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尊さ

レオ視点

「リン・・!!」


彼女の身体を抱き起こすが、

彼女はピクリとも動かなくなってしまった。

顔色は悪く、辛そうだ。


部屋に、入ったときもそうだった。

少し顔色が悪くて、でも平気そうに聞いてくるからうなずいた。

軽い気持ちで、俺は・・頷いてしまった。


彼女はいつもどおり未来を視た。

でもーー、長続きせず、倒れてしまった。


それでも必死に俺に伝えようとした姿を見て

俺は、言わせては駄目だと思った。


床は、彼女が吐き出した血で真っ赤に染まっている。


どうしようもなく

心が焦った。


彼女が言うたびに、彼女の気配が遠ざかっていく気がした。

吐血し、命までもが危険に及んでいるんじゃないかと、思った。


それと同時に、リンを失いたくない気持ちが強まるのを感じる。

未来うんぬんじゃなく、リン自身を、失いたくないと、強く思えた。


心が熱く悲鳴を上げるのに、肝心な頭は凍えるように冴えていった。


「・・!」


すぐそばには、侍女を呼び出す取っ手のついた鈴があった。


それをすぐさま手にして、ならす。


「いかがなさいまし・・・!!」


この現状を見て、侍女は一瞬固まった。


「はやく医者を!

あと、何人か侍女を連れてきて、

呼んでいる間に彼女をきれいにしてやってくれ。

それと、床も掃除を」


俺は瞬時に指示を出した。


「はい!いま、すぐに!!」


侍女はすぐに駆け出して、よびにいった。


俺は彼女をざっと抱き上げ、周囲を見渡す。


俺は、どうすればいい。

どうすれば、彼女を助けられる?


とりあえずは指示を出したが、その後が思いつかない。

ちらりと、こんなときでも、未来を予言してほしいと思ってしまった。


当の本人が未来を視て、倒れてしまったというのに!!


「・・っ”」


俺は本当に、

今まで彼女の予言する未来に頼っていたことを思い知った。


ぼうぜんとただその場に立っていると、

侍女が数人、部屋にかけよってきた。


「殿下!

リンさまを・・!!」


「あぁ。頼む。」


俺は脱衣所まで彼女を運び、

その後は、侍女に任せた。


俺が運んでいる間に、

床の血はすべてふき取られていた。


その掃除をしてくれた侍女の一人が、


「もうじきお医者様がこられます。

・・なにがあったか、話せてはもらえませんか」


言いにくそうにそうたずねてきた。


床に血の跡、気絶した彼女。


それだけをみても、何があったか分かりかねないだろう。

聞きたくなるのも仕方がない。


「・・もともと彼女は調子が悪かったみたいなんだ。

無理をさせたみたいで・・血を吐いて・・」



未来を視てもらったなどとはいえず、

ただそれだけを苦い思いで呟いた。


「・・・」


「・・・・」


侍女も何も言えず、沈黙が訪れた。


しばし、時がたち、彼女がきれいにされた後、

医者がタイミングよく急いで中に入ってきた。


「彼女を寝かせてください」


リンを俺は侍女から受け取り、

抱き上げると、そのままベットに優しく寝かせる。


「診断しますので、

侍女の皆様は控え下さい。

殿下はここに」


「あぁ」


「かしこまりました」


医者は冷静にそう指示をした。

俺は頷き、侍女も何も聞かずに部屋から退出した。


「・・・」


「・・・」


医者がリンを診断している間、

妙な沈黙が流れた。


真剣に彼女を診て、何か、思い悩んでいるような表情で、

耐え難い何かを、感じているように、俺には見えた。


それがどうしようもなく俺に不安を与えた。

同時に、彼女は助からないのではないかとも思えてしまう。


命とは簡単には救えないのだということは、

俺もよく知っている。だからこそ、尊いものだということも。


けれど、だからこそ、助かってほしいと願う。


たまらず、彼に、聞いた。


「先生、リンは、どうですか?」


希望をこめて、医者に聞くと、


返ってきた答えは・・思わぬ問いかけだった。






ーーーーーー

       「・・殿下、

          あなたは、りんさまの能力をご存知ですね?」


                             ーーーーーーー



次回・・

お医者様はなんでもお見通し!?

レオ、まさかの驚愕!?

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