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番外編 小話その一

これは16話後の地球での生活の一部です。

 16話後の地球で一週間。





 ノア・レザンから地球に帰ってきて次の日、俺を異世界へ召喚した張本人である賢者ファーロウから腕輪を貰って自分の家に帰ってきた。


 心の何処かでは地球に戻ると自動的に俺の姿も元の男に戻るのでは?なんて期待が無かったわけじゃなく、まず確かめたのが俺の性別。


 ほのかな期待は裏切られ、この地球でも俺はノア・レザンの女神の姿のままだった。


 違うのは地球では純白の髪や金色の眼が、茶色に変わっていたくらい。肩を落とす暇なくカラクの存在にビビッたのも今では懐かしい。昨日の出来事なんですがね。


 でも女の子の体になっちゃったとしても、俺自身の気持ちまで女の子になるわけじゃない。


 明日から一週間、金曜日までは地球でいつもの生活をして土日にノア・レザンへ行く。


 俺が地球にいる時とノア・レザンにいる時では俺が渡った先で、時間の進み方が違う。 


 俺が地球にいる時地球の一日がノア・レザンの一時間、そして俺がノア・レザンにいると、ノア・レザンに二日滞在しても地球では二時間に変わるって。


 詳しい原理は知らない、でもとっても俺的に都合がいいのは確か。


 でもさ。


 俺は嫌な予感がして、制服を入れてあるクローゼットを開いてみた。


 家は純和風だけど、俺が小学の頃古すぎるのでリフォームしたから家の中は和と洋が混合した造りになって俺の部屋はフローリングにクローゼットがついている。


 俺の部屋が問題じゃない、問題なのは俺は今でこそ女に性転換しているけど、元々は男だったのでクローゼットの中には学校指定の制服が学ランが入っているはず。


 誤解のなさらないように、断じてセーラー服(俺の学校の制服ではね)を着たいなんてミクロほどにも考えていませんよ?


 今の俺が校則を正しく守るならば、セーラー服を着用して登校すること。


 無理……絶対無理ッ!!


 勇気を出して、クローゼットの扉を開く。


 クローゼットの中には以前と変わらない、学ランがハンガーに掛けられてあった。ホッとため息をつく光喜。


 よかった、部屋の物も女物に変わってなかったから、学ランがセーラー服に代わっている可能性は低いとは思っていた。


 けど女に性転換する事態俺には未知の領域、俺の常識なんか鼻息で吹っ飛ばされる軽さだ。


 ふうっと息をついて安堵の顔で、俺がクローゼットの扉を閉めていると下から姉貴の声がした。


 「おーい光喜、お届け物」


 俺は身に覚えの無い配達物に首を傾げ、二階の自室をでて一階の姉貴がいる居間まで足を運ぶ。


 通販の類は最近してないはずだぞ?因みに俺結構ネットとかするタイプ、だって最新の商品って駄菓子屋とか昭和の香りがする個人店で売ってない。


 ここで最新の物を買おうとすると、時間を使って街まで行くか通販か。または信頼のある訪問販売に頼るしかないのが現実。


 「何か頼んだの?」

 「うーん?何だっけ?」


 言われても検討がつかない、あて先に相手の住所と名前が書いてあるので見てみると新井 楓が送り主になっていた。


 「楓さんからだ、何だ?」


 俺が知る中でダントツのクールビューティな男の人、彼は高校生だって。


 ノア・レザン繋がりはあるけど、初対面の人がどうして俺に物をくれるんだろう?


 不思議におもっていると。


 姉貴が俺に差し出した、ダンボールの箱は中々の大きさ。業者の引越し屋が物を詰め込むダンボールくらいある。


 受け取って、姉貴と俺しかにない居間の床に置く。俺がファーロウと楓さんと会って帰ってきた頃なんで時間は夕方、姉貴は俺を放って夕食を作るために台所に行った。


 1人残された居間で光喜は、ハサミを棚から取り出すと謎のお届け物の封をしているガムテープ(業務用)に、ハサミを垂直に降ろして先端を刺してから切れ目を入れ、そのまま手元まで一線を引いて引き裂いた。


 簡単にダンボールは左右に開き、光喜はダンボールの中に紙袋が入っているのに気付くと取り出して、中に手を入れて中身を確かめてみた。


 「嘘だろ!!?」


 俺の手にあったのはセーラー服の新品、俺のサイズよりちょっと大きいタイプのやつ、多分俺の腰は細いが胸がデカイのでそっちにサイズをあわせたんだろう。


 いやいやサイズはどうでもいい。直面している問題は、どうして俺の学校のセーラー服を楓さんが送ってきたのだろうか?


