未来と過去を見る力
ーー 魔道が栄えた大国の王城の一室で、
一組の男女が神妙な雰囲気を纏ってたたずむ。ーー
静かな夜が今日も訪れた。
「リン、宝珠がうばわれた。
黄金の宝珠だ。それを取り戻すにはどうすればいい?」
俺は、己の婚約者に問いかけた。
彼女の名前は、リン。銀色のストレートな髪と銀色の瞳。
リンは、俺を魅了した能力を持っていた。
「・・次の、三日月の夜。
レンガの宿屋の広間に彼らが集まる。
宝珠も彼らの手にあるのが・・見える。」
彼女は目を閉じ、再び目を開けた。
そのときはもうすでに彼女の瞳は、銀色ではなく
黄金に輝いた、まさに神の瞳をしていた。
それは神々しく、このときの彼女はどこか虚ろだった。
視ているのだろう、未来を。
「そうか、王城近くの宿だな。
その広間さえ囲めば、捕らえられる・・!」
「・・・。」
ふと、彼女は再び目を閉じた。
そして、ゆっくりと開ける。銀に輝く瞳に戻っていた。
そう、彼女の能力は、
未来や過去を自在に見ることができる能力。
俺はその能力がほしかった故に、彼女を婚約者に仕立てた。
俺は、己の王子という立場を利用し、彼女を手に入れたのだ。
己の憶測する力、指示する力、統制力、・・すべてを高めるためだけに、
彼女が、その能力を持つ彼女を手に入れた。
俺が彼女を求めた理由はただそれだけ。
「リン、お前の力は本当に役に立つ」
俺は彼女をぐっと抱き寄せた。
彼女の後頭部を手で引き寄せ、彼女との距離をゼロにする。
俺は彼女の唇をふさいだ。
「んっ・・!?」
彼女はうめく。
動揺した声だがほのかに甘い声が混じる。
彼女の唇をゆっくり味わうように、隙間をなくし、
噛み付くようなキスを繰り返す。
「んぅ・・ゃ、やめ・・っ、殿下・・っっん」
「殿下じゃない、レオだ」
俺は訂正し、再びキスをする。
「んっ・・・っ」
彼女は俺の胸を手で押しやって、抵抗する・・が、
俺にとって、それはあまりにも小さい力だ。
びくともしない。
キスに酔いしれた後、俺は唇を離した。
彼女は熱を持った瞳でただ俺を見つめる。
「また来る」
俺は早々にその部屋を去った。
彼女を婚約者にしてもう半年が経つ。
未来を予知してもらい、俺が褒美にキスを交わす。
その繰り返しだった。彼女もキスになれてきた。
そろそろ交わってもいいころかもしれない。