最終回・報告と告白
恋神と黒月は、心臓が悪い真琴に、なるべく脅かさぬように会いに来た。その為、玄関前に立ち、ドアチャイムを鳴らし返答を待つが一向に返事はない。透かし鏡で見てみると、どうやら眠っているようだったので、仕方なく玄関を抜けベッドルームにやってきた。
「真琴よ……、起きろ……。恋神が来たぞ……」
「ふぁ~、恋神さまらぁ~……。 やっと夢で会えら~~~……」
どうやら真琴は夢を見ていると思っているようで、勢いよく起き上がると恋神を抱きしめ、キスをした。恋神は、ビックリしすぎて狐耳と尻尾の毛がブワッと逆立ち、そのままベッドに押し倒される形となった。
「これ! 真琴よ! いい加減、目を覚まさんか! いきなり口吸いとは何事じゃ!」
「えっ⁉ これ夢じゃないの⁉」
「夢ではない! ほれ、これでどうじゃ!」
恋神は真琴の頬をつねり、逆立った尾でベチベチと、頭を叩いた。
「あいたたたっ! 分かりました! ごめんなさいッ‼」
「分かってもどかぬのだな?」
「どきません。 恋神様に抱きつけるのは、今だけですし……尻尾がもふもふで気持ちいいです……どうせあと数年で死んじゃうし、恋神様には振られたんだからいいじゃないですか……」
「その”あと数年”が伸びた」
「えっ、えっ、どういう事ですか?」
「寝ながらする報告ではない、どいて正座しろ」
「はい……」
しゅんとなりつつ、真琴はベッドに正座した。
「まずひとつ。寿命は、大天神様の計らいによって、5年伸びることになった」
「大天神様?」
「大天神様とは、神の中の神。わしでさえ顔を見ることが叶わんお方だ」
「そんな凄い神様がいるんだ……」
「そして、真琴よ、ここからが大事な報告じゃ、心して聞け」
「えっ、あ、はい!」
「わしとお前は、恋仲になることが許された。およそ8年相性を診られるがな。これには、”けぇき2個”を奉納せねばならんのじゃが……はっはっは」
「恋神様……、ありがとう……。でも、ケーキ2個だけでいいんですか? 種類は?」
「何? 種類があるのか。 ちなみにわしに供物としてくれていたのは何じゃ」
「あれはショートケーキです」
「では、それで良い」
「ケーキふたつで、また会えるなんて、思ってもみませんでした……」
目にいっぱいの涙を溜めて、真琴は今にも泣き出しそうだった。しかし、恋神もまた同じく、泣きそうなのを堪えていた。
「真琴……、改めてじゃが、わしと恋仲になってはくれまいか……」
「恋神様……、謹んでお受け致します。有り難うございます」
二人はどちらからでもなく抱き合うと、長い長いキスをした。
「やれやれ、目のやり場に困るわい」
黒月はそう独りごちると、頬を染めつつ、先に神社に帰っていった。
その日、恋神は神社には帰らず、真琴の家で朝を迎えた。今日は金曜日、明日あさっては、お休みで真琴は今日の仕事を休んだ。
その後の二人は、相性を診なくても、いつもベッタリ一緒だった。ケーキふたつも早々に奉納され、大天神と喜八は二人を祝福した。
真琴はもう、記念日に悩まされることはなくなった。
恋神と真琴は、共に末永く幸せに過ごすことになるだろう。
~End~
最後まで読んで頂きまして、有り難うございましたm(_ _)m
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また、24日からBLではないのですが、新連載のローファンタジーを連載致します。
BLではないと言ってもネタになりそうな男性が登場します。
時間を操ったり、夢世界を操ったりする会社が舞台です。
社長はハーフなのか、とても色素が薄い人で身長も高く、180cm以上は軽くある。少しだけ肩に掛かる長めの銀髪に、白い肌、白い睫、漆黒のスーツでビシッと決めていて、着ている真っ白なドレスシャツがとても高貴な雰囲気を醸し出していた。
男性だとは思えないほどに、この言葉が適切であるかどうかは分からないけど、とても美しく綺麗だった。頭の上に金色の輪を載せて、羽根を生やせば、まるで天使だ。
それに引き換え……僕は、本当にどこにでもいそうな大学生だ。銀ブチ眼鏡に黒のリクルートスーツ、髪は耳にかかる程度で真っ黒。ひょろっとした体型、身長は167cm……特に特筆すべき素敵な外見を持っている訳でもない。
その他にもツインテールにロリータファッションの女の子、黒猫などが登場しますので、良かったら明日私の作品から「銀猫旅行社へようこそ・~夢を叶える超ホワイト企業は違う意味でブラックでした~」を読んでみてください。
どうぞ宜しくお願い致します✿゜❀.(*´▽`*)❀.゜✿