 セーラー服を全部紙袋からだしたら一枚の手紙も一緒に出てきた。ピラっと床に落ちた手紙が俺にとって救いであるように願って拾う。


 『こんにちは、貴方の制服は男性物しかないので女性の制服を送ります。新しい生活ですが僕もできるだけの事をしますので頑張ってください ファーロウより』


 うわぁーい、なんて事してくれてんのぉ?いらん、優しさは。そんな優しさならもっと俺が幸せになれる優しさをくれ。


 あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!『俺は自分の部屋で眠っていると思ったら、いつの間にか異世界へ来ていた』

 な…何を言っているのかわからねーと思うが、

 俺も何をされたのかわからなかった…。

 頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとか、

 そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。

 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。


 くらいありえねぇース。


 そっと俺はセーラー服を包装の紙袋へ仕舞った。


***


 光喜はベットから起きて、耳元で鳴っていた携帯のタイマーをオフにして枕の側に置く。


 朝が来た、そりゃ時間はノンストップですから普通にしていたら次の日になる。俺は規則正しく寝て起きているからお肌ツヤツヤよ?


 光喜はベットから降りて近くに置いてあるTシャツとジャージに着替え、女になってしまった時から邪魔に思う自分の胸に応急処置としてさらしを巻いて胸を押さえた。


 よく漫画とかゲームで女性キャラが使っているのを、自分が体験する悲しさとは表現しがたい。


 俺は解けないほど強く巻いたら、階段を下りて玄関の靴入れを開けて隠してあるカギをとって玄関から外へ出た。


 靴は履きなれたシューズ、俺の天候が悪くない限り続けているジョギングを始めようと軽くストレッチをしていたら、カラクがザッ日本の庭といわんばかりの俺の庭からやって来た。


 「おはようさん、早いねお前」

 「いつも通りだ、それよりも何処へ行く?」


 俺は膝で円を書くように動かしている姿を見て訝しげた、ノア・レザンには朝のランニングの習慣ないのかな?


