深夜のテレビ
目が覚めて、ベッドから抜け出ると、部屋のデジタル時計は夜の二時を示していた。僕は起き上がり、キッチンへ行って、水道水をグラスに入れて飲んだ。寝る前に確かテレビを見ていて、酒を飲んで、そして酔った結果、八時くらいに眠ったはずだ。なぜ今になって、目が覚めたのか理解できなかったが、特に眠気もなく、充足感があったので、気にしなかった。換気扇の前で、煙草に火をつけて、吸った。明日は休日で仕事が休みだった。このまま起きていてもいいかもしれないが、特にやることもない。僕にはこれといって趣味がないので、主にテレビを見ている。ただ番組に興味があるわけではなく、スマートフォンで何かを調べたり、酒を飲んだり、煙草を吸ったりしている。
深夜のテレビを見るのも悪くないと思い、寝室の隣の部屋に行き、ソファに座り、テレビをつけた。テレビが付いた時、部屋が光に包まれた。僕は光の中心をじっと見ていた。徐々に意識が朦朧として僕は意識を失った。
意識を取り戻すと、僕は自分の家にいた。テレビの電源は消えていた。隣には、高校生の頃の友達がいた。彼は、大学生の時に交通事故で死んだはずだった。僕と彼はよく二人で一緒に帰ったり、受験勉強をした仲だった。
「突然、悪いな」
彼の名前は小林と言う。
「どうしたんだ? 死んだはずだろ?」
「そうなんだけどさ。なんだろうな。これはいったい」
小林はテーブルの上にあった煙草のケースを手に持ち、一本煙草を取り出した。僕は彼に火をつけてやった。
「不思議なこともあるもんだな。またお前と会うことになるとは」
僕はそう言って、自分も一本煙草を取り出して火をつけた。
一つの部屋の中で僕らは煙草を吸っていた。僕はしばらく夢でも見ているのだろうと思っていた。なんだか何が起きても動じなくなっている自分がいる。
「お前はもうじき三十か?」
「そうだね。来年で」
「仕事は?」
「システムエンジニアをしている」
「そうか」
僕らは部屋で煙草を吸い続けた。小林はどこか悲しそうな目をしていた。そもそも彼がここにいるというのも奇妙なことだ。
「何か、言いたいことがあったんだけどな。いざ来てみると、なんだったか忘れてしまった」
小林は自嘲的な笑みを浮かべた。おそらく彼は死んだ時から年を取っていないようだった。
「お前がいなくなって、寂しかったよ」
僕はふと本音を語っていた。未だにこれが現実だとは信じていない。
「そうか? 俺はそんなに誰かから必要とされているなんて思ったことはなかったよ」
深夜の時間はゆっくりと過ぎていった。