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第二話 お初にお目にかかります変態剣士

あらすじ 俺は光喜なんか裸で異世界に飛ばされた、以上!

  

 


 壁が扉となって開いたとき、壁の向こう側に膝をつく男が光喜の目に入る、まるで騎士が主に忠誠を誓うように。


 宇宙人、宇宙人とばかり思っていたのに男は俺と同じ人間らしい、見慣れない民族衣装のような服を着ていた。その服もそこらの洋服で売っている感じではなく独特の文化を通わせている。上着の黒いコート並みに長い服が男の深紅の髪に映えて不覚にも目を一瞬奪われてしまった。

 

 男がゆっくりと顔を上げた、男の顔には左目に黒い眼帯を付けかくれているが、光喜を見ると隠していない方の目が驚愕して大きく開くマジマジと光喜を見つめ次に恍惚の表情となった。


 音も無く男は立ち上がると男の体格のよさが、俺を更に動けなくした。違いすぎる、男は軽く180センチは越して体だって服で隠れているが鍛え上げられているに違いない、顔と首以外に露出していないけど首の筋肉からして推測でき、俺が男であろうが女であろうがリアルに戦うって何ですか?って聞きたい。


 お互い無言で見合う。男はうっとりした顔で俺の体を見つめてくる。


 普通の女性なら貞操の危険を感知するであろうが、ついさっき性転換した光喜にはその恐怖よりもボコボコにされるんじゃない?みたいな恐怖でいっぱいだった。


 眼帯の男は暫くして大股で光喜にズンズン近づく、光喜は息を呑んで剣を構えようとしたけど眼帯の男の覇気に押されて光喜から戦う意思を削ぎ落とした。


 俺は呆気にとられて男の動向をただ眼で追う事しか出来なくて。


 光喜の正面に眼帯の男が立ちはだかり、光喜を穴があくほど見つめると大きな手が俺に近づく。

 

 俺は危害を加えられると確信して硬く目を閉じて襲い掛かる激痛を待ち構えた。



 ガシッ!



 「…あんっ」


 あれ?今の俺の声?それよりも…。

 

 眼帯の男は俺の胸を両手で鷲摑みし揉みしだく。


 「ボリューム、バランス、形、艶、肌のはり、どれをとっても完璧なちちだ。まさかこんな所で俺が長年探し求めていた究極の乳にめぐり合えるとは」


 歓喜極まる声で囁かれても困る。つか、痴漢だ!犯罪だコイツ!!でも男の手は止まらない。


 「やっ…放し…てぇ…」

 

 何だかコイツが揉むから俺は変な声でるし、体はくねって麻痺する。おまけに下半身は意味も分らないままズキっと疼く。


 「柔らかくも弾む弾力、千の乳を揉んできた私を此処まで驚かせる乳がこの世にあったとは」


 感嘆混じり男の声に俺は心で突っ込みを入れる、千人も女の人の乳を揉んできたんかい!!信じられない!俺の本能のサイレンが警戒警報をけたたましくなった。


 光喜は剣の柄の先を男の腹に渾身の力をこめて叩き込む。男は一瞬ひるみ、俺の乳から顔に視線を変えた。数秒お互い無言で見つめあう、俺はバリバリ警戒心剥きだしなのに、男の手は俺の乳をまだ掴んでいた。


 「失礼した。私は貴公を迎えに行くよう遣わされた者だ。以後よし成しに」


 悪びれる様子もなく、其れだけを言うと光喜の顔を見つめる。黙っていれば眼帯をしてないほうの緑色の瞳は不覚にも綺麗だった。


 ついでに未だ俺の両乳を掴んでいる手を放せばもっとよかった。


***


 奇妙な男とであってから怒涛の乳揉み事件のあと、男は何事もなかったように自分のコートを脱いで裸の俺に着させると問答無用でお姫様抱っこをして石の部屋からさっさと開いた通路へ足を運ぶ。


 壁から生えてた(?)剣は取り上げられるかと思ったけどまだ俺の手の中、剣が男にも自分にも傷つけないよう注意しながら運ばれる。


 (俺は相手の出方を見るためにあえて大人しているんだ)