 「ちょっといつものコース走ってくる、30分くらいしたら戻ってくるから心配するな」

 「ああ…ノア・レザンではないが何かあったら逃げて帰れ」


 何年もおんなじコースを走ってるから大丈夫だっつーの。


 でも俺を守るのが役目なカラクに頷き、次にカラクの手にしている物を見て、ぞっとした。


 「お前!!刀持ってくるなやーー!!ついでに素振りしてんじゃねぇーーーーぞ!!」


 俺は叫んでしまった、はたっと自分が叫びまわりに知られてないかと窺うが早朝は誰にも聞かれてない。ホッと息をつく光喜に煩そうな顔をしているカラクにムッとくる。


 とりあえず、刀を取り上げてから日本の基本的な常識を教えねば、共犯なんて真っ平ゴメン。


 カラクから刀を取り上げ、説教の後は普段より遅くなったランニングをすませて、母さんが父さんと一緒に海外へ行っているので姉貴の朝飯を食って二階の自室へ戻る。


 ここまでは平凡な毎日の生活リズムと変わらない、ただし…。


 コレまでと違うのがこれからですよ、そう制服。


 セーラー服は無理、強要するなら俺はひきこもりになって一歩も外へ出ないからな!?それほどまでに堅い決意と強い意志をもっているんだぞ。


 光喜はクローゼットの中にある、男性物の制服を着ようと着替え始めるがワイシャツのボタンが……。


 ふっ胸だよ、諸君。カラクが大好きな俺のボリューム満点の胸の責で前がしまらない。


 これは是非とも俺外の可愛い女の子にやってもらいたいね、自分がやると全然トキメキがない。


 どうしょうもないから、白い無地のTシャツを着てから上着を着た。腰のベルトは普段の三つ穴をきつくしてちょうどいい、その代わりズボンのお尻が圧迫している気がする。


 やるせない気持ちのまま、カバンを持って市立の一般的などこにでもある中学校へ向かう。


 「はよー」


 中学校につくと、見知った顔の同級生(男)がいたのでいつもの様にダルイ挨拶をして、靴から上履きに変えようと上履き箱に手を伸ばす。


 返事が無い…コイツ俺が挨拶しているんだからちゃんと返しやがれ。顔を上げると同級生は俺を凝視している。


 しかも視線が俺の顔じゃなくて、下のほう。


 胸だ…痛い、視線が痛い。


 学ランの上着の下からでも自己主張している俺のハニーは、カラク以外にも人気者さ。とりあえず目潰しでもしてやろうか?


 目潰しは可哀相だったんで、股間の息子さんを足で挨拶してあげたら蹲ったのでほっといて自分の教室へ足を進める。見慣れた廊下を歩いているだけなのに、俺に視線が矢のように飛んでくるのが分かる。


 前の俺なら注目されないけど、今の俺は最高に美少女だもな。


 俺の姿が女に変わっても、俺が神田 光喜だって言うのは皆知っている。ファーロウが説明してくれたけどさ、俺が女になったことは自然に受け止められるように俺の召喚に細工をしたんだと。


 だからカラク共々自分の家から追い出されずにすんだが、本当の姿を俺だけが覚えているのはちょっと寂しい。


 ほら、親から貰った体だからな~女…いや、女神の姿のほうが見た目いいのは認識済、でも男にモテて何が楽しいのだ!!??


 どうせなら、カラクかモラセスみたいな色男になりたかった、その為ならばおやつは牛乳と小魚を食していた努力を根底からひっくり返しやがって。


 教室に光喜が入ると、光喜を見つけた生徒は一時停止をして光喜を見る。


 ファーロウが光喜を女として生まれた設定にしているが、一瞬の違和感があるらしい。

 

 え?美少女……?……ああ、神田だったな。


 ってな訳で、誰です貴女?からウホッいい女、へ視線が変更していくのは気持ちが悪い。


 クラスメイトの男子の頭の中では俺はどうなっているのか、考えたくも無い視線が教室に入っても分かっちゃった。


 直行で自分の席へ歩き、視線から逃げ出すように音をたてて、カバンを置く。


 授業が始まる十分前には俺のクラスの担任が来て、目が合うと。


 「お前なんで学ラン着ているんだ!女子はちゃんとセーラー服を着なさい」


 アンタは規則どおりに正しいことを言っている、だがしかし断る。


 「やーです、俺のサイズに合うセーラー服を着ると胸が突っ張って腹だしになっちゃいまーす」


 これは本当、ファーロウが送ってきたのもサイズが大きかった。あの数分で俺のスリーサイズを測っていたのかと思うと子供のクセに大物になるぜ。


 俺の発言の後、男子生徒からの歓声と女子生徒からの妬みを含んだ視線が俺の周囲から沸きあがった。


 担任はそれ以上強くいえないのか、手早くHRを終えると言葉を濁して廊下へ消える。


 女になってからの初登校は戸惑うばかりだ、普通に授業を受けるだけならともかく、トイレは遠くの美術室の人が通りにくい場所まで行き、体育の時間には1人だけ逃げ出して準備室へ忍び込み着替える。


 面倒……。


 変態じゃないから女子トイレにときめきは感じない、別に女子が使う便所だろ?何の興奮要素があるんだ?それよりも俺は風で舞い上がるミニスカのほうがいい!!


