表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
穂高市役所ストリートビュー年史  作者: 十二滝わたる
9/53

ハロインカボチャ

 70年代も終わりに近づいているこの時代にも、戦前戦中の村社会の人間模様が、当然の常識として戦後の上着を羽織っただけの見せかけ関係が幅を効かすこの職場に、急進的なと言われていた新たな価値観の(それはやはり見せかけの村社会規範を抜け出してはいなかった。)カッコよさと頭の良さそうな話し方を武器に(結局、それも見せかけの薄っぺらな衣装の即席の着替えでしかなかった)熱烈に主張する、それは、政治的にも、文化的にもであるが、そんな者達が仲間を作って勢力を伸ばそうとしていた。

 この人達の目的は宗教にも似た政治活動で、主体的のようで、裏にフィクサーがおり、そそのかされている奴らだ。

 それは所詮、山に囲まれ、高速道路のひとつもない、新幹線もなく、東京まで列車で半日もかかるこの田舎に訪れた10年、否、20年遅れてやって来た分派の、暇潰し娯楽のように感じられた。

 「君はマルクスをよむんだね」と親しげに近づいてきた職場の先輩である青年は、その構成員だ。若いのに細い紙質の青年は、やや額が生え上がり、直ぐにてっぺんまで禿げ、おそらく西洋ハロインカボチャのようになまでほどないはずだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