 なんて、されるままになっている自分に言い訳をしつつ眼帯の男に抵抗を見せない、だって此処で落とされたら痛いじゃん。


 光喜を抱いている眼帯の男は軽い足取りで何処かへ向かっているようだ、石の部屋からでると同じ石材から作ら廊下へ。


 チラリと眼帯の男を盗み見た、不本意だけど抱き上げられている腕は逞しく太い。俺の体に当たる男の胸板だって鍛え、少しも軟らかくなかった。まっこと男らしい。


 俺を…一人の人間を抱き上げていたところで無い者のように颯爽と歩く、俺だって羨ましい事この上なくため息がでる。


 身長だって180センチ以上はある均一の取れた体形をしており、長身で肌は少し褐色、顔だって悪くない寧ろ色男だ。左目は眼帯で隠しているけど片方の翡翠色の目は鋭い眼差し、鼻筋がスッと通って、どうみても美少年や美青年という部類にはない雄のプンプン匂ってくる男の色香を放っていた。


 髪は薄赤色をして髪の長さは腰まで長い、其れを後ろで一括りをしてまとめている。


 (畜生ーー!!うらやましすぎる~~こんな男を見た後じゃ絶対俺は女子に相手にされない!!)


 女の子に相手にされる以前に自分の体が女体化しているのに。


 ともかくえらい色男は宇宙人ではなさそうだけど普通の人でもなさそう、っていうのが光喜の感想だった。油断はもちろん出来ないし簡単に相手を信頼できるほどお人よしでも世間知らずでもないので引き続き最大限の警戒は怠らない。


 もっとも第一印象があの乳鷲摑みでなければ男として羨望の眼差しで見られたのに、俺の乳を掴んだ瞬間に全て台無し。アウトだ。


 このまま変質者に抱きかかえられて何処へいくんだろ?人買いに売られるとか!?ドナドナ~とか歌っちゃうよ、俺。歌う場合じゃないよ俺。


 人買いに売られるのはごめんだ、だから相手の真意を少しでも探らないと。大人しいと思わせたほうが後から逃げやすいし未だに拾った剣は俺の手にある、其れを振り回せばコイツの腕から抜け出せるだろう。後はどうにでもすればいい。行き当たりばったり上等、万歳。


 「あの~」


 上目遣いに俺は話しかける、決して色目じゃないぞ!ただお姫様抱っこされている状態で上を見れば自然とそうなるんだよ。ともかく、俺の声で男は立ち止まって俺の顔を覗き込んできた。(顔が近い)


 「俺はこれからどうなるんですか?」


 眼帯の男は目で笑い。


 「貴殿の湯浴びと服を」


 一言だけ伝えると再び男は歩き始めた。これで会話を途切れさせれられても堪らないので、慌てて質問を続ける。


 「それ以前にアンタの名前は?あと村ってどこにあるの?てか何であそこに俺いたんだよ?…おい、なーってば!?」


 眼帯の男は前を見据えつつ俺の話に耳を傾けているようで。


 「湯浴びと服を整え、長老からお話を聞いてください、私は貴殿を長老の元へお連れするのが最優先です」


 さいでっか、眼帯の男はお仕事優先らいしい、変質者の分際で何様だ。人売りはしないみたいだけど、まだわからないし。


 光喜はだんだん腹が立ってきた、気が付けば裸で床に転がされえているし、女にされているし、いきなり暴挙に出た男には丁重に拒絶される振る舞い。はっきり言って憤慨ものだ!いまどきゲームにも使われないベタな設定をさせられているこっちの心を察してもらいたい。


 (もういい、もうコイツと関わらない!!)


 一気に不機嫌になった光喜を抱き上げたまま眼帯の男が石の廊下を進んでいくと段々日の光が強くなり、石の廊下から外へ続く出口が見えてきた。そのさきには青空が見える。


 最初からこの建物に入っている光喜は、出口で振り返り初めて石の建物の外装が見えた。白い石の建物は素っ気無く部屋と同じ、これまた素っ気無い風貌の石造りの古墳のような感じだった。


 とくに思い入れがあったわけでもない…寧ろ悪い印象しかない場所だったから立ち去るのに感情も浮き上がらないので次に見た空の青さに目をすでに奪われていた。


 其れと同じく光喜を驚かせたのは一面の大草原、くるぶし程度の長さの草が地平線まで風にそよがれ海の波のごとく揺れていく。雲も草も風に揺られ運ばれる…そんな力を抜いた情景が光喜の目に飛び込んできた。


 ぽかぽかとした陽気な日差しにのどかな風景、いまにもアルプスの少女がスキップして出てきそう。 

 

 実に殺伐と無縁な状態である、一方自分は石の建物の中で一人悶々と宇宙人と死闘を繰り広げる妄想をしていたっけ、すごく情けない心境になるぞ。だけど俺の予想通り日本ではない。


 まぁ此処までされてドッキリでした☆なんてないよね。あったらボロボロにしてやりますが!


