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穂高市役所ストリートビュー年史  作者: 十二滝わたる
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高慢とうつせみ

 1990年代、元号も平成となる。例の小淵官房長官の色紙を掲げるテレビと会見が物凄い印象で記憶に残る。

 僕は、穂高市役所の観光振興の担当に付いていた。穂高市にはさほど全国に誇れる立派な観光地らしきものはない。

 今でこそ寂れた温泉や何のことはないちんけなビューエリアやパワースポットとして狭くなった日本の隅々の隠れた観光地の掘り起こしで賑わっているが、あの頃は、煙たなびく火山の近くまで続くスキー場が人気で、スキー客は雨後の筍の如くどこからともなく涌き出て来るため、旅館やスキー場の整備と拡張におわれていた。

 スキー場は全山を滑走出来るパウダースノーで玄人好みであった。外国からのインバウンドはまだやってこないが、外国人を当てにしなくても観光地としては何一つ困ることなく、乗じて増えていった新しい旅館も含めて、高飛車な客扱いで、そらに、どこの旅館でも同じ、通り一編の手抜きの豚肉料理サービスは不味く、ご飯も素人焚きでかたく、サービスは最低だった。

 それでも雪だけは良かったから、騙された一見さんやこれを分かっている泊まらないただ滑りに来るだけのスキー狂で、観光客は黙っても増えていった。

 料理の親父も仲居も従業員もリフト乗り場の案内人まで、おもてなしの気持ちなど、微塵もないところだ。

 後にスキーブームが過ぎ去ると、散々儲けて豪遊していた奴等が、行政に泣きつきはじめ、さらにエスカレートして行政は何をやってると凄み、ごね始める。

 同じような体質は、大分後の話になるが、大店法により街中の商業施設が寂れた始めた時も、肩で風切り足元を見ながらの殿様商売人立ち上げも、皆、おなじたった。

 お前らの経営能力、お前らの時代の潮流の読みが低いだけたろう、そう、言いたかったが、そうは言えないのが公務員で、腹とは違った丁寧な善処の姿勢と応対を砂を噛むように繰り返すのだった。

 当然、職員の中にはこれらに乗っかり、よいしょして取り入り、政治的な懐に入っていく奴等も沢山いて、宦官のように市長と業界の風見鶏となり、大したものだと思う者も、あそこまでして偉くは成りたくないと自己を保つも者、様々な様子があった。

 僕は当然、自己を保つ側にいた。

 腹立たしいのは、以前、話したハロインカボチャの左翼だった仲間も、灰色の季節は終わったとばかりに、手のひら返しの極端な権力追随になったことだ。

 左翼が善だとは最初から思ってはいないが、これ程までに俗だとは思わなかった。そう、はっきり言えば、左翼を名乗った奴等は俗のなかの俗にすぎなかった。

 山から這い出てきたような、人を見定める猿男、川から少しずつ知られないように街側にずれこむハイエナ男、人を蹴落として裏切るマントヒヒ男、声の潰れたがま男、一見外面のいい腹黒の禿鷹男。団塊の世代の左翼ノスタルジアに浸っている男達の実態は、美しい過去ではなく、希望でもなく、姿のように醜くかったことを忘れてはいけない。


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