6 月影家の朝
頼まれてから一日が過ぎ今日は土曜日……
つまり今日は休日である。
普通ならば他人の家で同居なんて言うのは
常識的に考えたら有り得ない事だが……
これがまた有り得てしまったのである。
[月影家]
[ふわぁ………良く寝たな……]
[それにしても本当に同居する事になるなんて……]
先日アサクラ先生に頼まれてから普通なら
自宅へ帰るのが当たり前だけど、頼まれた事により
自宅ではなく月影家に同居と言う形に
なってしまったのである。
これが普通の家なら良いんだけど……
それがそうもいかず完全にお嬢さま暮らしの
大きい家でとても混乱している。
彼女の両親とも会話して了承してくれている
しかし彼女は何を考えているか分からない
このまま本当に救えるのか分からない
そんな事を考えながら夜を迎え朝が明け
一人考えていると
コンコン………
扉を叩く音が聞こえた
[黒咲君……居てる?]
彼女の声だ……声のトーン的には特に問題はなさそうだ
[あぁ、居てるよ……どうしたんだ?]
[ねぇ……部屋に入って良い?]
部屋に入ってくる……つまりラッキースケベな事が
起きるシチュエーションが起きる前触れが
テンプレである事がよくあるパターンである
[あぁ、良いぞ……]
そう答えると、彼女は部屋に入ってきた……
しかし、彼女はきちんと服を着ていて
何故か残念であるが出会って3日目で
信用もあるか分からない中でそんな展開は無いのは
当たり前なのである。
[ごめんね……起こしてしまった?]
彼女は普段学園ではあまり話しているイメージは
無いのである、しかし、自宅なのか普通に話してくれる
[あぁ……うん、大丈夫起きてたよ]
[そう、良かったわ……]
[それにしても突然同居なんて思ってもいなかったわ]
[私を救うって……私に過去なんて無いんだけどね]
過去が無い?そう普通ならどんなに辛いことがあっても
過去が無いなんて返答は普通は有り得ない。
つまりアサクラ先生の言ってた事は
正しいのかも知れない。
[過去が無いってどういう事?]
僕は真面目なトーンで質問した。
[あ、その事なんだけど私……]
[何故か過去の記憶が無いの……]
過去の記憶が無い?つまり記憶障害なのか?
だとしたら、この救う内容は過去の記憶を呼び戻し
学園でも楽しく過ごせる様にさせなければいけないのか
まぁ、同居している間に心を開いてくれれば
万事解決すると思うんだけど………
先が思いやられるなぁ。
[それって記憶障害がじゃないの……]
[だったら、どうにかして思い出さないと行けないんじゃ]
[いや、私も良く分からないんだけど……]
[思い出したくないの]
[え?思い出したくない?それって]
[私自身もよく分からないけど、思い出そうとすると]
[拒絶反応を起こすの……だから決して私を救おうなんて]
[思わないで欲しいかな……]
彼女は悲しい顔をしていたのである……
それ程思い出したくない事なのかと分かるのである
しかし、頼まれた以上彼女を傷つけないように
助けないと。
[それより、今日は良い天気ね黒咲君……]
[うん、本当に晴天だね。]
今日は雲ひとつない晴れた空である……
絶好のお出かけ日和である。
[黒咲君……黒咲君が嫌じゃなければ]
[今日は街へお出かけしない?]
街へお出かけ……つまりこれはデートみたいなものだ
[お出かけ?それはまた急だね?]
[うん、君の事を知りたいし……]
[君がどんな人か知りたい]
多分これは彼女の興味なんだろう
[分かった……良いよ、それじゃあ準備するから]
[先に行ってて]
そう、今日は土曜日……そしてお出かけする事になった
次はお出かけです。和風の街にしようか洋風の街にしようか迷っています。