 唐突に自分の部屋から見知らぬ土地へ運ばれたという事実は光喜にとって性転換と不思議な体験の前には想定内の出来事であり意外にも落ち着いてその事実を受け入れられた。いきなり乳を揉まれた衝撃に比べると…まだマシなのかもしれない。


 その衝撃の男へ光喜は視線を向ける、草原の中光喜を抱えて進む姿に、豊かな緑に眼帯の男の赤い髪が映えて光喜は慌てて視線をそむけた。


 眼帯の男は光喜の視線に気づいてなかったのか此方を見ず、片手で光喜の華奢な体を支えると空に向かって指笛を吹く。指笛は草原に大きく響き、暫し男は空を見続けていた。


 すると空からバッサバッサと風を切る大きな羽音が聞こえる、光喜も男と並んで鳥の羽の音が聞こえる空へ視線を上げると光喜は目を大きく開けて唖然とした。


 空にはヒポグリフが此方へ向かって羽ばたいていた。


 ファンタジーもので有名な上半身はわし、下半身はライオンで知られるグリフォンとグリフォンが目の敵にしているはずの馬から産まれた合いの子がヒポグリフである、グリフォンに似て上半身はわし、下半身は馬で気性はグリフォンより温和で騎乗しやすいとか。


 なんでこんなに詳しいかって?俺ゲーム好きだもん、アト●スのメ●テンシリーズ。攻略サイトを探したらゲーム上、伝承とか神話のサイトに結構引っかかってそれなりに詳しくなっちゃったんだ。


 だが所詮は空想の動物に過ぎない、その動物が光喜を抱き上げている眼帯の男の前に降り立った。


 ヒポグリフの体は馬と同じくらいに大きい、騎乗されるのを心得ているのか眼帯の男と光喜を見ると自分から地面に伏せて二人が乗りやすいように身を屈めた。


 眼帯の男は俺をヒポグリフの腰に横抱きに乗せる(でないと何もはいてない俺の下半身にはつらい)と、今度は俺の後ろへ続いて騎乗した。


 一度光喜を抱えなおして体重をやや前かがみにする。太い首に巻かれている手綱を掴み、ヒポグリフの横腹を軽く蹴って合図を送った。


 大きな鷹の翼を天に向かって広げ、空に大きな咆哮を上げると大きな翼を何度か動かして空へ舞い上がる。ぐんぐん高度が上がりもう足の下には石の建物が小さくなってあっという間に見えなくなった。


 「すげーーーー!!」


 俺は思わず歓喜の声を上げた。空は一切の束縛も囲いもなく広々としていてその中を悠々と飛ぶ、日常生活では味わえない爽快感、そして…。


 「さみィィィィ!!」


 最高の風が最悪の寒さを光喜にもたらした。自分の体を抱きしめてガチガチ震える。


 当たり前といえば当たり前だ、俺は全裸なんだからな!!男から貸してもらったコート以外は一切服を着てない。コートの中に風が当然入り込んで…なにこの罰ゲーム状態。


 「おい、寒い!!」


 後ろへ振り返って男に訴えると、男は俺を抱きしめた。男が防波堤になるので多少だが風の影響は和ぐんだが、こんな展開望んでない。まったく望んでない。おまえ?どこでそんなフラグたったの?


 畜生!俺が本当に何にもできない小粒じゃないか。


 どうせ女だからこうやって最低限の養護をするんだろう!コイツ好みの乳だから本当の俺だったらきっと優しくしない。


 何だか分らない不満が光喜の中でフツフツと沸いてきた。何度も同じ事で怒りをたぎらせるなって言われても、理不尽なものは理不尽なわけで。思い出せば鮮明に怒りがカムバックしてくるのだ。


 (大体なんだよ、俺が何したって言うんだっつーの。マッパにされるわー女にされるわー揉まれるわーで)


 こんなの俺じゃなくても―――



                   …貴方だけなの…



 ぞっとした。何だかさっぱり分らないけど、光喜は頭の中で横切ったモノに全身の鳥肌が立つ。自分の中の触れてはならない扉を開けてしまった感触に理由が分らないまま慄き怯えた。


 唯一の心の拠り所みたいに剣の無意識に強く握る。


 「どうした?」


 固まる光喜に眼帯の男は不思議そうな顔で光喜の顔をうかがう。

 

