光が消えた世界
誰かが戸を叩く
「帰ったわ」緑のボサボサの髪と小柄な体に釣り合わない杖を持った少女が言う
彼女こそ、風神である。
「お、風、どうだった?」六畳の小屋の居間に一人座っていた坂だった金髪の少年がいう
風神を「風」と呼ぶ彼こそ雷神である
「ダメだったわ」彼女は言う
「まーた俺らに押し付けるんか、あいつちゃんと外を見てるのか?」
あいつとはこの神が住む「神界」に唯一存在する、人間である
しかし故意に神界に来たわけではなく、本人もどうやってきたのか理解していない。
彼女は人間界では巫女であり人間界では特に神に会ったり、常人に見えない者が見えるわけでもなかったが
ここに来てからは神界の外の世界も見えるようになったそうだ。これは巫女であったことは関係なく神界の人間はみなそうなのかもしれない
もっとも人間は彼女しかいないのだからわからないが。
この世界はおおきくふたつに分けらる。それがいわゆるあの世とこの世だ。そして神界はあの世、人間界はこの世と言われている
「でも、今回ばかりはどうすればいいのかわからないわよね」風神が言う
外は暗い もうずっとこんな感じだ
「外の世界に異常はないのかよ?」雷神は言う
「外の世界にも暗いこと以外は特に異常はないらしいわ、人間界の方は見れないそうよ」
「ほっといたら戻んないのかよ、てかそもそも俺らが動く意味ある?」
「仕方ないじゃない、他の神は動かんし」
「不器用なくせにでしゃばるから困る」そこまで雷神が言ったところで話しながら雷神の隣に移っていた風神が雷神の脇腹を杖の先で抉る
「う“っ」
「ほら、ぐだぐだ言ってる暇あったら準備しなさい」風神は雷神を睨みつけながら言う
「は?え、俺も行くの!?」雷神が声を上げる
「あったりまえでしょ!こんなか弱い少女が一人で外界になんて出たらすぐに襲わちゃう!」
「へっ、フィジカルゴリラのくせnう”っ」雷神に風神の殺意のこもった一撃、効果は抜群だ!
「黙ってついてこんかい」風神が雷神を引き摺り出す
「あっちょっt、そんな暴力的な亭主関白あるか!てか、せ、せめて俺の相棒を!」雷神が部屋の奥に立てかけられたこれまた不釣り合いに大きい剣を指差す
「お前と違って俺はフィジカルゴリラじゃないんだからあれがないと死んじゃうわ」雷神が乙女(?)のような声を出す
「気持ち悪…でもそれもそうよね」
部屋に風が起きる
「ちょ、おま」
その風はすぐに突風となり、剣が少し浮いたと思うとこちらへ飛んできた
「マジで危ないってお前!」雷神が声を張り上げる
とんできた剣を雷神がなんとかキャッチする
「…横着してんじゃねえよ」
ご存じのとおり、風神は風を操る神である
「細かいことはいいの、いくわよ」
「一応聞くけど、この夜を解決する方法に見当はついてんだよな?、まさかあてもないのに外界へでるなんてこと、ないんだよな?」
風神は答えない、絶対聞こえないふりだ
はあぁぁ 雷神が精一杯のため息をつく
こうして風神と雷神はこの夜を終わらせるべく神界の外へ出る…
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