年史外伝 10
田舎の保守的な生活様式と古めかしいうんざりする価値観は、都市部と比較すればいつの時代でも同じなのだ。
そして、田舎イコール役所と言っても過言ではない。
農業分野には、平成になってもおかいこ様、つまり、養蚕を担当するセクションがまじで存在していた。養蚕農家など市内には二軒しか存在しないのに、所属長がいて、係があって、係員があって。
それだけでも驚きであったが、仕事具合も驚きだ。季節になると、養蚕農家よりも多いセクション職員と関係組織が集まり、神社に豊穣を祈願し、昼から酒盛りが始まる。
しかも、家長や農業組合の長やセクション長等のお偉方は三のお膳までつく豪華さだが、担当役場職員等は、半分位に質素なお膳一つで、しかも、畳の部屋のスペースは十分にあるのに、わざわざ差をつけるために、準備されている離れた板張りの部屋での食事、さらに、お酒などもってのほかとなるらしい。
同期の友は、この仕打ちにあい、庁用車を運転すべき役目でもあったのだが、アホらしさにいたたまれずに、食事にも手を着けずに途中で田んぼ道を一人で先に帰って来たらしい。
仕事の放棄だと、あれこれと問題にされ、軽い懲戒ものであったが、僕も彼の行動は支持したいと思った。
あたまボケてるか、腐れてでもいない限りは、こんな価値を受け入れられるはずがない。もしくは、ひたすら自己放棄して忍耐を重ねるか、腰巾着の世俗的野心に燃えて受け入れるしか選択はない。
どれを選ぶかは、各々が人格と信念をかけて決めることだ。