 「…なんでもない」


 光喜は顔を伏せた。


 眼帯の男はそれ以上聞かず黙ったまま光喜を抱きしめた。


 それが男の行動にしては有難く、男の胸に頬をくっつけて光喜は目を閉じた。寒さはキツイけど男がかばってくれるので体を震わせるほどでもなくなり、慣れればヒポグリフの毛皮も中々悪くはない。


 ただ多少お尻にヒポグリフに付けている鞍が当たって痛いかな~?でも日差しが暖かくて揺られるのも段々気持ちがよくなってくる。先ほどの脳裏に浮かんだ険悪な寒気もなりを潜めた。


 視界の閉じた世界で風を切る音だけに光喜は集中した、暫くウトウトと眠気を催すころに眼帯の男が。


 「あれだ」


 というので眠気を押さえて、光喜は顔を上げて眼帯の男の視線に目を向ける。


 眼下にはソコソコの規模の村があった。どこまでも続くような草原の中に人工的な建物が立ち並ぶ。


 石の堤で村を囲い、その中に大きな風車があって、その周辺には人の姿がまばらに見えてくる。どうやら家畜を育てて生活している村なのだろう。


 ザッと見ても圧倒的に動物の数が多い、堤の外で羊や牛が人に先導されて移動しているのが目にはいった。


 ファンタジーの世界にある平凡な村っという表現がピッタリ。


 とてものどかな風景、空飛ぶ円盤よりは断然いい場所だ。暮らす人々も穏やかそうな空気が感じられた。


 その中で一番大きい家、いや屋敷といっていい程大きな家にヒポグリフは向かって下降していく。


 村の人も大きな獣の影に気づき、空を何人かが仰ぐ。こっちはマッパですので、あんまり下から見ないで欲しいッス。


 悠々と空を飛ぶヒポグリフの目的地であろう屋敷は囲いがついて庭も手入れされ、人目でこの村の要人が暮らしているのだろうと安易に予想が付く造り。


 その庭に眼帯の男と光喜を乗せたヒポグリフが優雅に芝生へ降りた。


 上でも見たがこの降りてみると更に屋敷がどれほど立派なのかがよく分る。豪華ではないのだが古い歴史を感じさせるような感じがした。


 眼帯の男は先にヒポグリフの背中から降りて、続いて光喜を抱き上げて地上に降ろす。


 暫くぶりの地上の感触、裸足でも庭の芝風は柔らかくて足を痛ませる心配は無いようだ。


 ここが男の言っていた長老の家なのか?確かに村一番の建物なんだから長老が住むのが自然、光喜は男から借りたコートをずれ落ちないようにしっかりと握り閉めながらキヨロキヨロと辺りを見渡す。 


 暫くもしないうちに品のいい服を着た二人の女性が屋敷からやってくる。


 屋敷の廊下へ続く階段にいる女性は美人でスタイルも抜群、褐色の肌がエキゾチックに映え黒髪に色の目が印象深い。左の女性の目の色がオレンジ、右の女性はグレー。


 其れだけが二人とも違う、逆にいったらそれ以外は顔も体つきも全く一緒、この二人の女性は双子だった。


 美人姉妹に幸喜が見とれていると後ろにいた眼帯の男は用が済んだとばかり、無言でヒポグリフの手綱を引いてスタスタと何処かへ消えていく。光喜が振り返っても男の歩みは変わらずあっけなくご退場。


 何故か其れが妙に俺の気に障り、小さい不満が湧き出てくるのだった。


 眼帯の男が去った反対側にいた双子美人姉妹がゆっくりと光喜へ近づく、正面に二人が立つと光喜に丁寧な動作で礼をとる。双子姉妹が同じ動きで頭を下げて膝を曲げるので、光喜も軽く会釈をした。


 彼女たちの背は自分より上、眼帯の男はずっと光喜より高かったが双子姉妹は幸喜の頭一つ分高い。


 女になったから自分の視線の位置が変わっているわけでないので平衡感覚には障害がないのだけど、元々男だった俺にとってはプライドをチクチク刺激しちゃったりするもんで…。全体的にこの世界の人間は背が高いということにしとこう。うん、それがいい。


