出来ると知り、開いた口が塞がらないセリカ。
「セリカ・・もう大丈夫だから・・手を・・・」
「はわわわ!す、すまん」
ーーこのまま押しきりなさい!ーー
「カイト!ほ、本当に喋ったぞ!」
このまま手を繋いだままでも良かったかなとちょっと後悔していたセリカだった。
書いていてセリカに感情移入しちゃいました(笑)
読んで頂きありがとうございます