春の図書室にて
「なんで勝手に部員にされてるんだよ」
入学式の次の日の放課後俺はまた不思議研究部の部室に来ていた。
目の前には金髪の美少女。初めて見たときはドキッとしたが今はそれどころじゃない。
なんせ勝手に部員にされていたのだからな。
「こんなよく分からない部活に入るかよ」
「ごめんなさい。初めて人が来てくれて・・・ほら!この部活私一人だけで寂しいし・・・」
「知るかよそんなの。俺は別にやりたいことがあるんだよ」
やりたいことか、自分で言ったのにあれだがなんかあったっけな
「その翔くんのやりたいことってなに?」
今考えてることを聞いてきやがった。
「やりたいことはやりたいことだよ。お前には関係ないだろ」
「関係なくないよ。だって部員一人しかいないと廃部になっちゃうからどうしても入部させたいし」
「所詮俺は廃部にさせない為の道具なのかよ」
「ちが・・・「何が違うんだよ!」
頭に血が登った俺は怒鳴った。
セシルは驚いたのか少し涙目になっている。
女ってずるいよなそんな顔見せられたら怒ってるのが馬鹿らしくなってきた。
もういいとっとと帰ろう
「すまん言い過ぎた。だが俺はもうここには来ない。だからお前は二度と俺に関わるな。」
「待って!私の話を聞いて!」
彼女の声を無視して帰路についた。
帰り道、この時期には珍しい雪がちらついていた。
あの日からちょうど一週間が経った。
いつも通り教室に入り自分の机に向かう。教科書をしまおうとすると何かが引っかかった。
「手紙か?」
俺は今まで一度もラブレターを貰ったことがないのでこのような手紙には慣れてない。
慎重に破っていき中身を取り出すと綺麗とは言えないがいかにも女の子が書いた丸字でこう書かれていた。
「放課後、図書室で待ってます」
その日の授業内容を何一つ覚えていないのは言うまでもない。
帰りのHRが終わると学校が騒がしくなる。俺はその中を人気の無い図書室の方へ向かった。
図書室の前に着くと緊張と焦りで体は火照っていた。
私は今図書室にいる。そろそろ彼が来るだろう。
「廃部させない為」なんて言ったら怒るに決まってるよね。
それじゃまるで道具にされてるみたいで。
ちゃんと話そう。なんで私がこの部活を作ったのかを。それでも彼が入ってくれなかったら諦めよう。
心の中で私、倉持セシルはそう決めた。
図書室のドアをゆっくり開けると女生徒の後ろ姿が見えた。
「えっと・・・手紙を貰った堂本です・・・」
なにを言ってるんだ俺は。相手は俺のこと知ってるだろ。いやだけど間違えて手紙出してるって可能性もあるし・・・
「待ってたよ」
聞き覚えのある声。えっと確か不思議研究部の奴だ。
「なんだ、お前だったのか。言っただろうもう二度と関わるなって」
俺は内心ホッとしつつもイライラしていた。もう帰ろうと後ろを向いて歩き出す。
「待って!」
彼女は俺の手を掴んできた。異性に手を握られたことのない俺はおっぱいはデカイのに手は小さいんだなとよく分からない考えをするぐらいテンパッていた。
「え・・・えっとなに?」
声が裏返ってどもったのは気にしないでいよう。
「この前はごめんなさい!」
いきなり謝られてちょっと驚いたが俺も先週は言い過ぎたと思っていたので謝ることにした。
「こっちこそゴメンな。いきなり怒鳴ったりして」
「いや翔くんが怒るのは当たり前だよ。だって廃部させない為って言われたら自分は道具の一つかよってなるよね」
「たぶんわかってるかもしれないけどわたし日本人じゃないんだ。イギリス人とのハーフなの。」
「それは髪の色で分かるよ。だけどそれが今どうしたんだ?」
「日本語頑張って勉強したんだけどこの前みたいに上手く使えないときがあるんだ。」
「そうだったのか。じゃあ尚更俺が悪いな。」
「気にしなくていいよ。」
「話は終わりか?」
正直俺は彼女の過去に興味が出てきた。だがここに二人きりでいて変な噂をたてられたりすると面倒だ。
「ごめんね。もう少しで終わるから。」
「わかった」
「でね日本語が上手く使えなくて何人か友達ができたんだけどメールとかよくわかんなくて誤解させちゃったんだ。そしたら誰もわたしと話してくれる人いなくなっちゃって、一人ぼっちになったんだ。」
「それで友達を作る為に部活を作ったのか?」
「それもあるんだけど前読んだ日本語辞典で「青春」って言葉を知ったんだ。向こうで言うと「YOUTH」って言うんだけど。」
「青春か。確かに部活=青春って言う奴もいるな」
実際俺も中学の時は野球部だったが同じ部活の奴が「部活で汗を流す青春って汗臭くて嫌だよな」って言ってたし。
「わたしも青春してみたいと思った。夕日に向かって走ったり自転車で学校帰り二人乗りしたり」
彼女は少し泣いていた。俺はハンカチを渡してあげた。
「前者は体育会系で後者はあっちだとどうか知らないが日本だと犯罪だ。」
俺は現実を教えるのが酷かと思ったが、もしやって警察にでも捕まったら彼女も困るだろうと心配になって教えた。
心配か・・・俺はどうしたいんだろうな
「そうなんだ・・・出来ないんだ・・・じゃあ今までわたしなにしてたんだろ。」
俺は・・・彼女を守りたいのか。
たまにはカッコつけてみるか
「あぁ。だが出来ないとは言ってないぞ。」
「え?」
「どっちも一人じゃ出来ないだろ?俺が一緒にやってやるよ」
最高にかっこいいぞ俺。漫画みたいだな美少女と一緒に部活なんてな。
「それって・・・入部してくれるの?」
「あぁ!当然だ!俺がお前を守る!日本語が不自由なら俺に聞け!メールしたいなら俺としろ!友達が欲しいなら俺がなってやる!」
もうテンションがおかしいぞ俺。だけど最後に決めてやる。一人の男としてな!
「部活に入ってやる!俺と一緒に青春するぞ恵!」
「恵?」
「やらかしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
しまった元カノの名前出しちまった
「えっと名前は・・・」
「倉持セシル。セシルって呼んでね!」
「俺は堂本翔だ。よろしくなセシル」
こうして俺は入部を決めた。一々発言が痛々しいのは気にしないでほしい。
にしてもやらかしたはないよな