 俺がそんなのを考えていると双子姉妹は頭を上げて、にっこり笑う。その笑みに幸喜はドキリとした。


 イタリア系のアジア美人か?いやインドとヨーロッパの混じった人種?ともかく近所ではお目にかかれない美女が光喜に優しく微笑むのだから光喜の顔は赤く染まる。


 「ようこそお越しくださいました、我々は長老の娘でございます」


 グレーの瞳の女性が言う。次にオレンジの女性が喋った。


 「私が姉のマリ・シューガ、隣は妹のヨミ・シューガ」


 2人は見事なシンクロで同時に。 


 「「どうぞよしなしに」」


 と言い、二人の女性は全く同じ動作で地面に膝を付く。顔は惜しみない笑顔で迎えてくれて光喜はホッとした気持ちになった。


 見知らぬ土地、変わった自分に不安になっていた時に優しく迎えてくれると嬉しい。俺も簡単に自己紹介を交わした。


 「俺は神田 光喜です。よろしく」


 ペコリともう一度頭を下げた。


***


 眼帯の男が言っていた通りまずマリとヨミが案内した場所は湯浴びの浴室だった。事前に知っていた俺は特に何も思わずに案内している二人の後ろを付いていったのが間違いで。


 彼女らが浴室についた途端に2人は自分の着ている服を脱ぎだす。マリもヨミも健康的に肌を焼いていて尚きめ細かいはりのある肌を遠慮なく俺の目の前で晒し始めた。


 俺は呆然と事の成り行きをみつめていたけど、彼女らが胸当ての布を外して大きな胸がプルンと露出した瞬間、我に返る。


 「わーーー!!」


 俺が両手の掌で自分の目を塞ぐのだけど指の間からバッチリ姉妹の裸体をロックオンしているのは男としての性なのか。取り合えず2人の肌に光喜は真っ赤になって叫ぶ。


 「「どうなさいました光喜さま?」」


 突然叫んだ光喜にマリとヨミがびっくりして顔で光喜を見つめる。


 「どうって、ダメダメ裸になっちゃあ」


 2人の視線に耐え切れず顔を背ける童貞の光喜。


 「「裸になりませんと光喜さまをお流しできません」」

 「一緒に入るって事?」

 「「体の隅から隅まで磨き上げて差し上げます」」


 躊躇なく下半身を包む最後の砦、パンツまで2人は豪快にパーンと脱ぐ。


 「きゃーーーーー(本日二度目)!!」


 体中を真っ赤にして光喜は部屋の隅、壁まで後ずさりした。浴室から出ようにも出入り口は姉妹の後ろ、逃げ場所がない。


 「さあさあ、光喜さまお諦めになられませ」


  マリが壁に追い詰められた光喜を微妙な手つきで近づく。


 「さあさあ、光喜さまお静かになられませ」


 ヨミもマリと同様光喜に忍び寄る、2人の顔はとっても生き生きして、逃げ出す前に素早く姉妹にとっ捕まえられた。


 眼帯の男からかけてもらったコートを2人かがりで引っ張る。


 「一人でちゃんとお風呂に入れるから!」


 せめてもの抵抗にそういっても。


 「「なりませぬ、そ~れご開帳」」


 コートの下は裸であるため抵抗するも虚しくものの五秒には姉妹と同じ裸にさせられた。


 息の合ったコンビネーションに俺のコートは奪われ泡のお風呂へと押し込められ、当然のごとく姉妹も一緒に湯船へ入ってきた。


 湯船の広さは三人も入いればソコソコ狭い。だから妙な感じにお互いの体が密着して光喜の羞恥心を更に煽った。


 立ち上がろうにも2人で押さえつけられて湯船からの脱出は叶わず。


 「大人しくしてください、光喜さま」

 「…!ちょっ…背中に胸がくっついているよ!?」

 「まあ、光喜さまのお肌は絹のよう、いえ珠のようでございます」

 「…足は放し…!」

 「ご遠慮なさいますな、何もとって食おうなど申してはおりません。身も心も我らに委ねられませ」

 「ちょっとソコは触らないでぇ~」


 こんな感じで光喜は双子姉妹に磨かれる、余談だが扉の向こう側に立っていた男性使用人が彼女らの声に不自然な前かがみになっていたとか…いないとか。


 かつて人生にこんなに疲れる入浴があっただろうか?いや無い(反語)。


 光喜は、体を双子にフカフカの布で余計な水分をしまいに拭き取られながら疲れに脱力。返事がないただの屍のようだと表示されそう。


 マリとヨミは甲斐甲斐しく体を拭き終わると(疲れて俺はこの辺りで無抵抗)、浴室の内扉から繋がっている衣裳部屋へ光喜を連れて行った。一応体を冷やさないように大きな布を羽織らせてくれる。


