第3話:双子のココロ
はい。三話に突入いたしましたぁ〜!!
こんにちわ。比奈乃です。
期待できるものではございませんが、ぜひ!ご覧になってください。
二人の以上に一番先に気付いたのは、親友にあたる季沙だった。
いつもとは違う二人に戸惑いを感じながらも、季沙は一人で座っていた笠音に声をかけた。
「どうしたっての?笠音。なんか、あんたたち今日おかしいよ?・・・ねぇ!笠音ってば!!」
反応がはっきりとしない笠音に少しの苛立ちを感じながら季沙は声を少し荒げていった。
勢いで掴んだ笠音の腕が微かに震え始めた。
顔をうつむかせていた笠音がゆっくりと季沙を見上げる。そこには、いつものような暖かい笑顔はなく、黒とも茶色とも言えない髪の間から、綺麗な瞳が覗いた。だか、その目は、真っ赤にも見え、普段以上に濡れていた。今にも溢れだしそうな水を必死で堪えている様子だった。
「季沙・・・ちゃん・・・。私・・天音・・怒らせちゃった・・・。謝ったって謝ったって、謝りきれない・・・。私・・天音を・・悲しませた・・・。」
堪えていたものが抑えきれなくなったのだろう。笠音の目元には温かい水が流れた。
その状態を見て、季沙は、軽く動揺しながらも、笠音を励ました。
「何があったかは知らないことだけど、天音も笠音ときっとおんなじことを考えてるはず。
だって、あんたたちはいつも一緒だっだじゃん!」
その言葉に、笠音は首を横に振った。
「・・そんな訳・・ない・・・だって・・私・・天音があんなに大切にして作ってた・・・が・・らす・・の・・・」
笠音の言葉はそこで途切れた。
* * *
季沙は、上手く笠音を落ち着かせた後、天音を探した。
天音が見つかるのに、そんなに時間はかからなかった。
天音は、教室から出て、少し右に進んだ窓際で、独り、外のグラウンドを眺めていた。
先ほどの笠音とは一風変わって、ただ無の表情で、グラウンドを眺めている。
「天音?なぁにしてんのっ?」
季沙はいつもの調子をキープしながらも天音に近付いた。
「あ。季沙ちゃん。 うん。外でね、皆が遊んでるのを見てたの。楽しそうだなぁって。」
天音は笠音とは対照的に、明るく季沙に接した。
「ところで、今日は天音、笠音といっしょじゃないんだね。」
何気なさを作り、季沙は天音に問いかけた。
「うん。今日ね。朝、ちょっと私がひどいこと言っちゃって。そんなに怒ってなかったのに。あんまり悲しくも無かったのに・・・。いろいろと、笠音にひどいこと言っちゃって。
えへへ・・・。なんか、あんなに必死になってくれた笠音が、なんでかな?みてて悔しくなったの。ほんと・・・小さい子みたいだね。」
天音は季沙の問いに、薄い笑みを浮かべながら答えた。だか、その笑みには、どこか悲しさを感じるものがあった。
季沙は、それなりに天音と会話し、その場を立ち去った。
そして、季沙は、こころに確信したのである。
二人が、お互い、今日のこの状況を、今までとおなじようになることを望んでいる、と。
* * *
季沙は、なんとしても二人に仲良しで居てもらいたい。そんな願いから、説得を始めることにしたのだ。
まずは笠音だ。笠音はひどく自分を責めている。自分を追い詰めすぎたようにも感じる。 そんな笠音の説得は、多少困難だろう。
次に天音。天音は、自分の言ったことに罪悪感は感じているようだが、変な意地をはっていて、おそらく自分から笠音に声をかけたりしないだろう。それはそれで厄介である。
二人とも難しいことがある。
だが、季沙はこのままでは納得できないのだ。
「はぁ・・・。なんとかしなきゃ。でも、何でこうなってるんだろ・・・。」
季沙は独り言を言いながらも作戦を立て始めた。
* * *
一通り作戦内容を確認した後、季沙は、一人で、教室からの外の景色を見つめていた。
そこからは、そんなに大きくは無いガソリンスタンド、四車線の車道、いくつか立ち並ぶ民家など、ごくごく平凡な光景が広がっている。そんな中、一つだけ周りと違った雰囲気の建物がある。 その建物は、とても大きいひとつの教会だ。
季沙は、「神」なんて存在を信じるタチでは無いのだが、その日はなぜか、教会に向かって祈りをささげていた。 今の季沙の願いはただ一つ。
―二人がまた、いっしょに笑ってくれますように―
ここまで読んでくださって有難うございます!
今回は、双子のココロを知った季沙が感じたことを、どこか季沙の視点で見たものとなりました。
まだまだ話は始まったばかりなので、これからも頑張りたいと思います!
でわ、また、四話でお会いいたしましょう。