2. º*≅¿《ポンチコ》とミワたんとおねえたん
ミワちゃんはご機嫌だった。
なにしろ、懐かしい遊び相手がきてくれたのだ。
公園での遊びも、ミワちゃんの頭にいつも止まってくれている彼となら、倍は楽しい気がする。
「ポンチコー! ほら、ポンチコできたよ!」
<おおっ、素晴らしい出来です!>
「えへっ…… ちょうでちょー!」
母親のハルミが、大声の内容にギョッとしていることなど全く気づかず、砂場遊びに夢中になっているミワちゃん。
……を、ぼんやり見つめる視線に、º*≅¿はふと、気づいた。
<誰だろう……?>
「ほらぁ! みてみて! ポンチコ・マタイキー!」
と、叫ぶミワちゃんに <おおっ、弟子の砂像まで作ってくださるとは……!> と返事しつつ、ぐりんぐりんと回転跳びを決めて周囲を確認し……
º*≅¿は、気づいた。
時折、ミワちゃんを悲しげな目で眺めては、下を向いて 「はぁ……」 とタメイキをつく、ひとりの女の子に。
年の頃は16、7であろうか。
ツインテールにした見事な金髪が、女の子の乗るブランコの、揺れるともない微かな揺れに合わせて、色白の頬をさわさわと撫でている。
<こ、これは視覚の刺客……!>
「ねえねえ見てみてー! こんどは、ミワたんにポンチコつけたよ!」
<…………ええ。いいですね……>
miniたち至高のアイドル・ミワちゃん4歳がせっかく、自分の像を喜んで弄くり撫で回して楽しく遊んでくれているというのに、º*≅¿は、その金髪の女の子から、目が離せなくなっていた……。
<おや、今日もあの子、いますね>
「きんぱつのおねえたん、かわいいねぇ」
<けど、どうしていつも、あんなに悲しそうなんでしょう……>
「うーんと…… ミワたんは、おかち落とちちちゃったときが、かなちいよ。あとね、おこられたときも!」
<ふむ……>
その金髪ツインテールの女の子は、ミワちゃんとº*≅¿が公園に行く度に、ブランコにいた。
あまりにも邂逅頻度が高いので、幽霊か宇宙人か、とも考えたº*≅¿であったが、ミワちゃんからも見える、ということは、おそらくは地球人なのだろう。
「でもポンチコー! あのおねえたんばっかり見ないでね! ミワたんとも、遊ぶんだよ」
<はい、もちろんですよ! ……でも、なんだか気になって……>
気がつけば、º*≅¿はいつも、その子の姿を追ってしまっているのだ……。
<これは、どうしたことでしょうか…… ミワちゃん以上に大切な存在などいないはずなのに……>
<……また、º*≅¿様が悩んでおられる>
<お痛わしい……!>
<先生っ……!>
公園に行く度に悩んでしまう上司を見かねた、部下のminiたちと弟子の≡<↑£は、ある日。
ついに、º*≅¿に、こう告げたのだった。
<そ れ っ て 、 恋 で は な い で す か ?>