 美術室の人気の無い男子トイレから、こそこそ犯罪者みたいに身を潜めて出て、一つため息。


 今日の授業を何とかやり過ごして行くと時間は下校時間になった。


 いつも決まったメンバーで帰らない俺は同じタイミングで帰る知り合いを探す、孤独一人ぼっちじゃないから1人で帰るつもりは無い、いないなら居ないで1人で帰るけどよ。


 「おーい…今から帰るやつ居る?」


 いつも通りに男友達に話しかけた、女友達は少ない上に一緒には帰らない。周りがひやかすから恥ずかしいしね。


 「俺と2人で帰ろう!!」

 「いや!俺とだ!!」

 「引っ込んでろ!俺とだよね?神田ぁ!!」

 「ちょっと!私と神田さんが一緒に帰るのよ!引っ込みなさい!!」


 突如人が押し押せ、俺の周りを取り囲んだ。


 男の俺だった頃には考えられない光景。男子生徒と一部の女子が俺と一緒に帰ろうと人が変わったようになっている。


 しかも、2人っきりで俺と帰るのを希望している者が多い事。数の暴力…より目が怖くて俺は逃げ出したかったけど囲まれている状態ではどうしょうもない。


 「「「誰と帰る!!!??」」」


 囲んでいる生徒に同時に誰と帰るかと、問い詰められて俺は顔が引きつった。


 恋愛ゲームはやらないが、姉貴が好きなんでたまに後ろから覗くことはある。(姉貴は「この男堕ちおった、馬鹿め!」なんて笑いながらやる)


 ソレの私とコイツどっちがいいの!!?って場面に似てなくも無いが、まったくラブロマンスが存在しない、寧ろ怖い、俺一人で帰りたくなってきた。


 さあっと、明白な答えを求めてにじり寄る知り合いから助けるように、俺の尻ポケットに入れていた携帯が音を鳴らして着信を教えたので。


 「タンマ!携帯でななきゃ!緊急だったら大変だ!!」


 俺はこの隙に携帯を持って、教室の端まで走って逃げた。皆から距離をとると背中を見せて携帯の通話ボタンを押す。


 「もしもし?」

 『光喜か?』

 「カラク!?どうして?」


 声の主は俺の乳を絶えず狙うハンター、カラクでした。この男電話使えたんだ。だったらその知識で銃刀違反の知識も持っていて欲しかった。


 『理由は知らんが、賢者から女になったお前の迎えを一度だけしろ、と言われてな』

 「サンキュウー!今何処に居るんだ?俺お前と一緒に帰りたい!!」


 切実な願いです、助かった…。やるではないか賢者ファーロウ、全て計算通りかい?


 『お前の学校前の電話ボックスとかいう通信機だ、お前がここまで来い』


 通信機……間違っていはいない、確かに通信機だ。その表現は異世界の住人っぽくていいぞ。そしてそこは校門近くだダッシュをすれば直ぐにカラクに会える。


 「今行くから待っていてくれ!」


 通話を切って後ろに立っている生徒たちに、光喜は振り返った。


 「ゴメンけど、一緒に暮らしているヤツが迎えに来てくれたんだ!またな」


 言うだけ言ってカバンを自分の席から、ひったくり逃げるように教室から出た。


 くそう…なんて光喜と一緒に帰りたかった生徒は悔しがるが、どんなヤツと帰るのか窓を覗く者がでると、後に続けとばかりに全員が窓にひっつく。


 しばらくして校舎から、小柄な赤茶の髪をもっている少女が走っていく姿が見える。


 少女の先には1人の成人男性がいた。


 男子生徒はカラクを見ると、一斉に敗北を認めるしかなかった。レベルが違いすぎる。


 逞しい長身に、顔だって遠くからでもいいと分かる構造の持ち主、男子生徒は敗者の悲鳴と女子生徒は色男が田舎に生息しているのを確認できて嬉しい悲鳴を上げた。


 鬼気迫る「一緒に帰りましょ」の気迫から逃れられた光喜は、明日「あの男は誰だ!!」と殆どの生徒から問い詰められる事となったのは、今じゃいい思い出にならない。


 ノア・レザンでも地球でも光喜の平穏は遠かった。


こんにちは、試験的に書いてみました。

ですが、ここ連日の暑さにやられてちょっと熱中症にかかってしまい、小説の方がはかどらなくてすみません。


本編では省略して書きたい部分が潰れるのがもったいないので小話として書いてみましたが次は本編にもどります。

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