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第三話 カエルの皇子様

あらすじ 自分の姿が超好み、あと美人姉妹は柔らかかった、以上!

 


 廊下にでると庭が見える、田舎の自然を生かした風貌がある庭は温かいイメージだった。それでも整った庭を歩きながら横目でみつつ双子姉妹に先導されて歩く。


 拾った剣は2人に預けた、鞘がないのに剣をもって歩くのはアレだし危険だし。


 マリとヨミに連れて行かれたのは屋敷の中でも一番広い部屋の前まで案内された。大きな扉の前に到着するとマリとヨミが左右に立って扉を開けて、光喜を中に招いた。


 マリとヨミは扉をくぐらず光喜が扉を通るとそっと扉を閉める。


 光喜が入った部屋は飾り物が素朴に飾られ、中央には椅子が二つ。その一つに一人の男が鎮座している、流れから言ってこの男が長老だろう。


 そして男の後ろにはこの世界で石の遺跡らしき場所から連れ出した無礼なやつ、眼帯の男(乳揉み犯)が後ろに立っていた。


 「ようこそ。お出でくださいました、異界のお客人殿」


 長老らしき男が座ったまま頭を下げる。光喜もそれにならって会釈を交わす、長老は老人と呼ばれるほど年老いてはいなかった。


 見た目は中年と初老の間といった所かな?ただ片足が足首から先がない。何らかの原因で失ったのだと思う、傷は古くて完全に傷は塞がっているみたいだけど痛々しい。


 足をマジマジと観察するような不躾な真似はせずに、光喜も無言で勧められるまま空いている中央の椅子に腰を下ろす。


 「かん…光喜 神田です。光喜と呼んでください」


 マリとヨミに自己紹介したら神田の苗字を名前と間違えられから先に先手を打つ。毎回苗字と名前を訂正するのは面倒だしね。


 「光喜さまですか?よい響きの名前ですな…さて、まずはワシの聞いてもらいましょうか」


 疑問や質問は追々しろってか?良いけどさ、ここまで来て世間話もないだろう。俺は何から質問したいのかも分らないくらいなんだ。今は黙って話しを聞いておこう。


 「分っていらっしゃるやも存じませんが、貴女は…この世界の人間ではありません。ちゅきゅ…きゅう?」

 「…地球?」

 「そうそう、ちきゅうという世界から召喚された者なのです」

 「……」


 リアクションはどうすればいいのですか?まったくこの手の設定ネタはもう聞き飽きた。ゲームでも使い古された定番ものじゃないか?そんで俺に怪物退治の勇者にでもなれってか?そんなん要求してくるんだぜ。


 「召喚したのは若き第51578代目賢者ファーロウ様です。そのお方が光喜さまをこの世界「ノア・レザン」へお連れしました」


 告げられた言葉…それは、本当にこの世界は俺の知っている世界では確かに違うということ。そして俺をこの世界へ召喚したものがいるのなら俺は必然的にここへいるという事実に俺は…。


 よし、そのファーロウとかいう賢者を誰でもいいから殴れ!寧ろヤ(殺)れ!!


 そんな感じの憤りだった。いや、ドン引きといって方が正しいかも。


 誰だって面倒なことを勝手に無断で実行して押し付けられたら怒るだろう?


 はた迷惑な賢者に殺気を飛ばし暫し長老と俺の間に天使が横切った、長老は驚愕の真実に唖然としていると思っているかもしれない。でも俺は根っからの楽観主義者、ここに付くまでもう俺一人の力では帰れないくらい悟っている。


 それがトリップ系のセオリーだし。慌てふためいて地球へ帰れるならとっくに帰れている、それに今の姿で帰されても男の神田 光喜として暮らしていた俺が困るのだ。


 光喜が一つため息をつくと長老は話の続きを続けた。


 「貴女が此処へ召喚された理由は貴方が女神の化身、もしくは娘だからです」

 「よく分りません」


 はっきりと答える光喜に長老は笑い声を上げた。


 「それには天地創造の神…」

 「お止め…「頼もう!!」


 長老の言葉を遮る二つの声、2人の会話に割り込む野太い声とマリの止めようとした声が長老と光喜に割って入った。


 閉めた扉を無遠慮に開けてきた人物から野太い声は発せられたのだろう。


 扉を背にして座っていたので光喜が振り返り声の主を確かめると、視線の先には肥満の巨漢…お世辞にも容姿がよろしくないのに派手な衣装を身につけ、その上に髪から耳、指など全て宝石をちりばめた貴金属を体中に装着した男が立っていた。


 その姿はまるでたとえは悪いがガマ蛙が擬人化したらこうなるだろうな、と思わせる体格と顔。


 虚栄心の塊のような男が光喜の正面まで近づいてきた。


 たいそうな肥満ゆえに常温、風が涼しくすごしやすい温度でも汗が浮き出して息が荒い、いや別にそれは問題ない。かもしだす雰囲気が暑苦しいが、巨漢の男の目は光喜を値踏みするような目でジロジロと光喜を上から下まで見られて、不快感の余りゾッと背筋に寒気が走った。