 2人は先に着替え、テキパキとした動きで数々の衣装を光喜の周りに置いていく。


 「では光喜さま、お気に召すお召し物がありましたら申し付けください」


 大きな布を掴んだまま周囲の衣服へ光喜は見わたす。姉妹は光喜が選びやすいように目移りしている間、光喜の全身が入り込む等身大の鏡を持ち出して光喜の前に置いた。


 鏡に気づくと光喜は何気無い気持ちで鏡に視線を向ける、当然映りこむ自分の姿。


 (女の子だ…)


 それは女だった…、どう思おうとしても女の体、しかも他人の。


 体は小柄で150センチ前後の小さな体、一見頼りなさそうな可憐な印象を与えるが胸だけが大きく、自己主張をしていた豊かな胸。


 真っ白でシミも傷もない潤った肌に、ぱっちりと大きく丸い青い瞳に桃色の唇、頬は愛らしく柔らかそう。なにより印象的なのが髪だった。雪をしたためたかのような純白の白髪。


 しかも綿菓子みたいに可愛く柔らかく巻くクセ毛が肩あたりまであった。


 さながら自分は可愛い子羊になったようだ。白い要素が多いし、髪型もフワフワして羊の柔らかい毛皮に似ている上に小柄で守ってやりたい風貌。


 「あ゛――――――――!!!自分じゃなかったら超好みジャン」

 「「如何されました光喜さま」」


 姉妹が突然叫んだ俺に驚くがそんな構ってられるかい。俺のジャストポット&ストライクゾーンが自分ってどうよ!!神様!?


 見れば見るほど超可愛い!超プリティ!!まんま俺の願望が形となった女が!!!まんまるの瞳で上目遣われたら鼻血噴くよ。しかも巨乳の妹キャラ…。


 ダメージが大きくて床に両手をうだれた。其れをみて双子姉妹は同時に首を傾げる。


 ピンポンパン~♪ここからは光喜の煩悩劇場をお楽しみください。


 朝まだ布団の中でまどろんでいたいのに部屋のドアが元気に開く。ソコには妹が困った顔をして布団の膨らみを見た。


 「もう!お兄ちゃんってば、まだ起きてないの?早く起きなきゃ学校遅刻しちゃうよ」


 と言って俺の布団を引っぺがす。


 「もうちょっと…後五分…」

 「いつも其ればっかりぃ、起きてよ。お兄ちゃん~お兄ちゃん~」


 デヘヘヘヘヘ、可愛いな。


 「「光喜さましっかり」」


 姉妹が軽く逝っちゃった俺を心配して肩を掴み揺らす。ヤバイヤバイ、頭の中まで異次元にすっ飛んでた。


 我に返ると湯冷めで気づけば随分体は冷え、鳥肌もたっていた。マリもヨミもちゃんと服を着込んでいるので問題はないけど俺は素っ裸。


 裸で空を飛んで風邪ひいていないのに妄想してて風邪引きました、なんて笑い話にもならない。


 さて、気を取り直して真面目に服を選ぼう。


 そして数分後。


 「こんなもんかな?」


 選んだのはシンプルな形の白黒な服。下に黒色の生地で作られた服をベースにして白い上着を羽織る。手の辺りが着物みたいに長く広がっているので手首が隠れて指先だけが覗き、このダボダボ感がまた自分なのに可愛くて…。


 基本下に黒のピッチリした下着の上にゆったりした白の上着を着る。


 ズボンは黒のスパッツのみたいにびちっとフィットしたのを選んだ、太ももしか長さがないが靴は白のブーツを膝上までのを履いた。


 つまり太ももは絶対領域、服と肌の間にはエロスが放出しているといった学者は天才だと思う。


 黒と白が交互に重なるファッションに鏡に映る自分に満足して大きく頷く。マリとヨミはもっと華やかな服や色彩を進めてくれるんだけどゴテゴテと飾らない。


 アクセサリーも凝ったものばかりで高そうな品物だったので辞退させていただいた。絶対動き回っている間に無くす。


 浴室からでて、小休憩とマリに冷茶を振舞われたので椅子に座りのどを潤していると、ヨミが静々と尋ねてきた。


 「光喜さま、長老…父が謁見を望んでいます。よろしいでしょうか?」


 拒否をする理由もない、寧ろ歓迎すべき申し出に。


 「うん、俺も話がしたい。沢山聞きたいことがあるよ、お願いします」


 立ち上がり姉妹に向かって頷いた。


 「「ではこちらへ」」

ギャグを目指しています。恋愛要素は皆無ですが。

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