04 アイデア
「カミスお兄さま、今日は来てくれてありがとう」
ニケルちゃん、遅くなってごめんね。
施設オープン記念公演の孤児院側の責任者を自ら願い出たニケルちゃん。
出来るだけ孤児院の子供たちの手で進めたいという希望だったそうだけど、やっぱり大変だと思うよ。
出演とかはもちろん無理だけど、表立っての活動以外なら今からでも出来るだけお手伝いするからね。
ニケルちゃんたちが選んだ演目は、
『特攻勇者ノノカ 第4巻 ノノカと危険な遊戯』
筋金入りの方向音痴なノノカちゃんが迷い込んだ先は、人里離れた孤児院。
実はそこは人さらいと奴隷商人が手を組んだ悪党たちの巣窟。
人質を盾にされ、マジカルステッキ『ゼファール』を奪われたノノカちゃん大ピンチ!
そこに颯爽と現れた『謎のお助け冒険者アイニャ』
息ぴったりのふたりによる大反撃の大逆転劇!
人気の新キャラ続々登場のシリーズ屈指の人気作、
をベースにした、お芝居だそうです。
リハーサルを見させてもらったけど、子供たちの熱演と手作り感いっぱいな感じが素敵な、楽しいお芝居でしたよ。
なにも問題ナシじゃないかな、ニケルちゃん。
「なにかがもの足りない感じなの……」
足りないって、もしかしてニケルちゃんはアレと比べちゃってるのかな。
アレとは、例の伝説の舞台。
『特攻勇者ノノカ外伝 囚われの王女さまを救え!』
モノカたちみんなが後先考えずにはっちゃけまくった、伝説の一回限りの怪公演。
そういえばニケルちゃんは、アレをバッチリ見ちゃったんだよな。
確かに、あのはちゃめちゃな舞台と比べちゃったら、物足りない気持ちも分からないではないのです。
でもなあ、あんなの反則もいいとこだし。
ハリウッドの凄いCG以上の演出で、一流コメディアンたちが生でアドリブ劇しちゃったようなものだったよ。
って、コメディエンヌ扱いしてごめんね、モノカ。
「カミスお兄さま、なにか良いアイデア、ないかな?」
いかにニケルちゃんからのお願いとは言え、ハードルが高すぎますよ。
そんなモンスターマシンにファミリーカーで挑むような……
って、待てよ。
ファミリー……
僕なりのアイデア、上手くいくかな。