 「これはパネトーネ皇子、何か御用ですかな?」


 硬直した光喜に代わって長老が巨漢の男―――パネトーネに声をかけた。パミエは面倒に長老を一瞥する。


 「お前に用はない。さあ、女神殿このようなカビくさい集落よりも我が宮へ参りましょうぞ」


 礼儀の礼もなく手荒い動作で光喜の手首を握り、引っ張る。光喜はあまりの無作法に眉をひそめて抗議しようと口を開きかけたら。


 「「お止めになさいませ」」


 マリとヨミが光喜を掴んでいた手を払い、パネトーネと光喜の間に2人が入り光喜の前に立ちふさがった。


 「何だ!お前達は」


 パネトーネが顔を歪ませて、双子の姉妹を睨み騒ぐ。


 双子姉妹とパネトーネの動向を静かに傍観していた光喜だったが、パネトーネが無遠慮に開けた扉から数人の兵士がこちらの様子を窺っていたのが見えた。


 おそらくはパネトーネの護衛兵だろう、姉妹にパネトーネが機嫌をそこね命令をくだされれば姉妹を取り押さえるつもりだろうか。


 光喜はパネトーネにも警護兵にも強い嫌悪感をいだく。俺の中のパネトーネの評価は初対面の第一印象から悪かったが、今の横暴な態度に最高に最悪になった。


 「「これ以上の無礼を働かれられるならば、いかに皇子であろうとも許しません」」

 「これは国の皇子としての当然の責務だ、このような片田舎に女神殿を置くこそ無礼だ」


 身体共に醜い男の言い分に、マリは怯まず言い返す。


 「女神であられる光喜さまのご意思が最優先でございます。殿下が独断してよいお方とお思いですか?」


 ヨミも姉に続き畳み掛ける。


 「その上、皇帝陛下からの命は拝借しておりません、皇帝陛下のご命令ともなら配慮も考えさせていただきます。ですが光喜さまは王族より遥かに貴い方であるとご存知の行動でしょうか!?」


 皇帝の名前をだされたパネトーネは目に見えて怯む。数秒顔を歪ませたが愛想笑を顔につけると姉妹の背後で大人しくしている光喜にターゲットを変え。


 「で…では、女神ど…「行かない、帰ってくれ」」


 今度は俺がパネトーネの言葉を遮り、彼とは目も合わせずにはっきりと拒絶であると伝えた。


 大方、双子姉妹に守られている光喜が押しに弱いと踏んだのだろう。光喜の前に双子姉妹が立ちはだかっていなければ今頃、パネトーネの顔面に蹴りの一発でもお見舞いしている処なのに。


 顔色を変えたパネトーネは薄っぺらい笑みを顔に乗せると、まだ光喜に食い付く。


 「で…ですが女神殿、ここでは粗末な食事も衣服しかございませんよ?そのようなお召し物ではなく、わたくしと一緒に来てくだされば絹や銀の…」

 「俺は帰ってくれといった」


 鼻先に餌をちらつかせれば引っかかると思いっきり安く見られた光喜は先ほどより強く鋭い声でパネトーネを拒絶する。


 はっきりと当人に断られたパネトーネはこれ以上何しようとはしなかった、その程度の常識は持ち合わせているようだ。


 「……明日お迎えに参ります。今のうちに老人の長話に付き合うのですな!」


 ヨミが言ったとおり、皇帝ナンやらと同じくらい発言力があるらしい。あっさりと光喜がノーサンキュウを突きつけると、暫し沈黙の後口惜しそうな顔で捨て台詞のようなものを残し、巨体をゆらして扉に消える。マリとヨミは塩を撒く勢いで扉を閉めたらクルリと振り返る。


 「「お父上様」」


 長老は一度も慌てずに姉妹に向かってゆっくりと頷く。


 「予想よりもパネトーネ皇子がくるのが早かったのう…おそらくは見張っていたんじゃな」


 この邪魔者扱いな雰囲気…パネトーネの人柄が長老と双子姉妹を見ているだけで彼の器を垣間見えた気がした。


 「光喜さまには見苦しい所をお見せした」


 申し訳ない声の長老に光喜は首を振った。別に長老の責任ではないのだから。


 「いえ、大丈夫です」

 「重ね重ね、申し訳ないのですが、パネトーネ皇子が来たならば彼の相手をせねばなりません、目を放すと何をするかわからん御仁ですので」


 長老は深々と頭を下げる、光喜も了解したと頷き小さくため息をついた。本音はもう少し詳しくこの世界のことを聞いておきたかったが。


 分別つく賢い俺は、自分のわがままを言える雰囲気ではなくなった空気を悟といため息をつく。

 いつになったら地球へ帰れるのだろう。なんて思いながら。 

緊張して何が何だか(笑)読んでいただきありがとうございます。

小説の感想などお待ちしております。

大変励みになるので気が向いたら書いてやってください。

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